【今回の記事】
【記事の概要】スマホ一つで海外の人との交流も簡単にできるようになりました。TwitterFaceBookInstagramYoutubeをはじめ、スマホのアプリも同様に、海外の人と交流できるアプリが増えています。特に出会い系アプリは、日本人の感覚とは違って、海外の人はごく普通に利用されています。恋人を探す人、友だちを増やしたい人、ただの暇つぶし、使い方は人それぞれ異なりますが、とにかく「会話をしたい」というのは共通していると思います。
とても便利な時代になったのは嬉しいことなのですが、そこにひっそりと紛れているのが「海外から詐欺の行為をする人たち」です。どんなアプリであっても、海外の人とやり取りする上では、これから説明することを注意しておいた方がいいです。僕の体験を通して、少しでも詐欺に引っかからないように願っています。


詐欺する相手は用意周到
「私は絶対騙されない!」と豪語している人でさえも、詐欺を働く相手からしてみたらどうってことないのです。相手は本当に用意周到です。非常に長い時間を掛けてじっくりとこちらの様子を伺っていますから。では、出会い系アプリを使ってどのように詐欺を進めているかを分かりやすく具体的にまとめてみます。
1、複数のターゲットと接触
2、好感の持てる相手を絞り込む
3、会話を進める
4、日常的な会話を続ける(こちらペース)
5、1ヵ月~数か月に渡って信じ込ませる
6、リアルタイムな証拠写真もしっかりと用意してある
7、お金に関係する話を切り出す

この最後の「お金に関係する話」というのは、これもまた巧妙で、
・交通事故に遇ってしまった
・病気で入院してしまった
・親族が入院した
・盗難に遇った
・旅費を少し援助してほしい
・携帯料金を仮払いしてほしい
・愛を証明してほしい

同情を惹く内容に、こちらの心配を煽りながら、巧みな言葉でこちらの感情を揺さぶってきます。とにかく「お金に関係する話」が出たら、どんなことがあっても払ってはいけません。だってよくよく考えてみてください。まだ会ってもいない人に、お金を要求するなんてあり得ません。こちらが親密な関係だと思えば思うほど、相手はそのタイミングを見て感情を揺さぶってきます。

詐欺の実例
 ここで、僕が長年アプリを通して経験した「詐欺の実例」を紹介します。

<メールでやり取りする詐欺>
 アプリを使っていると、例えばまとまった文章などは打ちづらいですよね。またアプリを起動しないとメッセージが送れないという問題もあります。メールであれば、パソコンからもスマホからも送ることが出来ますし、また長い文章も送りやすいです。そこで、相手から「メールでやり取りしたい」言われたらちょっと注意してください。メールは長い文章や画像の添付が出来たりと、とても便利なのですが、裏を返せば、「読み手を洗脳しやすい」んです。長い文章を送られると、ついつい相手がそれだけ真剣に思ってくれていると思ってしまいます。また、長い文章を繰り返し読んでしまうことで、心理的に自分で自分を洗脳してしまいます。つまり、相手のペースにはまりやすいという結果になってしまいます。それを積み重ねることで、通常あり得ない出来事も信じ込んでしまうのです。相手の素性がはっきりと分かってる相手なら良いですが、一度も会ったこともない人とのメールには自分が見失わないように注意してください。

写真で信じ込ませる詐欺
 文章以上にインパクトがあるのが写真です。写真は言葉と違い、映像として頭に残りますし、信用も上がります。メッセージのやり取りを頻繁に行っていくにつれて、相手も自分も写真の交換はよくあることですよね。しかし、この写真効果をうまく利用した詐欺が多いです。どこかで撮影した写真を送ってきたかと思ったら、今、母と一緒だからと信用度を上げる写真を送ってきます。そして母とこれから先日話したところに旅行に行く…。出先でトラブルが発生した!助けてほしい。今すぐお金が必要だから振り込んでほしい。シナリオは相手が何ヶ月も前からすでに用意してあるシナリオです。

動画で信じ込ませる詐欺
 詐欺はメッセージや写真だけじゃありません。動画を使って信じ込ませる詐欺もあります。仲良くなってきて、ビデオコールで長電話。仲良くなって来れば、これもよくあることです。でもこのタイミングを狙って動画で信じ込ませる詐欺もあります。こちらが信用しているタイミングを狙って金銭の要求を仕掛けてきたりします。

物品や料金をねだる詐欺
 お金さえ振り込まなきゃ大丈夫と思っていませんか?そう思っている人が多いと思います。でも相手はそこらへんも十分に承知しています。先ずは手始めに手が届く物品を要求してくるのです。仲良くなってきたタイミングに合わせて、インターネットの料金を貸してほしいとか、スマホを落としたとかです。それをこちらが拒むと、「私のこと信用してないの?」「私のこと好きでしょ?」と連呼してきます。「インターネットが繋がらないと連絡が取れないでしょ?」等いろいろ言ってきます。

