悠久へのベクトル | ジャックオールロックのブログ

悠久へのベクトル

今からちょうど三年前の今日は僕の親友が亡くなった日。

亡くなる2週間前に僕は彼と会って話をした。
今振り返ればそんなに長い付き合いではなかった。

中学3年の時に彼は家庭の事情で東京へ引っ越した。
それでも当時中学生だった僕は長い休みになると、東京まで遊びに行った。

僕に音楽の素晴らしさを教えてくれた彼。

人前で歌を歌うのは恥ずかしかった。
ギターとかピアノとか人前でを弾くのも恥ずかしかった。
それでも音楽は独りで楽しむものではないと教えてくれた。

部活をサボり、楽器屋に足を運んでは値札に溜息を吹きかけていた。

忘れたころに電話が来る。そんな奴だった。




いつか同じステージに立てたらいいと思っていた。



東京の風に染まっていった彼は、もはや僕とかみ合う話なんかほとんどしなかった。
自分勝手に自我をさらけ出して、嫌な奴と思い始めた。

東京へ行く回数が減った。

僕は高校へ進学し、彼は夜の街で仕事をしていた。

もうお互いの道はこの先重なることはないと諦めていた。

それから二十歳になるまで連絡は一切なかった。

それぞれの人生を生きていた僕らはまた会うことになる。


久しぶりに地元に帰った僕は旧友に会い、彼の話を聞いた。

もうあの頃とは違う僕らの関係がそこにはあった。

中学の頃はよく似ていると冷やかされてお互いが照れていた。
似ていることを意識しながら「似てない似てない」と個性の違いを主張していた。

噂ではかつてのイメージを飛び越え同一人物と疑いたくなるようなライフスタイルを送っているようだった。


ちょうど三年前の正月に僕は久しぶりに地元に帰省していた、旧友からその彼が連絡を取りたがっていると電話があったようだ。その旧友は僕の連絡先を教えてもいいか尋ねてきた。

いろんな思いも交錯したが、連絡先を教えてその翌日に電話がかかって来た。

「久しぶり、元気にしてる?」
もう酒で焼けたようなしゃがれた声だった。

「ああ、なんとかやってる」
少し憂鬱な俺の声、自分でもわかる低いトーンの声。

「懐かしいな、今は地元じゃないって聞いたけど。」

「ああ、地元を離れて働いてる。正月だから地元には戻ってきてるけどね」

「ん?いま静岡なの?おれもあした帰るんだ。久しぶりに話そう。募る話もあるだろうし」

「・・・そうだな。構わないよ。」
そんなやり取りをしていた気がする。

ただ何となくその場の流れで適当に時間を決めて翌日会うことになった。


夕日が沈む高台に展望台がある。生まれ育った街が見渡せる場所。

そこで僕らは最期に会うことになった。


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