【今回の記事】

【記事の概要】
   自分は、子どもにとって話しかけやすい母親だと思いますか? 2018年8月12日発表の江崎グリコによる調査結果によれば、実は、子どもの3分の2が「母親に声をかけづらい」と感じている...というのです。

母子コミュニケーションにおける2つのカギ
   調査は「母と子のコミュニケーション」をテーマに、中高生の子どもを持つ母親1000人と中高生の男女1000人を対象に実施されたもの(調査期間:7月27日~8月2日)。
   まず、普段の母子間における「会話の頻度」と「会話時間」について尋ねたところ、会話頻度が高い母子は会話時間も長いことが分かり、“頻度”が「3回以上」と「2回以下では、“時間”が1日あたり約1時間もの差が母子ともに生じていました。
(グラフに人型マークが付いている数値は全体の平均値)

「会話のタイミング」については、母子とも「食事を一緒に食べているとき」が最も多く、「一緒に出かけているとき」「テレビを一緒に見ているとき」などが上位にあがりました。母子のコミュニケーションのカギは「頻度」「一緒に何かをする」ことにあるようです。

母親はどんなことでも聞きたいけど...
   調査によれば、母子の普段の会話は「学校」「友達」「部活」「将来」といった内容が中心。ただ、母親の「聞きたいこと」と子どもの「話したいこと」にはギャップがあるようです。具体的には、母親「今日あった出来事の報告」(85.5%)、「今日うれしかったこと」(74.9%)、「友人関係の悩みごとの相談」(62.3%)、「今日悲しかったこと」(57.2%)など、どんなことでも聞きたいと思っているのに対し、子どもは「今日あった出来事の報告」(59.1%)、「今日うれしかったこと」(47.5%)、「褒めてもらいたいこと」(31.5%)など、ジティブな話や話しやすい話題がメインです。ただ、母親との会話の頻度別で見てみると、頻度が3回以上の子どもは2回以下の子どもに比べて「(様々な)悩み事」に関する話も「話したい」と考えていることが分かりました。

母親が自分で思ってるほど、話しかけやすくない?
   また、「話しかけやすさ」の認識にも母子との間でズレがあるようです。調査では母親の約半数(48.3%)が「子どもはちゅうちょなくいつでも自分に話しかけられると思う」と答えているのに対し、「お母さんにはいつでも声をかけられる」と答えた子どもは3人に1人(34.5%)にとどまりました。

さらに、子どもの約8割(77.1%)が「母親に話しかけようとしてやめたことがあることも明らかに。具体的には「お母さんの機嫌が悪そうなとき」「お母さんが忙しそうなとき」「お母さんの体調が悪そうなとき」といったシーンに、話しかけるのをやめることが多いことが分かりました。
「片手間で会話」が想像以上に子どもを傷付けてる!?
   母親との会話の悩みを持つ子どもは、全体の43.9%(男子47.2%、女子52.8%)。「お母さんに話しても興味なさそう」(37.2%)、「お母さんは片手間で話をきいているからしっかり聞いていなさそう」(30.8%)など、母親のつれない態度が悩みの種になっているようです。

   加えて、悩みのある子どもは「家族の幸せの実感値」が低いことも分かり、悩みがある子どもとない子どもでは「幸せの実感値」が20ポイントもの差が出ていました。「母親からの愛情」に対しても同様の傾向で、悩みがある子とない子では「母親から愛されていると思う」の回答率に16.4ポイントの開きがありました。母親との会話の悩みは、母子関係、家族関係全体にも影響を与えるものになっているんですね。「片手間」という部分に心当たりのあるお母さんは、子どもとしっかり向き合って話を聞くことを意識するといいかもしれませんね。

【感想】
   さて、今回の記事を読んで気がついたことや感じたことをいくつかの項目に分けてお話ししたいと思います。

タイミングを決めて会話の頻度を増やす
   記事では「会話頻度が高い母子は会話時間も長いことが分かり、“頻度”が『3回以上』と『2回以下』では、“時間”が1日あたり約1時間もの差が母子ともに生じていた。」ことが指摘されています。
   また、「『会話のタイミング』については、母子とも『食事を一緒に食べているとき』が最も多く、『一緒に出かけているとき』『テレビを一緒に見ているとき』などが上位に挙がった。」とも指摘されています。
   親子で会話をする機会を1日に3回以上(例えば①朝食時②夕食時③テレビを見ている時等)ある程度決めておくと良いのではないでしょうか?

