KAT-TUN「LIVE TOUR 2023 Fantasia」5月6日横浜アリーナ公演 | 不条理に抗う:女性アイドル最高評議会

不条理に抗う:女性アイドル最高評議会

不条理な経験について記します。その逆も書こうかな。
「アイドル最高評議会」とは「ジェダイ最高評議会」のパロディ。
記事を投稿するにあたっては時間をかけて推敲しています。しかし、まちがったこと、書き忘れたことをあとから思い出して加筆修正しています。

こんばんは。

 

5月6日、KAT-TUN「LIVE TOUR 2023 Fantasia」横浜アリーナ公演最終日に行ってきました。私はKAT-TUNのファンクラブにも入っているんです。

 

身分証明書、ファンクラブ会員証の提示は求められませんでした。チケットはQRコードを入場口で読み取らせて発行される方式に最近変わりました。それ以降、けっこう運がいいです。今回もセンターC3ブロックでした。三人が花道、回廊で近づいてくれると、十分見える位置です。

 

 

 

以下、セット・リストです。

1.DIRTY LUV
2.SHE SAID...
3.Real Face #2
4.ONE DROP
5.Keep the faith
6.ゼロからイチへ
7.FLIGHT
8.GOLD
9.Wild Rose
10.FACE to Face
11.DON'T U EVER STOP
12.Lament
13.未完成な(亀梨和也)
14.New Sight(中丸雄一)
15.ユダ(上田竜也)
16.KAT-TUNの現場
17.Perfect Date
~MC~
18.Love Lots Together
19.透明な朝
20.We Just Go Hard
21.ELIZA
22.STAR RIDER
23.WILDS OF MY HEART
24.Fantasia
25.夢で逢いたい
~アンコール~
26.CRYSTAL MOMENT
27.ノーマター・マター
28.Peaceful days
29.Sail on earth

 

ステージ正面から私の席までかなり離れていたのに、最初の特効は火炎の熱さが私の顔の肌にまで伝わりました。

 

5などでは、上田竜也が花道の床を蹴る音が直接聞けました。20では、マイクから亀梨和也が口を離しても、歌声が直接聞けました。

 

 

10を聴いていると、亀梨和也主演『俺俺』を思い出しました。

 

 

階段に寝転んだ上田君をダンサーたちが引っ張り上げて花道中央に連れていくのもよかったですね。ジャニーズJr.ではないバックダンサーのおかげでファンキーなライヴでした。

 

ラジオコーナーでは中丸雄一の口調がスポーツ・アナウンサーみたいに流暢で見事でした。三人と選ばれた観客との会話もおもしろかったです。

 

今回『Fantasia』という最新アルバムをひっさげてツアーを行っていますが、私のお気に入りは18です。こういう甘くソウルフルなダンスミュージックが好きなんですよね。

 

 

二度目のアンコールを求める声は今回も規制退場の声に阻まれ、受け入れられることはありませんでした。

 

全体として、もうヴェテランですよね。ぜひKAT-TUNのライヴを多くのかたがたにごらんいただきたいです。

 

 

 

・KAT-TUNとは何だったのか~音楽の力でCDが売れる、国民的ヒット曲が出る最後の時代を生きた"老兵は死なず、消えゆくのみ"

 

さて、私が彼らのコンサートに行き始めたのは、ここ十年ぐらいだと思います。KAT-TUNとは何だったのでしょうか、何なのでしょうか。すでに述べたように、TVと音楽の力でCDが売れる、ヒット曲が出る最後の時代を生きた男性アイドル・グループであることに尽きるでしょう。

21世紀に入ってから、音楽CDはあまり売れなくなりました。

1999年はオリコンCDシングル年間売上ランキングの11位までがミリオンセラーでした。2000年は14位まで。1994年は18位まで、1995年は28位まで、1996年は19位まで、1997年は16位まで、1998年は14位までがミリオンセラー。

