7、囚われし過去と、解き放つ未来… | ジャックオールロックのブログ

7、囚われし過去と、解き放つ未来…

そして、意外にも早く一台目が僕らを拾ってくれた。



30メートルほど先の少し広くなった路肩部分に白いバンがハザードを焚いて停車している。
運転席から一人の男性が降りてこちらに向かって手を振っている。


ケイン「…これ、ヒッチハイク成功てやつか?」
僕らは確信した。
顔を見合わせて、ニッと笑った。
僕はすぐにその男性の所へ走っていき、
「襟裳岬まで大丈夫ですか?」
と嬉しそうに尋ねた。


30代後半に見えるその男性はサカキさんと名乗った。スラリとした体型で背が高く、ネクタイをきっちり絞めている。白髪混じの髪は清潔にセットされていて印象はとてもよかった。
「適当に荷物トランクに入れていいよ、岬までは行かないけど静内までいくから。」
声のトーンは落ち着いていて歯切れのいい喋りかただった。
僕「…静内?」
ケインはそれを聞いて地図を拡げると、サカキさんは横にあった自動車販売機からコーヒーを取りだし僕らに渡した。
「ほら、どうぞ。ちなみに静内はここから1時間ほど走った所にある街でね、襟裳岬に行くなら静内も通るし、近くまで移動できたほうがいいでしょ。」
広げた地図を指差して丁寧に説明してくれた。

早速僕らはサカキさんの白いバンに乗りこんだ。


カーステレオからは僕らが子供の頃に聞いた懐かしいヒットソングが流れている。
そして車内には医療について関する書籍がいくつか置かれている。

「すみません、コーヒーまで頂いちゃって…」
「あーいいよ、気にしなくて。…君達は道内の人じゃ無いね?」
「えぇ、わかりますか?東京のほうから来ました。」
「うん、しゃべり方とかね。何と無くわかるよ。ヒッチハイクでここまで?」
「いやぁ、まさか…」一通りここまでの経緯と自己紹介をおえると、車内は緩やかな空気に包まれた。


サカキさんはハンドルを握った手でリズムをとっている。
「…僕も学生時代にヒッチハイクしたことがあってね。」
「そうなんですか?」
「うん、もう10年以上も前のことだよ。」
「10年…ですか。」
「元々、僕は秋田の生まれでね、大学に受からなくて2年浪人してその時北海道に来たんだ。…ヒッチハイクでね。」
「へー。今お仕事は北海道で?」
「そう、いまはもう永住する気でいるんだけどね。仕事は獣医をやってるんだ。」
「なるほど、難しそうな本が沢山あったんで。やっぱりそうだったんですね。」
「あぁ、後ろ散らかってるね、ごめんね。」
「いえいえ、大丈夫です。で、浪人中に北海道へ旅行ですか?」
「うん、…浪人時代にね適当に名のある大学に進学しようと思って、目的が定まらず、まぁよくあるパターンだね。それでカリカリ勉強してたけど息詰まって気分転換に北海道に行こうかなって。…その旅がキッカケで今の仕事をしようと決意したんだ。」

僕らは真剣にサカキさんの話に聞き入ってる。

「…はは、ちょっと話長すぎちゃったな。なんか君達を見てると懐かしくてね。」
ケインは「その話の続き聞かして下さいよ、そのキッカケの話。」と前かがみになって言った。
サカキさんはサイドミラーを確認して車線変更をした後、
「お腹減ってるでしょ?話の前に旨いラーメンでも食べようか。」
と嬉しそうにいった。

サカキさんはとても素朴な人柄で話方や身ぶりから優しさが伝わってきた。


なぁケイン、人との出会いって必然的だと思わないか?

あの日あの時あの場所に居たから出会えた。これは、偶然的って言うより必然的って言葉の方がよく似合うよな。

つづけていい?