親は子どものためを思って一生懸命しつけをしようとします。しかし、その時、逆に子どものやる気スイッチをオフにしてしまう、親のあるオーラが生まれることがあります。 その名は「させるオーラ」。これは、中京大で退官された鯨岡峻先生が著書(鯨岡2011)の中で述べている言葉です。これは、「ちゃんとしつけよう」「ちゃんとさせよう」という親の思いが強過ぎるときに親から発せられるオーラのことです。
  「ちゃんとしつけよう」「ちゃんとさせよう」と子どもの前に立っている親の表情態度はどうなっているでしょうか?眉間にシワが寄って、目はギラギラ…?口から次から次と繰り出される言葉は語気が強く、時には子どもの腕を引っ張って、力づくでも言うことを聞かせようとするかもしれません。 そういう時の親が発する、えも言われぬ“恐怖のオーラ”を子どもは敏感に感じ取り、親との間に心理的な壁を感じて近づきにくくなり、更には親への反発心さえ生まれ、親の言うことを聞かなくなるのです。
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 当然のことながら、「子どものやる気スイッチを入れる方法」と逆のことをすると、子どものやる気スイッチは入りません。繰り返しになりますが、見て、微笑んで、聞いて、共感して、穏やかに話すことによって、子どもを肯定的に受け止める「愛着7」は、子どものやる気を左右する大切な“スイッチ”でもあるのです。
 この「させるオーラ」は特に、外部からの刺激に対して人一倍敏感に反応する“感覚過敏”の子ども(例〜強い叱責が苦手、新しい環境や人が苦手、生真面目、言動が大げさ、ある事へのこだわりが過度に強い、等の子ども)ほど、より敏感に感じ取ります。しかし、人間は誰でも程度の差こそあれ、“感覚”というものを持っています。いわゆる“鈍感”と言われる人でも、感じ方が弱いだけで“無感”ではありません。ですから、全ての子ども達が、大なり小なり大人が発する「させるオーラ」を感じるのです。

   ちなみに、特に“感覚過敏”の子どもが感じる「ドキドキ」の不安感を安心感に変えるうえで特に有効なサポート法は「セロトニン6」です。この元となる「セロトニン5」を脳科学の見地から考案した平山氏は、「『愛着』の形成法は『セロトニン5』と同じ方法」と指摘していますが、確かに「愛着7」の②③④⑥は「セロトニン5」と同じ内容になっています。ただ、「愛着7」はある5人の愛着専門家の指摘する愛着形成法を比べて共通点の多い愛情行為を拾い上げたものであり、それら7つの愛情行為のほとんどが「セロトニン6」と同じになったのは全くの偶然です。
   “感覚過敏”の子どもの不安感を安心感に変えるための「セロトニン6」と、人間同士の「愛着(愛の絆)」を形成するための「愛着7」。目的は違っても実質的には同じ内容であるこれらのサポート方法は、まさに「養育の基本サポート」と言えるのかもしれませんね。