【今回の記事】

「イヤイヤ」が早く終わる!イヤイヤ回避テク3つ【3児ママ小児科医のラクになる育児】


【記事の概要】

 23歳のイヤイヤ期、思春期の反抗期、どちらもその正体は「自己決定したい年頃のジレンマ」です。全てにおいてお世話が必要で、親がいてくれれば幸せだった時期をすぎ、自分で考えて自分で決めたいけれど、まだうまく表現できない、まだ上手く実行できない……そんな想いが子供の中に渦巻いています。そのことを親が理解してあげてください。


◯イヤイヤを起こさせない工夫3

①子供に選択肢を与える

 イヤイヤの正体は「自己決定がしたい」なので、「イヤ!」を出さないために子供に「決定をしてもらう」という作戦。親が「靴を履いてお出かけしよう」と言うと、子どもは「お出かけしない!」となるので、「青と赤、どっちの靴を履く?」と聞いてみる。この声かけだと、お出かけをするかしないかは会話に含まれず「お出かけしない」という選択肢をうやむやにできる。

②見通しをきちんと伝える

 スケジュールがよく分からないと不安になり、目についたものにすぐ飛びついてしまう。お店に行った時に「今日は、お菓子は買いません」と店に入る前に伝える、これも見通しの一つ。 

③時間には余裕をもって!

 イヤイヤは突然発動する。スケジュールは入れ過ぎず時間に余裕をもった行動を。


◯イヤイヤになってしまったら

答えを求めない

 イヤイヤしている時に「結局どうしたいの?」と言っても興奮している子供には逆効果。おもちゃを選んでもらう時なども「買ってあげるよ、どっちがいいの?」と言っても火に油なことが

 イヤイヤ発動しちゃったときはとりあえず「そっか、……と思っていたんだね」と気持ちを代弁してあげてぎゅっと抱きしめてあげる(その代弁した気持ちが正解である必要はない)。ギュッとされると大人でも気持ちが落ちつく。

待つ

 イヤイヤ発動したら、とりあえず落ちつくまで待つ。

時間がないときは力技で!

 待つ時間がない時は、子どもに根気よく付き合うことなく、泣く子どもを抱えて帰宅したり、とりあえずベビーカーに乗せて移動しちゃうことも。ギャン泣きのまま人の目に晒されることにはなるが、実はそんなに長い時間は続かないことが多い。


◯イヤイヤを早く卒業するために

 イヤイヤの正体は「自己決定したいのに上手く表現できない」ということが主体なので、表現ができるようになってくると落ち着いてきます。つまり、言葉をうまく使いこなせるようになると減る傾向にあるのです。

 イヤイヤになってしまったら①で書いたように、「〇〇〇なんだね」「〇〇って思ってたんだね」と声をかけたり、「ママは〇〇されると悲しくなっちゃう」などママやパパ自身の気持ちを表現してもらうことで、(それを手本として)どんな場合にどんな表現をすればいいかを学びます。


◯生活の主導権は親が握ろう!

 子どもが「こうすれば親は〇〇〇をしてくれる」と学んでしまいどんどん要求がエスカレートしないようにするために、ワガママを聞いてあげる時、絶対に聞かない時を親できちんと決めて、「生活のコントロールしているのは親」であることをわかってもらうことは大切です。

 ただ、本当に困った時などはお菓子等を使ってもいいと思っています。これも、できればその日のスケジュールを決めたときに「ここでイヤイヤ発動したらお菓子を使う」など、親の中で事前に使うタイミングを決めておくのがオススメです。


【感想】

 この記事は具体的でとても分かりやすいですし、何より実用的です。

 以下に、特に心に残った点について、お話しします。


自分で決めたいなら選ばせる

 まず、「イヤイヤ」の正体が「自己決定がしたい」ならば「選択肢を提示して子供に決定させる」という作戦が筋が通っています。「イヤイヤ」の正体を理解している小児科医ならではの指摘です。

 更に、その際「靴を履いてお出かけするかしないか」ではなく「青と赤、どっちにする?」等と、親にとって好ましい選択肢だけを提示して上手に子どもを誘導する方法も効果的です。子どもも「自分で選んだ」という満足感を得ることができるでしょう。正に大人の知恵の見せどころです。これについては、Eテレ「すくすく子育て」に出演した専門家も同様の指摘をしていました(→イヤイヤ期の親の関わり方はどうあれば良いか?〜「それなら出来そう!」という方法を紹介!〜参照)。


上手く表現できない子どもを助ける

「イヤイヤ」の正体“その2”は「自己決定したいのに上手く表現できないこと。そんな子どもの代わりに親が「〇〇〇なんだね」「〇〇って思ってたんだね」等と気持ちを代弁(共感)してあげる。これも筋が通っています。

 なお、この“共感法”については、やはりEテレ「すくすく子育て」の別の回でも専門家が次のように指摘しています。

親が子どもの『イヤイヤ』の原因を分かろうとする態度が大切。子どもがとって欲しい物を指差した時に、『◯◯◯が欲しいんだね』『◯◯◯して欲しいのね』等と子どもが欲しい物の名前やして欲しいことの行為を親が代わりに言ってあげる。言葉にして表現してあげると、子どもは『自分の気持ちを受け止めてもらえた』と感じて気持ちが落ち着く。こうした経験を繰り返すことで、子どもも少しずつ自分の要求を言葉で表そうと思うようになってくる」(難しい「イヤイヤ期」〜子どもの中に何が起きているのか?どう関わればいいのか?〜)参照)

 つまり、この場合の“共感”は、子どもの気持ちを落ち着けるためのもの、それが少しずつ子どもの手本にもなるということです。子どもの自己表現の手本になったり、子どもの気持ちを落ち着けたりと、「共感」の力は絶大ですね。


いつも「待つ」「共感する」でなくて良い

「時間がないときは力技で」「本当に困った時などはお菓子等を使ってもいい」という指摘がありました。同感です。イヤイヤ期の子どもに接していれば、いつも思い通りに子どもが反応するとは限りません。

 やはり、Eテレ「すくすく子育て」で専門家が次のように指摘しています。

「忙しい時は誰でも難しい。そういういざという時のために、前もって余裕がある時に子どもと『イヤイヤ』の意思疎通(先の子どもの気持ちの代弁等)”や、子どもができている時に『えらいね』『すごいね』『楽しいね』等の共感をしておく(『イヤイヤ』が起きた時のための保険”)と、いざという時の子どもの様子が違ってくる」(同上記事「難しい『イヤイヤ期』…」参照)

 つまり、いざと言うときのために普段から愛情貯金をしておくことが大切と言うことでしょう。


◯「イヤイヤ」が始まった時の見通しを持つ

「イヤイヤ発動した時は『そっか、こう思っていたんだね』と気持ちを代弁してあげてぎゅっと抱きしめてあげる」と、「イヤイヤ」が起きた時の対処方法の見通しを親自身が持っていると、それだけで「いつ起きても大丈夫」という安心感を持てますし、いざその時が来ても想定内の事態として、慌てずに対処することができると思います。


 なお、反抗期一般については、本ブログのダイジェスト記事「【反抗期の指導】~子どもの発達に合わせて親も“ギアチェンジ”を~」をご参照ください。