先日NHKの番組(「クローズアップ現代+」)で、引きこもりの特集をしていました。


   番組を見て特に感じた事は、次の2点でした。
①引きこもり家庭では同じような悩みを持つ家族外部機関との“連携”が不足している実態があること。
②就職の前段階としての、本人が“生きがい”を感じる生活を実現することの大切さ

   そんなことを考えるうちに、私は、こんなことを考えました。
   引きこもりの人だからこそ出来ることがあるのではないか?それはSNSでの発信、自分のブログを開設しての行う情報発信です。
例えば…
自身の生活の様子
感じたこと、苦しかったこと、嬉しかったこと
ネットで収集した情報

   この活動の意義を以下にお話しします。

①外部との連携について
   同じ悩みを持っている人と繋がることを誰もが望んでいます。それはもちろんご家族も同じだと思いますが、ご年配の方はSNSが苦手です。そうなると、先ずどこか具体的な外部機関を探し、次にそこへ出かけていく必要がありますが、それは大変な労力です。一方で、世界と繋がっているSNSの世界では、その作業が短時間できます

   更に、引きこもりの方ご本人が周囲と繋がることは、本人の気持ちそのまま発信することができます。仮にご家族が何らかの外部機関と繋がったとしても、ご家族が探してきた外部機関の方と本人が意思疎通できるとは限りませんご本人の
頑なな閉鎖感があるからです。その点、ご本人自身が繋がりを持とうと思った相手には、本人のありのままの気持ちを伝えることができます。

②本人の生きがいについて
   一番は、ご本人の中の“生きがい”です。
   何を隠そう、教職を健康上の理由から途中退職し、現在は主に在宅で時間を過ごすことになった私自身にとって、今発信しているこのブログが貴重な自己表現の場になっています。私に限らず、定年退職した方が、その後これといった趣味がなく、生きがいを感じることが少なくなるという話はよく聞きます。人間にとって、自己表現の場が失われることは、何よりも耐え難いことです。
   しかし、無限の繋がりが可能なSNSには、きっとリアクションを示してくれる人がいるはずです。私も、私の表現を見てくれる読者の皆さんがいてくれたからこそ、これまで続けてくることができました。同じように、自分を表現する機会に恵まれ心が充実している人は、自暴自棄になり難いと思います。

ご家族の皆さんへ
   さて、先の5月28日に神奈川県川崎市小学生らが刺され19人が死傷した痛ましい事件がありました。その加害者となった岩崎隆一容疑者は、市からのアドバイスを受けて自分に働きかけてきた両親に対して、「自分のことはちゃんとやっている。ひきこもりとは何だ!」と反発していたと言います。本人からすると、「自分のことはちゃんとやっている」という自負、言うならば“自己肯定感”があり、それを否定されて反発する気持ちが急激に噴出したのかも知れません。

   一般的に、子育てにおいては、大人による評価基準で子どもを捉える(「絶対評価」)のではなく、その子どもの中の良さ伸びに目を向けた見方で子どもを評価する(「個人内評価」)という子育て向きの評価観が大切です。これを岩崎容疑者の場合について便宜的に当てはめると、市の担当者やご両親が一般的なひきこもりの定義で捉えたことが「絶対評価」、この子は外出はしていないけれど、自分のことは自分で頑張っている」という見方で捉えることが「個人内評価」となるでしょうか。
   これと同様に、我が子は、外出はしていないけれど、ひきこもりについて世の中に発信して外部と繋がっている」と、先ずは今のご本人のがんばりを認める意識が大切だと思うのです。それを飛ばして、いきなり「外に出て働きなさい」と要求するのはあまりにもハードルが高すぎると思います。状況の改善には“スモールステップ”が大切です。