【今回の記事】

【記事の概要】
   静岡市で父親を刃物で刺したとして、16歳の高校生の息子が逮捕されました。父親はその後、死亡が確認されました。
   殺人未遂の疑いで現行犯逮捕された静岡市の男子高校生は21日午後6時半ごろ、自宅で51歳の父親の首などを刃物で刺し、殺害しようとした疑いが持たれています。父親は搬送先の病院で死亡が確認されました。捜査関係者によりますと、自分の部屋でゲームをしていた息子に父親が「ご飯だよ」と呼びにいったところ、息子が激高し、台所の包丁で父親を複数回、刺したということです。警察は、息子が容疑を認めているかどうか明らかにしていません。容疑を殺人に切り替え、詳しい経緯や動機を調べています。

【感想】
   ゲームに熱中していたところに「ごはんだから終わりにしなさい」という親の声。どの家庭でも日常的に見られる場面です。しかし、その場面で起きたあまりにもショッキングな事件。

   このような事態に至る要因としては以下の3つほど考えられます。(以下は、今回の事件についてではなく、あくまで一般的な話として聞いてください。)

   1つめは、子供への話しかけ方です。
①「ごはんだから終わりにしようね」
②「ごはんだから終わりにしなさい!」
この2つの話しかけ方では、子どもが受ける印象にかなり違いがあると思います。①は誘いかける言い方ですが、②は命令調です。子供は命令調で伝えられた指示に対しては“反発心”を抱くことが多いです。

    2つめは、話しかける内容についてです。
   以前私は以下のような記事を投稿しています。
この記事の中では、子供が何らかの活動や作業に夢中になっているときに、それを止めさせたり急がせたりする時に、子どもの“反発心”を生まないための指示の仕方についてお話ししています。ポイントは、「①共感②理由③指示」です。例えば
「早く食べなさい!」
ではなく、
①美味しそうに食べてるね。でも、②学校に遅れちゃうから③急いで食べようね。
という指示です。詳細は、上記記事をご参照ください。
   また、今回の記事のような事例の場合は、
①ずいぶん熱中してやっているな。②もうすぐご飯だから、③あと10分くらいしたらおいで
のような指示が良いかと思います。特にゲームの場合は、ゲームの展開によっては子供にとって重要な場面をプレイしている場合があります。そんな時に「今すぐやめなさい」と言われるとどうしても反発心が生まれます。そこで、「共感」の他に「あと◯分くらいしたら」という「猶予」を与える事も必要になると思います。そうすれば、その時間の中で、子供は区切りのいい時を見つけて止める事ができます。もし約束の時間になっても、止めない場合は、「2回目だよ。終わりにしなさい。」と言うと行動を始めるでしょう。
   ゲームは大人にとっては意味のない単なる遊びという感覚があるかもしれませんが、子供にとっては、初めてクリアできるかどうかの瀬戸際である場合もあります。その子供なりの気持ちを理解した言葉がけをしてあげる必要があるかと思います。

   3つめは、子どもの“人格”です。
   冒頭にもお話ししましたが、ゲームに熱中していたところに「ごはんだから終わりにしなさい」と親が声をかけることは、どの家庭でも日常的に見られる場面です。ほとんどの場合はせいぜい口喧嘩で終わるところですが、今回の事例の場合は感情的に興奮し家族を刺すという事態にまで発展しました。
いつもイライラしていて感情を抑制できない。
かんしゃくを起こしやすい。
ムラっ気がありとか怒りっぽい
これらの症状は愛着不全の症状です。親子間の「愛着(愛の絆)」に問題がある場合は、子供が精神的に極端な言動に走ることもあり得ます。普段の愛着形成のための愛情行為(例「愛着7」)が大切になります。

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   繰り返しになりますが、今回の投稿での3つの指摘は、今後同じような事件を繰り返さないために、あくまで一般論としてお話ししたもので、今回の事例に特定したものではありません。私達も場合によっては、同様の事態に陥ることも可能性はゼロではないのです。