8、囚われし過去と、解き放つ未来…。
あの日あの時あの場所に居たから出会えた。これは、偶然的って言うより必然的って言葉の方がよく似合うよな。
10
「ほら、ここの店だよ。」
サカキさんはコツコツと運転席側の窓を叩いて言った。
年期の入ったノレンが風で揺れている。
車内のデシタル時計は13:18と表示されてる。
もう、かれこれ30分以上移動している。
「お腹減ったでしょ?まだ昼時だから混んでると思うけどね。」
サカキさんは広い駐車場に素早く駐車をしながら僕らを気遣うように言った。
辺りを見渡すと、いくつか建物が見えるがそれらは牧場の納屋や牛舎ばかりだった。
町から町のパイプラインなのにいわゆる飲食店が極端に少ない。
海岸線から離れたせいか、潮風の匂いはしない。
代わりに牧草の甘い匂いが風に混じっている。
「味は保証するよ。大丈夫!さぁ、入って。」
僕らは空かしたお腹を撫でながらいい匂いに誘われノレンをくぐった。
店内はまだランチタイムの活気が残っていて沢山の客がくつろいでいる。
カウンター席の端に三人並んで腰を下ろした。
「さぁ、好きなものたのんでいいよ。ご馳走するから。」
「ホントですか?すみません、何からなにまで…」
ケインは恐縮しながらもメニューに目を通し、嬉しそうに応えた。
店内の壁にはいくつかの著名人のサインが置かれている。
「有名なお店なんですね。」
「そう、いわずと知れた行列の出来るお店だよ。ちょうど10年前、初めて食べた北海道のラーメンがこの店なんだ。」
「はは、サカキさんと同じ経路を辿ってますね、僕ら。」
「うん、そうだね。」
「そのときは何を食べたんですか?」
「…たしかネギミソチャーシューだったね。」
「じゃあ、それをお願いします!」
僕らは10年前のサカキさんを想像している。
出会って間もない人だったけど、その雰囲気と人柄にいつの間にか引き込まれていた。
「はは、了解!オススメだよ。」
短い時間だったけど、自然と打ち解けられた。
歳が離れていてもなんとなく波長の合う人がいること自体嬉しかった。
境遇は違っててはいてもなにかに行き詰まり、旅にでたサカキさん。
僕らは浪人してるわけでもない。
ただ今の現状に風穴を開けたかったし、時間ももて余してたし、僕の思い出のメモリー容量も充分過ぎる程あった。
まぁ良く言えば自分探しの旅みたいなやつ。
大袈裟かもしれないけど、自分に出来ること、この手で何を救えるかとか、自分の限界ってやつを知りたかった。
そして確かめる必要がある旅。
そんな年頃の僕ら。
なぁケイン…そもそも、たかが知れてると思わないか?人、一人の力って。
でも解るときがあるんだ。
手を伸ばしてグルッと一周すると僕には自分の手に出来るものが感じれた。
たいして広くない僕の世界。
でも僕の領域は、可能性という不思議な未知の力をグルッと回した円周率と掛け算すると答えは無限にもなると信じたくなる。
そうやって未来を明るく見据えてそれで、現在を睨みつけることって悪いことじゃないはずだよな。
つづく
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「ほら、ここの店だよ。」
サカキさんはコツコツと運転席側の窓を叩いて言った。
年期の入ったノレンが風で揺れている。
車内のデシタル時計は13:18と表示されてる。
もう、かれこれ30分以上移動している。
「お腹減ったでしょ?まだ昼時だから混んでると思うけどね。」
サカキさんは広い駐車場に素早く駐車をしながら僕らを気遣うように言った。
辺りを見渡すと、いくつか建物が見えるがそれらは牧場の納屋や牛舎ばかりだった。
町から町のパイプラインなのにいわゆる飲食店が極端に少ない。
海岸線から離れたせいか、潮風の匂いはしない。
代わりに牧草の甘い匂いが風に混じっている。
「味は保証するよ。大丈夫!さぁ、入って。」
僕らは空かしたお腹を撫でながらいい匂いに誘われノレンをくぐった。
店内はまだランチタイムの活気が残っていて沢山の客がくつろいでいる。
カウンター席の端に三人並んで腰を下ろした。
「さぁ、好きなものたのんでいいよ。ご馳走するから。」
「ホントですか?すみません、何からなにまで…」
ケインは恐縮しながらもメニューに目を通し、嬉しそうに応えた。
店内の壁にはいくつかの著名人のサインが置かれている。
「有名なお店なんですね。」
「そう、いわずと知れた行列の出来るお店だよ。ちょうど10年前、初めて食べた北海道のラーメンがこの店なんだ。」
「はは、サカキさんと同じ経路を辿ってますね、僕ら。」
「うん、そうだね。」
「そのときは何を食べたんですか?」
「…たしかネギミソチャーシューだったね。」
「じゃあ、それをお願いします!」
僕らは10年前のサカキさんを想像している。
出会って間もない人だったけど、その雰囲気と人柄にいつの間にか引き込まれていた。
「はは、了解!オススメだよ。」
短い時間だったけど、自然と打ち解けられた。
歳が離れていてもなんとなく波長の合う人がいること自体嬉しかった。
境遇は違っててはいてもなにかに行き詰まり、旅にでたサカキさん。
僕らは浪人してるわけでもない。
ただ今の現状に風穴を開けたかったし、時間ももて余してたし、僕の思い出のメモリー容量も充分過ぎる程あった。
まぁ良く言えば自分探しの旅みたいなやつ。
大袈裟かもしれないけど、自分に出来ること、この手で何を救えるかとか、自分の限界ってやつを知りたかった。
そして確かめる必要がある旅。
そんな年頃の僕ら。
なぁケイン…そもそも、たかが知れてると思わないか?人、一人の力って。
でも解るときがあるんだ。
手を伸ばしてグルッと一周すると僕には自分の手に出来るものが感じれた。
たいして広くない僕の世界。
でも僕の領域は、可能性という不思議な未知の力をグルッと回した円周率と掛け算すると答えは無限にもなると信じたくなる。
そうやって未来を明るく見据えてそれで、現在を睨みつけることって悪いことじゃないはずだよな。
つづく