【今回の記事】
【記事の概要】
最近の子供はおとなしくなった。そんなイメージからか、10代に入るあたりで起こる反抗期がないケースが増えているという。本当か。
明治安田生活福祉研究所が昨年、全国の親子に調査したところ、(自分自身が)反抗期がなかったと答えた親(世代)は男性28.1%、女性26.4%だったが、15~29歳の子供(世代)は男性42.6%、女性35.6%とハネ上がるのだ(2016年、親子の関係についての意識と実態)。子供がおとなしくなっている傾向はデータが裏づけているが、なぜ反抗期のない子供が増えているのだろうか。
明治安田生活福祉研究所が昨年、全国の親子に調査したところ、(自分自身が)反抗期がなかったと答えた親(世代)は男性28.1%、女性26.4%だったが、15~29歳の子供(世代)は男性42.6%、女性35.6%とハネ上がるのだ(2016年、親子の関係についての意識と実態)。子供がおとなしくなっている傾向はデータが裏づけているが、なぜ反抗期のない子供が増えているのだろうか。
カウンセリングオフィス「AXIA」の心理カウンセラー・蔵野まどか氏はこう話す。
「反抗期がないというより、子供の反抗の形が変わってきているのではないかと考えられます。反抗するとしても、子供は必ずしも親に感情を向けるとは限りません。今はスマホなどインターネットが身近な存在となり、反発心やさまざまな葛藤をSNSやネットの世界にぶつけている子供たちも多い。また、リストカットなどの自傷行為によって、他人ではなく自分に向けていることもあります」
「反抗期がないというより、子供の反抗の形が変わってきているのではないかと考えられます。反抗するとしても、子供は必ずしも親に感情を向けるとは限りません。今はスマホなどインターネットが身近な存在となり、反発心やさまざまな葛藤をSNSやネットの世界にぶつけている子供たちも多い。また、リストカットなどの自傷行為によって、他人ではなく自分に向けていることもあります」
親世代の反抗期とは様子が異なるため、子供が反抗期の真っただ中にいても親に気づかれなかったり、本人も自覚していなかったりする可能性があるという。
「成長の過程で通る思春期では、自分なりの考え方や感性が培われていきます。それを自己主張するときの手段のひとつが反抗です。(しかし)親が、子供の意思決定や行動を認めない家庭環境だと、子供は『言ってもムダ』と学習して自己主張を諦めることがあります」(蔵野氏)
子供が自己主張のできる親子関係ができていれば、目立った反抗は少なくなるという。“諦めて自己主張しない”のと、“親との関係性を理解してやらない”のとでは、子供の心理的な影響が大きいだろう(大きく異なるだろう)。反抗を諦めた子供はどうなるのか。
「大人になって欲求のコントロールが難しくなったり、責任を持って一つ一つの行動を選択する力が乏しくなったりします。社会に出てから自己主張ができない大人になることもあるのです」(蔵野氏)
思春期の子供が話すことは、頭ごなしに否定しない方がいい。
「成長の過程で通る思春期では、自分なりの考え方や感性が培われていきます。それを自己主張するときの手段のひとつが反抗です。(しかし)親が、子供の意思決定や行動を認めない家庭環境だと、子供は『言ってもムダ』と学習して自己主張を諦めることがあります」(蔵野氏)
子供が自己主張のできる親子関係ができていれば、目立った反抗は少なくなるという。“諦めて自己主張しない”のと、“親との関係性を理解してやらない”のとでは、子供の心理的な影響が大きいだろう(大きく異なるだろう)。反抗を諦めた子供はどうなるのか。
「大人になって欲求のコントロールが難しくなったり、責任を持って一つ一つの行動を選択する力が乏しくなったりします。社会に出てから自己主張ができない大人になることもあるのです」(蔵野氏)
思春期の子供が話すことは、頭ごなしに否定しない方がいい。
【感想】
若干、意味が捉えにくい部分があるので、私なりに整理をしてみたいと思います。
まず、今回の記事で取り上げられている思春期に表れる「第二反抗期」は、「自我の発達」と言われ、それまで「子供」としての単純な考えしか持たず、親に言われる通りに行動していた子供が、より「大人」に近い自分なりの考えを主張するようになる時期のことです。また、2、3歳頃に表れる「第一反抗期(別名「イヤイヤ期」)」は、「自我の芽生え」と言われ、それまでは親に“受容”ばかりされていた子供が、初めて自分なりの考えを持ち自ら行動しようとする時期です。
まず、最近、本来は第二反抗期にあるにも関わらず、“反抗”態度があまり見られない子供が増えてきているとのことですが、その内実は、2種類に分かれているようです。一つは、
(A)子供が自己主張が許される親子関係にあり目立った反抗が少なくなる場合。
もう一つは、
(B)「言ってもムダ」と諦めて親に対して自己主張しない場合。
です。
まず、「B」についてですが、自分なりの考えを主張しようとしても、「子供のくせに」「生意気な」「うるさい」と、親がそれを押さえつけようとすると、反発心が生まれ、それを親に対してではなくネットの世界にぶつけたり、リストカット等の自傷行為に走ったりするケースです。
今の親世代が子供だった頃は、今ほどインターネットが普及していなかったために、反抗は親に対してするしかなかったのですが、スマホをはじめとしたインターネット利用が普及した今の時代は、親への反発から生まれるストレスをネットの中で匿名性を利用して他者を攻撃する事で解消しようとするのです。
また、“自傷行為”に走るのは、昔に比べ親子間の「愛着(愛の絆)」が形成されなくなったために、精神的に不安定である「不安型」や「混乱型」の人格を身につけてしまい、「不安障害」や「境界線パーソナリティー障害」に陥ってしまう為と思われます。
次に、「A」についてですが、子供が自己主張した時に、親がそれを押さえつけずに主張を受け止めると、子供は余計な反抗をせず、“正しい自己主張”で終わるケースです。つまり、「反抗期」とは必ず親に反発するとは限らず、親が「自我の発達」という第二反抗期の意義を理解して子供の主張を尊重して接すると、子供は正しい自己主張をする事が出来、自分の考えを尊重してくれた親に対して余計な反発心を抱かないのです。
問題は、「B」のように反抗を諦めた子供のようです。「反発の気持ちをネットに世界にぶつけているなら誰にも迷惑をかけていない」等と安心するのは大間違いのようです。
このタイプの子供は、大人になった時に、欲求のコントロールが難しくなったり、責任を持って一つ一つの行動を選択する力が乏しくなったりすると共に、社会に出てから自己主張ができない大人になることもあるそうです。“自己主張”とは、自分自身の中で自己決定し、それを他者に伝える行為です。それを抑え込もうとする親の行為は、「自分は何をやりたいか」「自分は何をするべきか」という事を自分自身で決める力や、周囲に自分の考えを主張する力を奪う事になるのです。
しかも、その対象が匿名性を利用した“ネット”であった場合、実社会に出た場合には、現実に自分の身の回りにいる同僚に対して自己主張する力は身につきませんし、“自傷行為”である場合なら尚更、実社会で自立した生活を送る事は難しいでしょう。“生身の人間”である親に対して自己主張して初めて、自分自身の中で自己決定し、それを他者に伝える力を身に付けることができるのです。「子供のくせに」「生意気な」「うるさい」等と軽々に子供の自己主張の権利を奪うことは、長期的に考えると、将来に通用しない人間に育ててしまう事になるのです。
親にとっては、生意気で煩わしく映る反抗期ですが、実は、大人になるための大切な準備段階なのですね。