しかし、21世紀に入ってなんと2001年は4枚、2002年はたった1枚しかミリオンセラーが出なくなりました。2003年もダブルミリオンではありますが、SMAP『世界に一つだけの花』だけでした。

2004年ついにミリオンセラーがゼロ。

そのなかで、2005年、100万枚に届きませんが、亀梨和也を含む男性アイドルデュオ、修二と彰『青春アミーゴ』が年間一位。そして、2006年、ミリオンセラーがKAT-TUN『Real Face』というかたちで三年ぶりにカムバックします。大事件でした。

 

 

 

 

2007年、秋川雅史『千の風になって』がミリオンセラー。しかし、2007年になると、手軽な違法コピーの方法に疎い中高年しかCD(秋川雅史『千の風になって』)を買わないことが明らかになってきました。

2008年以降、嵐とAKB48が年間一位を取り、やがてミリオンセラーも復活します。しかし、もう売り上げ、ランキングはヒットの尺度ではなく、握手会とTVのヴァラエティタレントとしての組織票で乗っ取られたものでした。音楽の経済的・社会的価値が低下し、ヒット曲が出なくなったがために、音楽的ヒットの尺度としてオリコンランキングは死んだのです。要するに、AKB48、嵐の曲が年間一位を取っても、ファンしかカラオケで歌わず、国民的ヒット曲とは言い難い曲がほとんどになってしまいます。

 

赤西仁がKAT-TUNにいてくれたら、田中聖が刑事事件を起こさなければ、と言いたいファンはいるかもしれません。しかし、それらは結果であって、原因ではないです。

YouTubeが誕生し、「会いに行けるアイドル」AKB48が活動を開始した2005年以降は、KAT-TUNと『ウタワラ』で共演した松浦亜弥が主に歌手たちで作りあげようとした音楽ヴァラエティのこの『ウタワラ』(2005-7年)の失敗もあって、同じくCM女王「Wあや」と言われた上戸彩に比べて、人気凋落が著しくなったことにも表れているように、もう歌手(KAT-TUN、松浦亜弥)の時代ではなく、ヴァラエティタレント(嵐)の時代が来たのです。KAT-TUNが並みのグループなら、デビューしてその後いいところがひとつもなかったでしょうが、しかし、2006年の時点でKAT-TUNが、KAT-TUNの"試合終了"だけではなく音楽業界全体の"試合終了"間際に、いや"試合終了"の直後に特大のホームランを打ったことがすごいのです。

 

はっきり言えば、KAT-TUNが『ウタワラ』のように音楽とヴァラエティとを折衷した番組ではなく、もっと音楽を扱わないヴァラエティ番組を作ることに徹して人気番組を作れば、人気の維持という点では、今よりも成功したかもしれません。SMAPや嵐や関ジャニ∞には先見の明がありましたが、それでも、要はそれだけであり、嵐やKing&Princeはもちろん、KAT-TUN自身でさえも『Real Face』のあとはもう『Real Face』級の国民的ヒット曲は出せなかったでしょう。歌手としても人気を維持するために俳優業、ヴァラエティ番組のタレント業、そしてジャニーズというバックグラウンドを活用するしかないのは、どこも同じですよね。遅れたものの、現在のKAT-TUNのメンバーもその方向に進んでいます。KAT-TUNのメンバーも、レコーディング、MV撮影、リハーサル、ツアー、歌番組への出演といった歌手業の実働期間は一年間で三か月もないかもしれません。田中聖や田口淳之介が暇をもて余して余計なことを考えてしまったことは容易に想像できます。

たとえメンバーが三人に減っても、ここまで続けて来られたことで十分です。

 

 

 

 

[追記]

期せずして、16日、静岡でのKAT-TUNの今回のツアー千秋楽とジャニーズ事務所のジュリー藤島社長によるジャニー喜多川の性加害問題に対する釈明とが重なりました。これも象徴的な出来事として記憶されるでしょう。