先日の衆議院議員選挙でも常に世間の注目を集めていた小泉進次郎議員。彼ほど国民から愛されている政治家はいないのではないでしょうか。きっと、彼の誠実さ正直さ明るさ等が国民から愛される理由なのだと思います。

   そんな中、あるテレビで、進次郎氏の魅力を特集する番組が放送されていました。その中で、今の進次郎氏を象徴するような中学校時代のエピソードが紹介されていました。
   ある日、視力が悪くなり初めてメガネをかけて来た友達がいたそうです。その友達は、「僕がメガネをかけるとサラリーマンみたいに見えるから嫌なんだ」と塞ぎ込んでいました。すると、進次郎氏は「メガネとても似合ってるよ」とその友達を褒めたそうです。
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「さすがは進次郎氏」と感心させられるエピソードです。
   しかし私の教職経験上、例えばこのエピソードのように、初めて学校に眼鏡をかけてきた友達がいると、逆にからかう子供たちが多数であるのが現実であるように思われます。
   また、友達が散髪して登校するケースも同様です。視力の良し悪しに関係なく、全ての人が髪が伸びるわけですから、学級生活を送っていれば必ず遭遇する場面です。しかしこれも私の経験上からすると、髪を切ってきた友達をからかう子供の方が多いのが現実です。
   
   他人の身体的特徴、いわゆる“容姿”についてのからかいは、からかわれる子供からすれば、大きな精神的苦痛となります。なぜなら、太っていたり痩せていたり、顔にアザがあったり、メガネをかけたり、髪が短くなったりする事は、本人の努力によって直せることでは無いからです。髪を切った夜には多くの子供が「明日、友達からからかわれないかなぁ」と気分が憂鬱になっているのではないでしょうか?
   しかし、子供というのは不思議なもので、自分が言われると嫌な気持ちになるのに、なぜか友達がメガネをかけたり髪を切ってきたりすると、友達から嫌な顔をされるのを分かっていながら、ついからかってしまうのです。なぜでしょう?
   実は、子供はある意味残酷な生き物なので、大人から“放任”されていれば、他者を傷つける言動を見せるのは当然の結果なのです。そんな子供を社会集団の中で周囲から愛されながら生活できるように成長させるためには、大人による「ソーシャルスキル(社会生活の中での立ち振る舞い方)」の指導が必須となります。
   例えば、親子の場合を例に考えてみましょう。
親「お前は、今までに髪を切って学校に登校したときに、誰か友達からからかわれた事はあるかい?」
子「うん、あるよ。」
親「その時、どんな気持ちだった?」
子「とても嫌な気持ちがした。」
親「じゃあ、もし誰か友達が髪を切ってきたとき、お前はどうする?やっぱりからかう?」
子「ううん。その友達が嫌な気持ちになるからからかわない。」
親「じゃあ、何か言葉をかけるとしたらなんて言う?」
子「『似合ってるよ』とか、『サッパリしたね』とか…。」
親「そうだね。そう言ってもらったら友達の気持ちも晴れるだろうね。じゃあ今度誰かが髪を切ってきたら、そんな言葉をかけれるといいね。」

   ここまでの指導だけで、子供は必ず次の日から髪を切ってきた友達に肯定的な言葉がけをするでしょう。なぜなら、子供というものは、正しい言い方正しい行動の仕方を教えられると、「これはいい事を教えてもらった!」と教えられた通り自信を持って行動するようになるからです。
   子供達は、毎日の生活の中で、「こういう時はどのように言えば良いのだろう?」「こういう時はどのようにすれば良いのだろう?」と迷いながら生活をしています。つまりは、自分の行動の仕方に自信がないのです。そして良いアイディアが浮かばないでいると、つい“子供の本性”から友達を苦しめる言動をとってしまうのです。そうならないようにするためには、普段から大人が子供たちに対して、正しいソーシャルスキルを教えておく必要があるのです。
   そのきっかけは、やはり子供との対話だと思います。子供が嬉しかったことがあれば、誰のどんな言動が良かったのかを、逆に子供が嫌だったことがあれば、誰のどんな言動が悪かったのかを親子で話し合うことができます。そうする事で、「どんな言動が望ましいのか?」「どんな言動が望ましくないのか?」が明らかになるでしょう。
   そのためにも、親が普段から「愛着7」の愛情行為の中の「微笑み」や「優しい言葉がけ」等に気をつけて、子供が親に話しかけやすい雰囲気作りに努めることが望まれると思います。

   因みに、進次郎氏の実の母親は氏が1歳の時に離婚しており、実質の育ての親は父純一郎氏の姉故道子さん(享年84)だったそうです。そんな中、進次郎氏が中学2年生になった時に、父純一郎氏は子供達を呼び「(実は)ママは私の姉なんだ」と言ったら、進次郎は『(ママは)ボクにとっては本当の母親だよ』とはっきり言ったそうです(詳細は「小泉純一郎氏が進次郎少年に語った真実 「お前のママは本当の母親じゃないんだよ…」」参照)。如何に、道子さんが進次郎氏達に沢山の愛情を注いでいたかが分かります。その深い愛情があったからこそ、友達に肯定的に接する優しい中学生進次郎少年が育ったのでしょう。