(この「愛着の話」は精神科医の岡田尊司氏を中心に、各専門家の文献を、内容はそのままに、私が読みやすい文章に書き換えたものです)


   いわゆる「反抗期」と言われる時期は二度あります。第一反抗期は2~4歳頃に現れます。第二反抗期は中学から高校の頃に現れます。
○第一反抗期
   まず、第一反抗期についてですが、特に二歳を過ぎると、脳神経回路がどんどん増えて、脳が興奮状態に置かれるので、子どもは常にイライラして、かんしゃくを起こしたり、なんでも「イヤイヤ」と反抗したりします。また、それ以前は自力で行動することがほとんどできなかったのに対して、この頃からは、自分の力で行動することができるようになるため、「自分で何とかしよう」「自分は一人でできるんだ」という自分なりの考えが生まれるようになります。これがいわゆる「自我の芽生え」と言われるものです。
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つまり、この時期の反抗的な態度は、自分でできるようになってきたという正常な発達の証と捉え、あまり叱らないようにしましょう。子どもが反抗したらそう、自分でやりたいのね」と言って子どもにまかせて活動の様子を微笑みながら見てあげましょう。そして、子どもが自分の力でできた時は、「よくできたわね」と子どもの喜びに共感してあげましょう。そうすることで、ますます親子の心の絆は深まります。もし、子どもが自分でやってみたけれどもできなかったときには、「ほらごらん」等と子どもを責めないで、「この次はできるといいね」等と言って励ましましょう。場合によっては、なかなか情緒安定しないときもあるかもしれません。そんな時は、子どもの目線で抱きしめて、深呼吸させて興奮を静めから、静かな口調で人や物に当たってはいけない」こと、「親の言うことは聞かなくてはいけない」こと等をやさしく教えましょう。社会のルールを教えるのは親の義務であり、しつけは大切な役目です。
   ただ、「しつけ」と「叱る」を混同しないでください。よく見られるのが、お母さんが命令口調で「これを食べなさい」とか「おしっこへ行って来なさい」等と子どもに言うことです。すると、この時期の子は、ほとんどの場合、「いや!」と強く反抗することが更に多くなります。子どもの力では無理だと思えるようなことでも、「自分でする!」と我を張るので、反抗期についてあまり理解されていないお母さんの場合には、「強情な子」とか「わがままな子」のように映り、叱ったり叩いたりすることになるのでしょう。それがきっかけでお母さんにその後“怒り癖”がつくことも十分考えられます。
   しかし、一方でこんな事例もあります。お母さんやお父さんがおおらかな心の持ち主で、しつけを急いでいない場合です。このような両親は、命令調で物を言うことが少ないし、子どもに反抗されてもそれを受け止めます。叱ることも非常に少なくなります。そうなると、子どもは反抗の仕様がなくなり、我を通す場面も少なくなります。つまり、親の子どもに対する話し方次第で、子どもの反抗の度合いも変わってくるのです。加えて、先の反抗期の意義を親御さんが事前に理解していれば、想定内の対応ができますし、「ここまで育ってくれたか」と、成長を実感できる場面にもなるかもしれません。
 中には、第一反抗期が現れないという子どももいます。その多くの場合、一歳代において親から常にいたずら」を禁止され、おとなしい子どもにされてしまったためです。お母さんやお父さんの厳しいしつけによって誤ったよい子」の鋳型にはめられて、身動きができない状態なのです。
   ただし、これは赤ん坊に限ったことではありません。小学生、中学生、更に大人であっても同じです。発達上仕方がないときや、一生懸命やっている人がいるときに、相手を責めてはいけません。本人としてはどうしようもない状況下で、叱責を浴びせると、叱られたその人の自己肯定感下がってしまいますし、何より、その大人との愛着ひびが入ってしまいます。