【今回の記事】

【記事の概要】
   日本女子卓球界は、どのようにして若い才能を発掘し、育成してきたのだろうか。この状況を作った立役者のひとりである、前日本女子卓球監督・村上恭和氏に聞いた。

――どういう選手が強くなるんですか?
村上 理解力のある選手ですね。
――理解力とは?
村上 僕の考える「理解力」とは、何かアドバイスをされたときに、冷静に自分を振り返って、自分の頭で考えて、「なるほど、それをしなければ強くならない」と思える力です。言われたことをやるのではなく、自分の頭で「それが自分には必要だ」と思ったことをやる。これができる選手だけが強くなります。だって、そうでしょ? 言われたことをやるだけの選手は、監督やコーチが見ていないところではやらないかもしれない。だけど、自分がやらなければならないと「理解」したら、誰も見てないところでもやるでしょ? それが「理解力」です。
――村上監督は選手に「理解」させるために、どのような工夫をしているのですか?
村上 日本や他国で世界チャンピオンになった選手の話をしたり、他のスポーツで成功した選手の本をすすめたり、とにかく、本人が自力で何かに気づくようなヒントを与え続けますね。厳しいトレーニングを課したり、説教したりしたって意味ないですからね。無理やりやらされても、自分の頭では考えないし、説教なんかしたって、聞いちゃいませんよ。それよりも、自分で気づいてもらうしかない。それ以外に、成長の糸口をつかんでもらうことはできないと思いますよ。あくまで、どうやって本人が「理解」するか。「悟る」か。指導者は、そのヒントを与え続けるほかないと思います。

【感想】
   前日本女子卓球監督の村上氏は強い選手になる条件として、次のことを挙げています。
「『それが自分には必要だ』と思ったことをやる」
確かに、卓球に限らず、何事においても、子供が自分が取り組むことの意義を理解していなければ、所詮は“人からやらされている活動”になってしまい、中途半端な取り組みに終わってしまうものです。

   さて、親御さんが子供達に「自分に必要」と思ってほしいことは色々あると思いますが、多くの方が頭を抱えているのは、やはり“勉強”ではないでしょうか?
「宿題はやったの?」「もっと頑張って勉強しなさい!」といつも親から言われている子供はたくさんいると思います。しかし、言われれば言われるほど、親の存在が疎ましく思えてくる。小さいうちは言われた通り渋々やるけれども、中学生くらいになって、自分なりの考えが持てる(「自我の発達」)ようになっても、相変わらず同じように口うるさく干渉されるため、「うるせえ!」と反発してしまう。親子関係、すなわち、子供の成人後の人格にまで影響を与える親子間の「愛着(愛の絆)」にヒビが入ることもあり得ます。
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   そこで今回は、子供が「勉強は自分に必要だ」と理解するためにはどうすればいいか?という事について考えたいと思います。ただし、「しっかり勉強すれば、いい高校、いい大学に入ることができ、一流企業に就職できるから」という“神話”的な理由はもはや崩壊しつつあります。なぜなら、最近はなかなか正社員として就職できない高学歴の若者が増えているからです。そこには、会社の採用基準や、生活環境等、高学歴が故の事情があるようです。
   その為今回は、偏差値重視の勉強ではなく、将来の生活役立つ勉強について考えたいと思います。そもそも子供は、「高学歴であれば豊かな生活が保証される」というような“神話的な理由”では納得できずません。納得できる“必然性のある理由”でなければ「自分に必要だ」とは思うことはできないのです。特に男の子はその傾向が強いと言われています。

   長くなるので、「子供が『勉強が自分には必要だ』と気づき、加えて、それを実践に移せるようになるにはどうすればいいか?については、次回にお話ししたいと思います。
(次回につづく)