配達を装う詐欺
住所を教えて。」「荷物を送るから預かってほしいんだ。」これは相手が何かを送ってくるという逆パターンの詐欺です。正直、まだ情報が少ないので具体的な例があまりないのですが、例えば、一度何か適当なものを送って信用させて、次に違法なものを送ってくることも考えられます。

海外からの詐欺に引っかからないためのポイントまとめ
1、仲良くなっても、お金は送金しない。
2、少額であっても物品のやり取りは慎重に。
3、「相手はシナリオを何ヶ月も前から用意している」と認識する。
4、(インターネット等の)文章に動揺しない。
5、写真や動画を信じ込まない。
6、不安や疑問に感じたら、第三者に意見を聞く。
 
【感想】
   さて、今回の記事は、海外からの出会い系アプリを使った詐欺から成人女性を守るために引用したのではありません。パソコンやスマホ等によって普段からSNSに距離の近い子ども達がネット被害に遭わないために引用したものです。今回の記事は“海外からの詐欺”という特殊性はありますが、子ども達も同様に陥りやすい要素も含まれていますから、子ども達がどのような危険と隣り合わせになっているかを理解するうえでは有効だと考えます。
 
   さて、記事では、出会い系アプリを使ってどのように詐欺を進めているかについて、「2、好感の持てる相手を絞り込む」を挙げています。ここでいう「好感の持てる相手」とは「人間性が豊かな人」ではないはずです。なぜなら彼らの目的は金儲けだからです。彼らにとって「好感の持てる相手」とは「SNSでの交流に抵抗感のない人」、それはつまり、親による“スマホルール”が甘い子どものことだと思います。
   同様に、「6、リアルタイムな証拠写真もしっかりと用意してある」とも挙げています。SNSにおける写真ほど信用のおけないものはありません。例えば、本人ではなく、容姿端麗な友達の写真や、特別に“変装メイク”をした自分の写真を相手に提示すればそれで済むのです。Facebookには、芸能人かと見間違うほどの美人が勢ぞろいしており、中高校生くらいなら、尻尾を振ってアクセスしそうです。更に、動画は様々な情報を開示することになるので、相手を信用してしまいやすい一因となります。また、容姿端麗な相手の声や住んでいる街を見たいと思うのが子ども心というものでしょう。
 
   更に記事では、相手から「メールでやり取りしたい」言われたら、洗脳される手段を与えてしまうことになるので要注意とのこと。しかし、既にSNSでやり取りをしている子どもにとって、「メールでやり取りしよう」という相手からの誘いはまったくと言っていいほど抵抗を感じないでしょう。子ども自身も、「その方がお互いのことをもっと知ることができる」と乗り気になるのではないでしょうか。
   また、相手からの物品の要求についても、メールでのやり取りによって、すっかり相手を信じ込むまでになっていたら、子どもながらにでも何とかしようと思わないとも限りません。相手の要求を子どもが拒むと、記事中にもある通り、「私のこと信用してないの?」と迫ってくるかもしれません。現実世界では人との繋がりを得ることができない子どもの場合、SNSでの繋がりを失うのを恐れて相手の要求に応じてしまうこともありえます。
 
   昨今では、SNSで知り合った素性の知れない相手と出会い、事件に巻き込まれる事例が増えています。人生経験の浅い子どもが、親による“スマホルール”が甘い中、詐欺のプロから魅力的な異性を名乗られ、“ぞっこん”になっている相手から「会いたい」と嘆願されたらどうするでしょう。想像するだけでも危険を感じずにはいられません。
 
   なお、以前投稿した記事で、スマホ事業の専門家が我が子のために作成したスマホルールを紹介しています。ご参照ください。
   しかしそれ以上に、子ども自身がこういうSNS詐欺の怖さを知る事が大切だと思います。人から「守りなさい」と言われることよりも、自分自身で気付いて「気をつけなきゃ」と思う方がずっと効果があるはずです。


 さてお気づきでしょうか?相手からの誘いに安易に乗る、メルアドや携帯番号や住所といった個人情報を教える、メールでの自分を大切にするメッセージに心を満たされる、「私のこと信じられないの?」という揺さぶりに負けてしまう、これらは全て、現実世界での人との繋がり、とりわけ毎日接する家族との「愛着(愛の絆)」が不足して「所属・愛の欲求」が満たされなかったり、家族の中で日常的に「ありがとう」「ごめんなさい」を言い合う習慣がなく「承認・尊重の欲求」が満たされなかったりするために、子どもが自分の心の寂しさを埋めるための“代用行為”です。
   子どもに「ネットのルールを守りなさい」と注意する前に、「愛着7」で子どもの自己肯定感を満たしたりや「家族同士で自己有用感を満たす方法」等によって、子どもに寂しい思いをさせないような接し方を親が心がけること、そのことが一番重要だと思います。