1980年代を代表する伝説的シンガーソングライター尾崎豊
18歳の若さでデビューを果たし、世代を超えて愛される数々の名曲をリリース。
瞬く間に10代の心をとらえ、一躍、若者たちのカリスマ的存在になるも、1992年に26歳で短い生涯を閉じました。
昨年12月1日にデビュー40周年に突入し、没後30年以上経った今でも、世に送り出した傑作の数々は、多くの人によって歌い継がれ親しまれています。
そんな尾崎豊の楽曲は、大人や社会への苛立ちや 支配に対する抵抗をテーマにしたものが多かったのですが…
その一方で 、『I LOVE YOU』など愛や夢にまっすぐに生きていたいというピュアな願いと…
その難しさを歌った楽曲も多く、ティーンエイジャー中心をに大きな共感を集めました。
ある種の若者にとっての1970~80年代は、校内暴力や非行、暴走族といった言葉がキーワードになるような荒れた時代でもあり…
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盗んだバイクで走り出す
『15の夜』
行儀よく真面目なんてクソくらいと思った 夜の校舎窓ガラス壊してまわった
『卒業』
こういうまっすぐ過ぎる反抗を歌った歌詞というのは、 今の若い世代にはピンと来ていないようで、何でそんなことするのという感覚だそうです。
バイクを盗む行為は犯罪、言語道断!
バイクを盗まれた人が可哀想😢
管理社会の中で、懸命にもがき…
自由になれた気がした15の夜
『15の夜』
と言う気持ちを、一般の今の若者たちが理解するのは困難なようです。
そして、今の若者たちが生きる時代…
時代は大きく変わり、行き場のないエネルギーを発散させるかのようなアクティブな非行、暴力、攻撃性は鳴りを潜めていき…
いじめは陰湿かオンライン化しているそうです。
直接的にぶつかり合うような摩擦が減っていくことで、対人関係はより過敏になり、傷つきを恐れるようになりました。
戦っても無駄だし、怖いし、傷つきたくないので反抗せずに固まる、引きこもる傾向になっていくというのは自然の流れのように思います。
さらにここ数年、私たちは東日本大震災や原発事故、自分たちの力ではどうにもならない理不尽な出来事に無力感を覚える出来事を数多く経験しています。
また、コロナ禍によりソーシャルディスタンスが重視され、他者と飲食を共にする機会が減り、テレワーク化が進んだことも人と人を遠ざけ…
信頼関係が生まれにくくなる傾向に拍車をかけたとも言われています。
実際にオンラインでのやり取りでは、コミュニケーションの満足感を感じにくいという報告もあるそうです。
もしかすると、その昔は大人や社会と正面からぶつかることで、何かが変わっていくかもしれないという…
ある意味での純粋さや希望さがあったのかもしれません。
そうした希望がなくなり、ぶつかっても無駄であるという諦めの蔓延が、現代の風潮なのかもしれません。
そんな現代社会の風潮の中で、Adoさんが歌う「うっせぇわ」という曲と尾崎の「卒業」との対比論みたいなものを見かけたので、その曲を改めて聞き直し、歌詞を見てみたのですが…
これはあくまでも個人的な感想となりますが、
Adoの「うっせぇわ」は社会人としてのマナーやしがらみに対する反発、そして己が特別であり…
「他者と同列に並べるな!」という肥大化した承認要求を歌った曲だという印象を受け…
どうあるべきか見つからずに、もがいている様を歌った曲だという印象を、もはや、変わらぬ普遍的観念になっています。
確かに、両者ともに大人に対する反発…
前者であれば 、社会人あるいは、社会そのものとそこに蔓延しているルール…
最近の流行は当然の把握
経済の動向も通勤時チェック
純情な精神で入社しワーク
社会人じゃ当然のルールです
(中略)
酒が空いたグラスあればすぐに注ぎなさい
酒が空いたグラスがあればすぐに注ぐようなことを促したら、すぐに、ハラスメントにされるようなこのご時世において…
けれども、このくらいは社会人としてと言うよりも、人として、心がけた方が良いんじゃないかと普通に思います。が…
ましてや、うっせぇわ!と20回以上も絶叫することなのでしょうかね😓
まあ~純情な精神で働いてるかどうかは分かりませんが、やはり私も大人の立場になったということでしょうか(笑)
そもそも私には、比べる土台が違うように感じられました。
しかしながら、現在、尾崎豊をリアルでは知らない20~30代のリスナーがその音楽に夢中になっています。
私も銀座での展示会の最終日に訪れましたが、大変多くの方々が、何も語らず、じっくりと生前の尾崎が使っていた展示品の数々を眺め…
そんなオーディエンスの1/3位だったでしょうかね…
私よりも若い20~30代のリアルでは尾崎豊を聴いてはいなかった世代の方々…
時代は変わっても、親や学校、教師、その先にある社会への反発は変わらない。
多感な世代は、正体不明のモヤモヤとした気持ちによって、目にするもの、耳にするもの全てに反発したくなり…
管理されたり、押さえつけられたりすることに、とにかく歯向かいたくなる。
そんな若者の気持ちを “ストレートな言葉” で代弁し、モヤモヤした気持ちを引き受けてくれたのが、今も昔も変わらずに、尾崎豊の楽曲なのでしょうか。
大人になっても理不尽なことだらけで、孤独を感じる時間が多く…
代表曲「卒業」は、校舎の窓ガラスを割るという歌詞がクローズアップされ、体制への反発を歌った曲と思われがちですが…
どこまで内省的で抒情的で、集団生活の中で感じる孤独感は、学生時代だけではなく一生続くものだというメッセージを送っていようですね。
どの時代のハードワーカーにも、この曲は必ずや刺るはず!!
愛や夢や希望と言うメッセージを “伝えるため” に生まれきた稀代のシンガー・ソングライターの言葉とメロディ…
そして唯一無二の声と類まれな表現力。
確かなものなど何もないと感じさせられる現代社会の中で…
尾崎の歌だけは “確かなもの” として…
世代を超え、多くの人の心で今もなお輝きを放っている
と私はそう信じて、愛すべきものすべてのために伝説となった尾崎の曲を、いつまでも大切に聞き続けようと思います。