春到来!地域によっては、運動会を春に実施する場合もあると思います。その際、多くの子ども達の関心の的は徒競走であることは、入賞リボンを胸につけている子ども達の誇らしげな表情を見れば一目瞭然です。
さて、子どもの養育の仕方を題材に取り上げることが殆どなこのブログでは、以前珍しく、“速く走れる方法”についての投稿をしています。それが以下の記事です。
これらの記事の中では、概ね以下のことをお話ししています。
因みに、この「坂道で“その場膝あげ”をする」練習方法を「坂道走」と呼ぶことにします。
ところが、この「坂道走」には、ある欠点があります。それは、“緩やかな坂道”と“それに続く平地”という練習環境が得にくいということです。特に、“緩やかな坂道”がなかなか見つけられないと思います(勾配が急だと、スピードが出過ぎて怪我をする可能性が増)。
そこで今回、この弱点を補うため、別の練習方法を考えました。“早く走る方法”第2弾、名付けて「階段走」です。
練習の仕方は、
①始めは、階段を膝を上げて駆け上がる(この時、腕は直角くらいに曲げてしっかり振る)。
②階段を駆け上がったら、階段を駆け上がる時と同じ感覚で、その後の平地を走る。
なお、この場合、“階段”は10〜15段、“平地”は10m位はあると理想的です。また、階段を駆け上がった後、90度までなら方向転換して走ってもフォームが変わることはないようなので、平地は階段に対して“同方向”でなくても構いません。
では、練習の大まかなやり方を理解するために、実際の「階段走」(※筆者本人走)を動画で見てみましょう(あくまで“大まかなやり方を理解するため”です。“フォームの手本”ではありません😅)。この動画でも、階段を駆け上がった後、方向を90度変えています。
この「階段走」のメリットは、先ずは、“階段”と“それに続く平地”があればできることです。2つの条件が必要であることは「坂道走」と同じなのですが、“階段”ですから、“緩やかな坂道”に比べれば、条件は揃いやすいと思います。
もう一つのメリットは、膝を高く上げ易いことです。子どもは大人に比べて自分の気持ちをコントロールするのが苦手なので、平地での“その場膝上げ”だと、自分の意思で膝を高く上げれない場合があります。しかし、この場合は“階段”ですから、「坂道走」の単純な“その場膝あげ”に比べて、必ず一定の高さ以上に足が上がります。
ところで、この「階段走」は、なぜ「坂道走」のような“坂道”ではなく、“平地”でいいのでしょうか?そもそも、“膝を上げて走る”ことが難しいのは、“その場膝上げ”はできても、その状態を維持したまま“走る”ことができないことです。そのため、「坂道走」では、“その場膝あげ”をしている時の“静止状態”から“走る”という動作に繋げるために、“その場膝あげ”をしていれば勝手に進ませてくれる、坂道による“重力の力”を借りる必要がありました。しかし、「階段走」では平地に到達した時には既に「駆け上がっている」つまり「走っている」状態ですから、その後の平地を走る時も、階段を駆け上がっていた時と全く同じフォーム、同じリズムでできるのです。つまり、静止状態から走る動作へ“変換”する手間がかからないので、適応力が未熟な子どもにとっては取り組みやすいと思います。
今回の「階段走」を実際にやってみると、階段を駆け上がるところは容易にできます。ポイントは、階段を駆け上がって平地に差しかかった時の“第一歩目”だと感じました。それまでは階段を駆け上がっていたので、平地での“第1歩目”は、足の着地位置がそれまでよりも低く感じます。しかし、それに惑わされずに第2歩目を続けると、その後も平地を足を上げたまま走ることができます。
なお、この動きに慣れて、平地をスピードをつけて走ると、歩幅が広くなっているので、一歩一歩を飛んでいるような感覚になります(下記の写真右側の黄色いユニフォームのウサインボルト選手を見ると、そのことがよく分かるのではないでしょうか)。
「階段走」で平地でも膝が上がるようになったら、階段なしで初めから平地で走らせてみます。もしも、また膝が上がらなくなったら、また「階段走」に戻って練習します。この「階段走」や「坂道走」は、“膝を上げる”と“前に走る”が同時にできるかどうかだけに絞った、いわば“スモールステップ式練習”である意図を理解していただければ、きっと他の指導場面にも応用できることが見つかると思います。
なお、子どもを褒める時は、1番のねらいである“膝上げ”に絞って評価します。このことは、この走る練習に限ったことではありません。子どもにとっては一度に複数のことをやるのは難しいので、「◯◯◯だけ気をつけてやってごらん」と言って、一番出来て欲しいことだけに絞って、他のことには目をつぶります。一度に複数のことを頑張らせると、子どもはうまく出来なくなり、結果的に叱られるばかりになるのです。この方法で褒めると、何を頑張ればいいかが分かりやすく、褒められる練習に臨む子どもの目はキラキラと輝き始めます。