男の子も女の子も共通に持っている願い、それは「速く走れるようになりたい」「運動会の徒競走で1番になりたい、リレー選手になりたい」ではないでしょうか。更に「走力」は多くの運動の基礎になりますから、子どもが中学校以後に運動部に入った場合、とても大切な力になります。

   実は最近、この「速く走る」という事について、私は“ある発見”をしました。そこで今回は、ちょっと志向を変えて、「どうしたら速く走れるようになるか?」ということについて、何かの本を読んだり、だれかに聞いたりしたのではなく、私“独自”の考えを紹介したいと思います(なぜ“独自”なのかについては、後述します)。

   さて、足が速い人は次の2点が優れていると思われます。
足の回転が速い
一歩の歩幅が広い
この2点が向上すれば、必ず今よりも速く走れるようになるはずです。しかし、どんな練習をすればこの2点が向上するのでしょう?

   まず、①の「足の回転」については比較的簡単です。それは、足と腕との連動性にあります。ザックリ言うと、足と腕はバラバラに動かすことはできない(例えば、腕を2回振る間に3歩進むという事はできない)と言うことです。つまり、腕を速く振ればそれに必ず足の動きも付いてくるということで、足を早く動かしたければ腕を早く動かせば良いと言うことになるのです。
   そのためにも、腕を速く振る練習足を前後に開いて、走らず腕を振る練習)は必要です。ただし、手を伸ばして振ると腕の振りも遅くなります。これは、5年生の理科で習う“振り子”の学習で習う「振り子の紐の長さが長くなると、振り子が振れる速さは遅くなる」の応用です。なお、私達の身体の構造上、腕を直角くらいに曲げると一番腕の振りが速くなります。

   私にとって難しかったのは、②の「一歩の歩幅」でした。
   この“歩幅”のカギを握っているのは“膝の高さ”です。優秀な陸上選手の足を見ると、地面と平行近くになるくらい膝を高く上げています。

膝、つまり足を高く上げれば、その後、足が着地するまでの歩幅は長くなります。例えば、野球で同じ力を持つ2人のバッターがボールを打った時に、1人は低い高さでボールが飛び、もう1人は斜めに高くボールが飛んだ時、どちらの方が遠くまでボールを飛ばすことができるでしょうか?それは高くボールを飛ばした方です。ホームランにもなるかもしれません。低く飛んだ方は、当たりは良くても普通のヒットか良くても2塁打でしょう。つまり、同じ勢いでも、高く上がった方が長い距離をかせげるのです。
   さて、膝を高く上げて走るためには、まず、動かずその場で膝を高く上げるだけの練習(「その場膝上げ」)をします。腕も直角程に曲げて振ります。この練習は小学校での陸上記録会に向けた練習でもよく行われます。子ども達をスタートラインに立たせて10秒間くらい「その場膝上げ」をさせてから走らせるのです。私も子ども達と一緒にやってみました。しかし、スタートラインに立っての「その場膝上げ」はできるのですが、いざ前に走り出すと、膝が上がらない元の我流による走り方に戻ってしまうのです。それだけ長年の悪い癖が自分の走りに染み付いているのでしょう。それは子ども達も同じでした。

   私は長年この壁に悩んでいました。「その場膝上げ」から「膝上げ走り」に繋がらないということは、両者の課題の間に何らかのスモールステップが必要だということです。そんな折、先日ある運動公園を散歩していた時に、偶然でしたが、そのスモールステップをとうとう見つけたのです!
(次回に続く)