【今回の記事】
記事[「乳幼児発達心理学」(福村出版)]
《1歳3ヶ月から2歳半頃に見られる第一反抗期は子供の発達にとって2つの意味で重要。一つは自分が親とは違う独自の意思を持っていることを確認すると言う自己意識の高まり。もう一つは今まで親や保育者にやってもらっていたことを自分でやることで自分の能力を試したいと言う欲求の表れを意味している。》
【感想】
第一反抗期、いわゆる「イヤイヤ期」については、これまでも親御さんからの相談に専門家が答える記事を中心に取り上げてきましたが、乳幼児の発達について書かれた専門書で「イヤイヤ期」の2つの意味〜①親とは違う独自の意思を持っていることを主張する、言わば“自我主張”説、②自分の能力を試したいという、言わば“知的好奇心”説〜について正式に述べられたという意義は大きいです。
また、これらによって、子供に対してどのような“共感”をしてやればいいかも明らかになってきます。それは、①「あなたがしたいのはこれじゃないのね」か②「自分でやってみたいのね」のどちらかであるということです。その母性を施せば、「充電場面」にいる子供の不安感は大分軽減し、適切な探索行動ができる「活動場面」に近づくはずです。
因みに、過去にEテレ「すくすく子育て」で、専門家が次のように助言をしていました。
《朝食の時、パンを目の前にした子どもが「パンがいい」と言い始めた。お母さんは「今日はパンだよ」と子どもに説明。すると子どもは「一方的に要求を押し付けられた」と感じる。そこで、「そうだったの、ご飯が食べたかったのね」と、一度子どもの気持ちに共感してあげると、子どもは「自分の気持ちを分かってもらえた」と安心する。》(https://ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12572638163.html)
正にこの「そうだったの、ご飯が食べたかったのね」という声がけこそが、子供の気持ちに共感する母性の働きです。
因みに、上記2つの要因それぞれについて、母性による共感をした後に、どのような社会的自立を促す働き(父性)を施せばいいかについては、
① “自我主張”説〜子供に任せて自分で決めさせる。
② “知的好奇心”説〜子供に任せてやらせた後に子供の能力を褒める。
が相応しいと考えます。
まとめると、
①「(母性) あなたがしたいのはこれじゃないのね。じゃあ、(父性)こっちのAとBとではどっちがいい?」等
②「(母性)自分でやってみたいのね。(父性)じゃあ、やってごらん」「できたね、すごい!」等
なお、②については、忙しい朝等にはやらせる時間さえないこともあります。そんな時でも、先ずは「自分でやってみたいのね」と子供の気持ちを受け止める言葉だけで、「わがまま言わないの!」等と叱るよりも、子供の凝り固まった気持ちは柔らかくなるでしょう。
また、ある専門家は次のように指摘しています。
《忙しい時は誰でも難しい。そういう“いざという時”のために、前もって余裕がある時に、子供とイヤイヤの意思疎通(「…したいのね」等の子どもの気持ちの代弁や共感等)や、子供ができている時に「えらいね」「すごいね」「楽しいね」等の共感をしておく、つまりイヤイヤが起きた時のための“保険”をしておくと、いざという時の子供の様子が違ってくる。》(https://ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12571121485.html)
これは「日常場面」(下表)で日頃から「安心7支援」で安心感を与えておく、言わば“安心貯金”の働きに当たるものです。
つまり、普段からの“安心感貯金”と具体的場面での“共感”による安心感の補償との“二重安心感”による対応というわけですね。
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「イヤイヤ期」は、それ以後、子供を回避型愛着不全にする否定・支配的子育てに転換してしまうリスクを含んでいる重要ポイントです。親御さんのイライラや不安感を軽減することに少しでもお役に立てれば幸いです。