【今回の記事】

【記事の概要】
知人のホストから現金を脅し取ろうとしたとして、警視庁新宿署に恐喝未遂容疑で逮捕されたタレント・坂口杏里(26)が21日、釈放された。捜査関係者によると、容疑を認めており、同署などは今後、任意で捜査を進める。一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表で、ホスト依存症の相談も受けた経験のある田中紀子さん(52)は坂口のホスト依存を「重症」とし、脱却方法をアドバイスした。
   田中さんは、坂口のホスト依存について「自尊心の低さや、自己肯定感が持てない、という気持ちが生い立ちの中にあったのでは」と分析した。
   依存度については「逮捕されるレベルは重症」と説明。「周囲にいい大人がいる感じがしない。むしり取られている」と現状を危惧した。
   脱却方法については「カウンセリングを受け、メンタルのケアが必要。生きづらさを抱えた女性の自助グループは結構あるので、参加するのがいい。クリニックに行けば自助グループを紹介してくれる場合もある」と、自分から行動を起こすことを提案した。
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②(上記記事参照)

【感想】
   今回の投稿は、「坂口杏里がなぜ重度のホストクラブ依存症に陥ってしまったのか?」その背景について考えてみたい。

   私は以前に投稿した記事の中で、ウォルター・ミシェル博士の考えを基に、人間が本能的な欲求を我慢する力を身に付けるために必要な条件は「ストレスの少なさ」と「自己肯定感の高さ」であることを紹介した。以下に、この2つの条件に注目して杏里の生い立ちを振り返ってみたい。

   杏里の母親である坂口良子は、前の夫が抱えた多額の借金のために、杏里がまだ3歳頃からその返済のために無我夢中で働いたとのこと。そのために、杏里とともに過ごす時間は限られていたと思われる。良子自身も、育児ができなかった事を悔やんでいたという。
   杏里が乳幼児期に母親とどの程度「愛着(愛の絆)」を形成できていたかは分からない。しかし両親が離婚してからは、母親が借金返済のために育児にあまり関われなかったことを考えると、杏里がストレスや不安を感じた時に、それらを解消するために避難する母親という「安全基地」が杏里の側にあった時間は限られていたと思われる。また、子供というものは親から褒められたり認められたりしながら少しづつ自分に自信を持ちながら自己肯定感を高めていくものであるが、先に述べたような生活環境では、杏里が母親から褒められたり考え方を認められたりする機会も少なかったと思われる。先の田中氏の「自尊心の低さや、自己肯定感が持てない、という気持ち生い立ちの中にあったのでは」という指摘がその事を裏付けている。

   すなわち坂口杏里は、元の父親が負った多額の借金のために母親という「安全基地」を奪われ、ストレスを解消することも自己肯定感を高めることもできず、その結果我慢する気持ちを身につける事ができなかったのではないだろうか?つまり彼女もまた大人の都合に振り回された被害者と言えるのかも知れない。

   今後は、母親に変わる「安全基地」となれる誰かが彼女の側にいてあげることが望まれる。先の田中氏が言うところの「いい大人」の存在である。そういう大人がいなければ、上記「記事①」中の田中氏が言うように正式なカウンセラーになる場合もあり得る。
   ちなみに、精神科医の岡田氏は、「愛着(愛の絆)」が形成されていないと、薬物やアルコール等の依存症の発病にも繋がる危険があると指摘している。彼女の側にいてあげる人間が「愛着7」で接してやり、その人物との間に「愛着(愛の絆)」を形成し「安定型の愛着スタイル」を身に付けることも、ホストクラブに深く依存している今の彼女の症状を緩和することに繋がることになる。

   これまで決して彼女自身が怠けてきたわけではない。人は誰でも、親から手をかけられて「愛着」を形成し「安全基地」を得なければ、安定した人格を形成することなど出来ないのである。