先日、あるテレビ番組で、「“節約妻”に対する夫の怒り」というテーマで特集を組んでいました。
その内容は、例えば、
「買い物袋を持って行かず、有料のレジ袋に買い物荷物を入れて帰って来た夫に妻が激怒した」
「コンビニでの買い物で、ポイントがつくカードを持って行かずに現金で支払いをしてきた夫に妻が激怒した」
等のものでした。
 
   すると、ある出演者がこう言いました。
「まず、『なぜ節約しなければならないか?』ということを夫婦の間で共通理解しておく必要がある」
もっともだと思いました。夫には知らされていない妻の何らかの思い入れがあるとすれば、夫婦間に認識のズレが生じるのは当然のことです。仮に、「『新しく習い事を始めたい』と以前から言っている我が子のために、その月謝を払うためにはどうしても節約が必要だ」ということになれば、夫もその必要感から、買い物袋やポイントカードを持って行こうと思うでしょう。
   特に男性は、女性よりも“感覚過敏”を特徴とする自閉症傾向が強いために、本能的に余計な外部刺激を受けないよう、自分の世界に閉じこもっていることが多いので、「なぜ」「なにを」「どこに」等がはっきり伝えられないと、行動に起こさないことが多いのです。
 
   そんな中、私が気になったのは、「妻が激怒する」という点でした。仮に、それまで何度同じことを言われても忘れてしまうような場合であれば、旦那さんも納得すると思いますが、「なぜ」も伝えられずに、一度つい節約を怠っただけで、激怒される旦那さんはたまったものではありません。
 
 更に私が心配したのは、「こういう奥さんは、我が子にも同じように接しているのではないか?」ということでした。大人であれば、多少の我慢も飲み込むことができますが、まだ発達途中の子どもは、その理不尽さを受け止められず、親に対する不信感を増すことになると思われます。仮にそれが繰り返されれば、少しずつ親に対する愛着に傷がつき、子どもの人格に悪影響を及ぼすことも十分考えられます。


   因みに、そのように、親からの叱責が繰り返される場合には、他者との繋がりを敬遠したり、他者に怒りを覚えたりしがちな「回避型」タイプの人間になることが予想されます。

   もう一度整理しましょう。
日頃からの叱り方の予告
同じ失敗が繰り返された場合は注意をするが、一度目の時は目をつぶる」ということを日頃から認識させておく。(このことが保障されていないと、子どもは失敗を過敏に恐れたり、失敗した時にそれを隠したり失敗していないと嘘をついたりするようになります。更に「失敗は成功の基」と言い聞かせても、親の言葉に説得力が無くなります)
今回の目的の確認
「今回、なぜその行動をしなければならないのか?」について、子どもに理解させておく。(上の例で言えば、『なぜ節約をしなければならないのか?』)
一度目の失敗の受容
   一度目の失敗の時には、「次は気をつけようね」と優しく励ます
二度目の失敗への注意
   その後、失敗が繰り返された時には、必ず約束通りに注意する。(このことが守られていないと、子どもは「失敗を繰り返しても注意されないの?」と誤った学習をし、「同じ失敗を繰り返さない」という意識が徹底しなくなります)

「ちりも積もれば山となる」です。できるだけ日常の“子供にとっての理不尽さ”を小さくしたいものです。