夏の甲子園の“ベスト4”をかけた準々決勝が昨日行われました。私の住む岩手県の代表、盛岡大学付属高校もこの準々決勝で戦いました。 1回戦から、昨年度の覇者作新学院、松商学園、済美といった甲子園の伝統校や常連校に勝ち挑んだ戦いでした。昨日は残念ながら花咲徳栄に10対1で負けてしまいましたが、私が小さい頃から岩手県代表と言えば、「出れば1回戦負け」の常連校でしたから、あの頃を思うと岩手のレベルの向上に驚くばかりです。(ちなみにプロ野球パ・リーグで現在防御率1位の西武の菊池雄星投手と、今をときめく日ハムの“二刀流”大谷翔平投手も岩手県の花巻東高校の出身です。)

   実は、昨日の戦いの中で、私がすっかり感心してしまった選手がいました。それは昨日先発し、8回まで投げぬいた盛岡大学付属の三浦瑞樹投手です。彼は、菊池投手や大谷投手のような剛速球があるわけでもありません。ストレートの球速も甲子園でも平均レベルの130キロ代前半です。
   そんな彼の武器は、「常に低めを意識して投げようと意識する姿勢」だと思います。その為この日も、相手チームの打者が打つ打球はことごとくゴロになりました。
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2回に打たれたホームランも、見事に内角低めにコントロールされた素晴らしい球でしたし、2,3,4回も常に打ちにくい低めに投げるので連打をされる事なく最小失点に抑えました。5回に打たれた2本のタイムリーヒットも、低めに投げたボールをゴロでセンター前に運ばれた当たりでした。さらに感心されたのは、5回に4点を取られ7対1と6点差をつけられたにもかかわらず、精神的に動揺することなく、6,7,8回をやはり低めに投げ続け無失点に抑えたことです。まだ18歳という子供にして驚くべき精神力です。盛大付属の監督も試合後のインタビューで打ちこまれているイメージが無かったので8回迄投げさせました。」と話していました。つまり監督も、低めを意識して投げ続けることが出来た三浦投手の投球を評価していたのです。更に、この日解説を務めた投手出身の杉浦正則氏も「とても粘り強い投球でした」と評価していました。
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   以前の投稿で、「“その子供ならではの良さ”を褒める(横断的個人内評価)」という話をしましたが、三浦選手ならではの良さは間違いなく「ねばり強さでしょう。三浦選手の親御さんも間違いなく我が子の「粘り強さ」を誇りに思っている事でしょう。
   野球の技術は大人になれば働かなくなる力ですが、この力は、彼が大人になった時にこそ生きて働く力です。

   この“ねばり強さ”は言葉を変えれば「自分の気持ちを自分でコントロールする力」つまり「自律心」です。これを身に付けるためには、乳幼児期に自己肯定感を高めることとストレスを軽減することが必要と言われています。これらは、母親と言う「安全基地」があって初めて身につくものです。きっと三浦選手のお母さんは、三浦選手を幼い頃から愛情を注いで育ててこられたのでしょう。

   そんな“自律心”の強い彼は、試合後に相手高校の校歌が流れている時も涙を流すことなく、マウンド上にいる時のように口を真一文字に結び、しっかりと前を向いていました。
   彼が将来どんな大人になるか今からとても楽しみです。