本ブログでは、これまで数多くの問題事例を取り上げました。そこでは常に「当該問題を解決するためにはどんな支援方法が必要なのか?」について考えてきました。その結果、これまで最も多く登場した支援方法は愛着7」と「自立4支援」でした。
   なぜ、「愛着7」と「自立4支援」に行き着くのでしょうか?


   さて、神様は私達に女性と男性という両性を与え、それぞれが協力してより良い子孫を残す本能を授けました。この両性の持つ働きが、それぞれ「母性」と「父性」です。

   このうち、「母性」の働きは“子どもの受容”です。先の「愛着7」は、子どもを肯定的に受け止め安心感と癒しを与える愛情行為ですが、これは正に、“子どもを受容する”という「母性」の働きに他なりません。

   これに対して「父性」の働きは“子どもの社会化(子どもを社会に通用する人間に育てること)”
です。
子どもの心のコーチング〜一人で考え、一人でできる子の育て方〜 (PHP文庫)」の著者である菅原裕子氏は、「母親は子どもを自分の体の一部として認識しているため、子どもが不快な思いをしているのを冷静に見守ることができない(手を差し伸べてしまう)。その分父親が、子どもを自分と別の存在と捉え、子どものすべきことや責任をきちんと教えなければならない。=()部は遠藤」と述べています。この「(子どもを自分と別の存在と捉え)子どものすべきことや責任をきちんと教える」という父親の働きこそが、先の「子どもを社会に通用する人間に育てる」という「父性」の働きです。
   一方で、先の「自立4支援」は、“子どもと距離をおいて活動の様子を見守り、子どもが求めれば必要な助言を諭して教える”支援です。これは、先の「子どもを自分と別の存在と捉え子どものすべきことや責任をきちんと教える」という「父性」の働きそのものです。つまり、「自立4支援」は「父性」の働きと同じ意味を持つと言えます。
   と同時に、本来の父親のあるべき姿として、子どもを力で強引に鍛えるのではなく、“子どもを離れたところから見守る”という覚悟を決めて、子どもからSOSが要求された時等に優しく諭すという「自立4支援」に基づく別の姿が浮かび上がってきます。

   これらのことから、この「愛着7」と「自立4支援」が、実は「母性」と「父性」という“子育てにおける両輪”に当たる働きかけであるということが分かります。諸問題の解決のための支援方法を探っていくと、この「愛着7」と「自立4支援」に行き着いたのも納得です。


   さて、平成22年の犯罪統計をみると、少年犯罪のピークである15歳では、母親のみで育てる場合の非行のリスクは、父親が育てる場合に比べて約5倍多いそうです。これは、子どもが正しく真っ直ぐに育つためには、「父性」の働き、即ち「自立4支援」による働きかけが必要であることを物語っています
   一方で、現在では、この「父性」の働きがつよ過ぎるために、“父親による虐待”という問題が浮き彫りになっていますが、本来この被害から子どもを守るうえで必要不可欠なのが、子どもを受容する母親の「母性」の働き、即ち「愛着7」による働きかけなのです。

   繰り返しになりますが、神さまは、母親と父親とが互いの足りない面を補い合って子育てをしていくように、私達人間に「母性」と「父性」という二つの働きを授けました。しかし、それらを具現化するめの「愛着7」と「自立4支援」という支援方法が明らかになれば、一人親家庭であっても、子どもに「母性」と「父性」の両性の働きを与えるために具体的にどうすればいいかが分かるようになるのです。