【今回の記事】

【記事の概要】
   日常生活の中では気づきにくい初期の認知機能の衰えも、自動車を運転する行為には比較的表れやすく、この認知症予備群とも言える軽度認知障害の人が運転時に表われやすい事象をまとめたものが、「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」です。

   設問は以下のようなもの。(詳細は上記記事参照)

「車のキーや免許証などを探し回ることがある。」

「今までできていたカーステレオやカーナビの操作ができなくなった。」

「道路標識の意味が思い出せないことがある。」他


   5項目以上チェックが入る人は、認知機能の病的障害を念頭に専門機関で診てもらうなどの目安として活用し、安全運転に心がけて下さい。
   なお、本チェックリストは、あくまで認知機能の病的障害を念頭に専門機関への受診を検討する際の目安であり、判断するのは本人やご家族です。(警視庁)

【感想】
   先日、母子2人が命を落とした池袋での自動車事故が報道され、高齢者に対する風当たりが強くなっているようです。


ただ、高齢の方がこれらの報道を聞くと、もう十分な認知機能が働かなくなってるんだから、免許を返納して!」のように、命令調に聞こえるのではないでしょうか。ご高齢の方には、それまで歩んできた人生の中で身に付けた知識や経験があり、たとえ家族からであっても、それを否定されるようなことがあると、かたくなに免許の返納を拒むこともあると思います。

   一番効果があるのは、この記事で紹介されているような専門的で客観的な診断チェックをしてみてもらうことだと思います。これなら、ご家族の主観は入らないので、結果を冷静に受け止めることができると思います。


   このリストでは、5項目以上チェックが入る人は、認知機能の病的障害を念頭に専門機関で診てもらうと良いとされていますが、チェックする際は、その基準を知らせずに、質問者が読み上げて答えてもらう形にする方が信頼性の高い結果を得られると思います。


   さらに、このチェックリストの良いところは、運転だけではなく、“認知機能そのもの”のチェックができるというところです。

   なお、受信する際は、内科、外科、整形外科などの診療科目に関わらず、定期的にかかっていて話しやすい医師がいれば相談してみると良いそうです。


   なお、この“専門的で客観的な情報”が有効なのは、認知症だけではありません。以前投稿した下記の記事で、孫の発達障害に理解を示してくれない祖父母に対する接し方でも同様のことが言えることを紹介しました。

わが子の発達障害に理解を示してくれない夫と祖父母 〜正しい理解・協力を得るために〜


   これらの背景には、インターネット等が普及していなかった高齢者世代は、今よりも「病院の先生様」「学校の先生様」という意識が強かったことがあるのではないでしょうか。


   更に、このことは、ご高齢の方に限ったことではありません。新しい環境が苦手、何かしらのこだわりが強い、リアクションがオーバー、等の“感覚過敏”の傾向が強い子ども(もちろん大人も)は、自分がイメージできない事柄に対する不安感が強いために、抽象的であったり主観的であったりする情報は信頼できません。逆に、客観的で具体的な情報に対しては安心感を抱くことができます。

   もちろん、“感覚過敏”が特質である“自閉症スペクトラム”の傾向は、大なり小なり誰でも持っているので、周囲から「小さいことは気にしない」と見られるタイプの人でも、客観的で具体的な情報に対しては安心感を抱きます。普段はただ我慢しているだけなのです。