【今回の記事】

【記事の概要】
   深いムダ毛をコンプレックスに感じている子供は多くいます。それが原因で濃い眉毛をからかわれたり、口ヒゲをからかわれたり。「毛深いこと」でいじめの対象になることもあるようです。
   そうした理由から、最近ではキッズ脱毛を行う子供が増えてきました

【感想】
   あるテレビ番組を見ていたら、脱毛処理をする小学生や未就学児が増えてきているという特集をしていました。
   脱毛自体は、安全な脱毛の処理方法があるそうですが、その番組が行った調査によると、子供の脱毛に反対する意見は9割を占めていました。
   脱毛を始める理由としては、最も多いのが上記の記事にもあるように、「毛深いことを友達からからかわれ、いじめに遭うのが怖いから」というものでした。
   また、最近ではスマホで自撮りをする子供が増え、そのために自分の毛深さが気になり脱毛する子供もいるそうです。

   私はこのニュースを見て、ある意味深刻な問題が潜んでいるような気がしました。

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   一つは、友達の身体的特徴(体毛、体形、顔、あざ等)をからかう子供がいるということです。この身体的特徴は生まれながらのもので、自分で変えたいと思っても変えることのできないものです。ですから、そのことをからかわれると、大きな精神的苦痛を味わうことになります。今の法律では、本人が耐え難い精神的苦痛を感じる行為は、相手の意図に関わらず「いじめ」と定義されています。
   国立教育研究所の滝充氏は、いじめについて、加害側の子供が自身の置かれている環境に適応できずに溜めたストレスを、他者に対してそれを発散することによって起こる行為と指摘しています。「加害側の子供が置かれている環境」とは、具体的に言えば“家庭環境”が挙げられます。精神科医の岡田氏は、通常の家庭でも子供が愛着障害になりかねない要因として、家庭における「親の否定的・支配的養育態度」を最も危惧しています。これは、今の家庭の中で最も典型的に見られる現象で、「うるさい!」「はやくしなさい!」「何回同じことを言わせるの!」「もうあなたのことなんか知りません!」等、親が何気なく使う「否定的」な言葉が、子供の人格形成に一生にわたって影響を及ぼす、親子間の「愛着(愛の絆)」の形成に必要な親の「安全基地」としての機能を「危険基地」へと変化させるのだそうです。こうした家庭が増えることによって、家庭の中でストレスを溜める子供が増え、結果的に学校でいじめに走るのです。
   今回取り上げた子供の脱毛処理は、こうした急増するいじめに対する一種の“防衛行動”と言えるかもしれません。

   もう一つは、スマホでの自撮り行為をきっかけにして自分の毛深さが気になり脱毛処理をする子供が増えているように、小学生のうちから、自分の“見た目”に過度にこだわる子供が育つのではないか?という心配です。大人が自撮りをしてInstagramにアップする場合は“化粧”という自分をきれいに見せる手段がありますが、子供にはそれがありません。その結果“脱毛”という手段に走るのではないでしょうか。更に、場合によっては、“毛深さ”以外にも自分の容姿について気にし始める子供が出てくる事も考えられます。例えば、自分の体形が気になり出した子供は、子供のうちから無理なダイエットに走るようになるかもしれません。つまり“自撮り”行為自体が子供自身のコンプレックスを作る要因になる危険もあり得るということです。そのために、友達から変に見られていないだろうか?」と気にしながら生活をすることは、子供の不安感を高め、結果的に子どもの自己肯定感を下げてしまうことにもなりかねないのです。
   また、これは取り越し苦労かもしれませんが、「脱愛着化(特に母子間の「愛着」が失われる現象)」が進み、不安定な人格の子供達が増えている昨今、仮に自撮りした写真をネットにアップすれば、そのことに対して「あの子は目立ちたがり屋」という否定的な捉え方をする子供たちが出てこないとも限りません。それもいじめの要因になる場合があります。

   先のテレビ番組での調査結果では9割の人が子供の脱毛に反対しているという事です。子供を脱毛処理に走らせないためには、友達からの視線を気にせず、のびのびと生活できる環境を大人が作ってあげる必要があります。
   そのために大人がするべきことが二つあります。
   一つは子供をたくさん褒めて自信や生活意欲を高めることです。「さすがは◯◯、優しいね」「前よりも△ △ができるようになってきたね」などと子供の自信や意欲を高める評価をすることで、子供の自己肯定感が高まります。
   もう一つは、我が子が家庭内でストレスを抱き、自分より弱いものを攻撃するような不安定な「愛着パターンを持たないよう、特に母子間の「愛着(愛の絆)」を形成する事です。そのためには日常的な子供に対する愛情行為(例「愛着7」)が必須のものになります。また、その事こそが、いじめを根本的に撲滅する方法に他ならないのです。