【今回の記事】

【記事の概要】
①団地はもとより高級マンションもガラガラ。下水道、道路は壊れたまま所得税だけで50%救急車、パトカーを呼んでもすぐ来ない。年金は78歳から スナック、バー、レストランは半分潰れる。大学と予備校も次々潰れる。多くの先生が職を失うーー。

   国立社会保障・人口問題研究所の人口推移予測では、「2010年に比べて、2040年にどれくらい人口が減っているか」が全国すべての市町村について算出されている。その数値は衝撃的だ。何しろ、多くの人が知る有名な自治体が、軒並み3割~4割減、中には5割近く減らす街も珍しくない。しかも、いわゆる「過疎地」ではない場所ばかりである。一部を列挙するだけでも、
北海道函館市→37%減
青森県青森市→31%減
山形県鶴岡市→31%減
茨城県日立市→27%減
栃木県日光市→33%減
群馬県桐生市→36%減
千葉県銚子市→43%減
神奈川県横須賀市→25%減
新潟県佐渡市→41%減
岐阜県飛騨市→41%減
静岡県熱海市→43%減
大阪府富田林市→28%減
兵庫県尼崎市→25%減
広島県呉市→33%減
山口県下関市→30%減
熊本県天草市→42%減
宮崎県日南市→35%減
鹿児島県指宿市→33%減

 各地を代表する観光地や都市が、3分の2、場合によっては半分の規模に縮小してしまう。さらに人口が少ない町や村は言わずもがな。地域経済、住民の生活、そして行政サービスが立ち行かなくなるのは目に見えている。

 内閣府が算出した中でも「最悪のシナリオ」では、日本の全人口は、2050年には現在の1億2600万人から4000万人減り、8000万人台に突入する。しかも、そのうちの4割、3000万人以上が65歳以上の高齢者である。反対に、現役世代は4000万人あまりしかいない。若者は老人を、文字通り1対1の「肩車」で支えることを強いられる

人口減少そのものも問題ですが、もっと問題なのは、働ける人の割合が減ってしまうことです。働いている人でないと、税金も社会保障も負担できない。この先、日本では社会の『会費』を払える人が激減してゆくのです」(前出・松谷氏)
 そのとき、まず存続の危機にさらされるのが、年金制度であることは言うまでもない。松谷氏が続ける。
「現在と同じ年金支給水準をこの先も維持するためには、2050年の時点で、少なくとも現役世代に現在の約1.7倍の負担をさせる必要があります。そのような制度がもつのでしょうか」
 さらに氏の試算によれば、「年金だけでなく、現在のような手厚い医療保険介護保険などの社会保障制度を2050年まで維持しようとすると、現役世代は収入の9割を税金として納めなければならなくなる」という。給料袋を開けても、たった1割しか入っておらず、9割がたお上に巻き上げられる――いかにおとなしい日本人といえども、さすがに暴動が起きるだろう
 しかも現在、すでに政府内では、2030年をめどに、年金受給開始年齢を68歳~70歳に引き上げるプランが検討されている。
 そこから20年後の2050年、さらに支給年齢が10年引き上げられれば、「年金支給は78歳から」となり、一銭ももらえないまま死んでゆく人もかなりの数にのぼる。事実上の年金制度崩壊だ。
 
 夕方になっても、路上にはゴミ袋が山積みで放置され、カラスが群がってついばんでいる。切れた電線が垂れ下がって火花を散らし、道路のガードレールは車がぶつかってひしゃげたまま。
 道路の高架は鉄骨がむき出しになり、図書館などの公共施設はゴミと落書きだらけ。119をダイヤルしても、救急車は一向に現れない。
 行政が機能しなくなるというのは、つまりこういうことだ。「スラム街」なんて海外にしかないものと思っているわれわれ日本人も、認識を改めざるを得なくなる。

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②平成27年度時点で、現役人口(生産人口)の全人口に対する割合は60.7%、65歳以上の老年人口26.6%

【感想】
   この世界は、わずか30年後、つまり今の子供達が大人になり社会人として生活している時の社会です。中には、にわかには信じ難いものもありますが、これは内閣府が算出した「最悪のシナリオ」であり、最悪こういう社会状況に陥る可能性もゼロではないということです。とにかく、国立社会保障・人口問題研究所の客観的な人口推移予測から導き出される、その人口下での自治体の税収を根拠に考えられたものであり、決して嘘言などではないのです。

   現在(平成27年度時点)の日本の全人口に対する世代別人口割合は、現役人口(生産人口)が60.7%、65歳以上の老年人口が26.6%です。これが、33年後には現役人が約50%、老年人口が約40%となる見込みなのです。つまり単純にパーセンテージだけ見れば、現役人口は現在の約20%減、逆に老年人口は現在の50%増となります。つまり、20%も減った生産力を持つ人間が、50%も増えた生産力を持たない人間を支えなければならなくなるのです。そうなれば30年後の我が子が、記事に有るように、収入の9割を税金として徴収されたり、年金制度のために現在の約1.7倍の負担を課せられたり、行政サービスの機能が麻痺しスラム化した街に住んだり、仕事に就けず露頭に迷ったりする事も十分起こり得るのです。

   私は以前にこの人口減少問題に関わって以下の記事を投稿しました。
この中では、我が国の愛着研究の第一人者である精神科医の岡田尊司氏の文献から「1歳半までの養育を間違え母子の間に「愛着(愛の絆)」を形成することができないと、成人後結婚や出産を敬遠する人間に育つ」ということを紹介し、現在も進む“脱愛着化社会”のままでは出生数の減少歯止めがかからなくなることを述べました。なぜ1歳半までの養育成人後の結婚や出産にまで影響を与えるのか?という事については上記記事を参照して頂ければと思います。
   更に上記記事では、
愛着を形成するための具体的な方法
0歳〜1歳半までの愛着の形成の仕方
第一反抗期(「イヤイヤ期」)での愛着の維持の方法
第二反抗期での愛着の維持の方法
それ以外の時期での愛着の維持の方法
について述べた記事も紹介しています。

   なお、愛着は子供が生まれた後の養育環境によって形成されるものですから、今親子間の愛着が形成されていなくとも養育環境、すなわち子供への接し方を変えることで愛着を形成し直す事もできます。その際も上記の⓪〜④の愛着形成及び維持の方法が活用できます。それができれば、これから生まれる子供達に対して望ましい養育を施しその子らが成人するまで待たずとも、今現在の子供達が成人した時に結婚や出産に対して積極的な考え方が持てる大人に育てることは十分期待できます。

   選挙に勝つために、幼児・高等教育無償化を保証しても子供の出生数は変わらず、“少子・高齢化”という「国難」は続きます。
   30年後の日本を救うため、いや何よりも我が子が自分の未来をしっかりと生き抜いていけるようにするためには、今こそ社会全体が親子の「愛着(愛の絆)」の形成について真剣に考えなければならない、今正にその時が来ているのです。