3回めの会話で初めて子どもの悩み事が聞ける?
   記事では「頻度が3回以上の子どもは2回以下の子どもに比べて『(様々な)悩み事』に関する話も『話したい』と考えている」ことが指摘されています。
   会話内容のベスト2は「今日あったことの報告」「今日嬉しかったことの報告」とのことです。母親との会話が1日2回以下の子どもに見られるように、この2つの会話は「−5%」ですが、悩み事になると「−10%」に下がります。つまり、会話が2回だけだと、会話が「今日あったことの報告」「今日嬉しかったことの報告」に留まり、“悩み事”まで話そうと言う気持ちが起きない特徴が見られます。子どもが、“まずは”自分にとってポジティブな内容を話したいと思うのは自然なことでしょう。“更に悩み事を、となるためには「+α」としての“頻度”が大切になるのでしょう。

話しかけづらい母親とは?

   記事では「母親との会話の悩みを持つ子ども」の理由として注目すべきは、「お母さんに話しても興味なさそう」「お母さんは片手間で話を聞いているからしっかり聞いていなさそう」、「子どもの約8割(77.1%)が『母親に話しかけようとしてやめたことがあることも明らかに。具体的には『お母さんの機嫌が悪そうなとき』『お母さんが忙しそうなとき』」と指摘されています。

「お母さんの機嫌が悪そうなとき」は話しかけづらいとのこと。如何に母親の“微笑み”が大切かと言うことが分かります。また、普段から出来るだけ口角を上げる意識があれば、子どもに与える印象がかなり違ってくるはずです。

   また、母親であっても、全ての仕事よりも子どもとの会話を優先させることは難しいと思います。しかし、「お母さんは片手間で話を聞いているからしっかり聞いていなさそう」と子どもが思っているということを自覚していれば、できる範囲で子どもに“視線”を送ろうという意識が生まれると思います。子どもも、母親が仕事をしているという状況は分かっています。ですから、ちょっとでも笑顔で自分を見てくれたらそれで満足するのです。

   改めて「安心7支援」の「③子供を見て微笑む」という愛情行為の大切さが分かります。


母親との会話が家族関係にまで影響を与える?     

   記事では「“母親との会話”の悩みは、母子関係、家族関係全体にも影響を与える」と指摘されています。つまり、「母親から愛されること、それ自体が子どもにとっては大きな幸せ」ということですね。子どもは母親の笑顔が大好きです。“子どもを受容する”という「母性」の働きのためでしょうか、母親って偉大です!😢

子どもは、親が思うほど母親に声をかけやすいとは思っていない

   今回の記事で、お母さん方が一番「ドキッ」とする指摘はこれではないでしょうか?「母親約半数(48.3%)が『子どもはちゅうちょなくいつでも自分に話しかけられると思う』と答えているのに対し、『お母さんにはいつでも声をかけられる』と答えた子ども3人に1人(34.5%)にとどまりまった。」つまり、子ども達は親が思っている以上に、「お母さんは片手間に相手をしている」とか、「今は忙しくて気持ちに余裕がなさそうだ」とか、そういう目で母親を見ているのです。

   残念ながら、親に相談しないままに自死に至るケースが多発していますが、いざという時に子どもの深刻な悩みの手助けができるように、お母さんは普段から子供を見て微笑む意識を意図的に持つことが大切になりそうです。