前回の続きです。
 今回は、私なりに出来るだけ筋道立てて考えたいじめを無くす方法を紹介します。
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 まず、加害者にいじめ行為をやめさせるには、そのための心理的なきっかけを作ることが必要です。

 それは「外発的動機付け」(評価・賞罰・強制等の人為的な刺激による動機付け)か、「内発的動機付け」(内面に沸き起こった興味・関心や意欲による動機づけ)かのどちらかしかありません。

 以下にそれぞれ考えてみましょう。


外発的動機付け

 これについては、以下の何れかが考えられます。

いじめを止めることによって得られる利益を与える

→「いじめを止めたらご褒美」ということは有り得ないので、これは無し。

いじめを止めないことによって被る不利益を与える

→もちろん、いかに加害者と言えど、実際に実害を与えることはできないので、その代わりに、このままいじめを続けたらどんな不利益を被ることになる可能性があるかを知らせることになると思います。例えば、弁護士の仲介によって裁判所から親が法的な罰を受けるかも知れない、被害者が自殺するかも知れない等です。

 因みに、この後者については私が実践したことがあり、その翌日に解決に至りました。他人事としか捉えていなかった“いじめ自殺”のニュース報道と自分とが初めて繋がったことで、事態の深刻さに気がついたようでした。


内発的動機付け

「いじめは加害者が溜めたストレスの発散行為」(国立教育研究所滝充氏 →「「いじめは加害者のストレスによって起きる」 〜いじめ加害者を育てる環境とは?〜参照)ですから、加害者のストレスを緩和させれば、いじめ行為が無くなると考えられます。その場合のストレスの緩和方法は、精神医学上子どもに安心感を与えるとされる愛着を形成するための支援行為である「安心7支援です。特に「④子どもの話を否定せずに聞く」が最優先の支援です。その後に、更に他の行為で接することも必要です。

 なお、その働きかける主体は以下の二通りが考えられます。

A. ストレスの要因が主に家庭にあると考えられる場合、親が主体となって子どもに働きかける(「安心7支援」等による働きかけ方を学校側から家庭に教える)

B. ストレスの要因が主に学級にあると考えられる場合、担任が主体となって子どもに働きかける(「安心7支援」等によって行う)


加害者の“八つ当たり”を生まない解決

「内発的動機付け」による方法は、言わば、加害者自身が、気付かないうちにいじめをしなくなるというもので、ベストな解決方法です。私が“不利益” (被害者自殺の可能性を知らせること)による「外発的動機付け」を施した際も、本当は内発的動機付けが望ましかったのですが、既に事態が深刻化していたのでやむを得ませんでした。一方「外発的動機付け」も、あくまでも加害者に対して不利益に“気付かせる”ためのものです。

 つまり、これらの方法は“加害者を懲らしめる”性質のものではないため、被害者である子どもに対する八つ当たりが起きる可能性は低いと考えます。


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 ところで、以上の方法は、あくまでも私なりのアプローチの方法です。いじめ被害を受けた子どもの親御さんが、学校に対して持ちかける案としては、かなり特殊だと思います。

 そもそも、このブログ自体が保護者向けのものであることを考えれば、本当は、親御さんの立場に立って、学校職員に委ねた解決法を考えれば良いのだと思いますが、残念ながら、私は今の現場のいじめ問題に対して余り明るい希望を持っていません。なぜなら、加害者を戒めるケースが多く、かえって問題を複雑化させてしまうように思うからです。あくまでも「悪い子は泣かせるくらい怒らないと効き目がない」と言う先生が多かった私の経験上からですが…。

 また、いじめの要因となっている子どものストレスの多くは家庭にある場合が多く、今の学校が、その家庭の親の養育態度を変えることは、余程具体的な提案ができない限り至難の業だと思うからです。


 したがって、この私の考えを実際に活かそうと思えば、「ネットで見つけた元教師の人間がこういう事を言っていた。どう思うか?」等と持ちかけ、上記の方法のうち、どれが実現性がありそうかを学校側と協議するという形になるでしょうか?信じてもらえるか分かりませんが…😓。


 何れにせよ、今回のような「内発的動機付け」を実現させるうえでも、人に安心感を与える方法を皆で共有することがいかに重要であるかが改めて分かります。