6、囚われし過去と、解き放つ未来・・・6
国道の脇に出て行き交う車に親指を空に立てた。
7
バイクに跨り会社に向かう。二気筒の排気音が心地よく響きわたり辺りにこだましている。
いつになく今日は蒸し暑い。真夏の入道雲はもくもくと高く広がり、傾いた太陽によって濃い蒼と白のコントラストで夏を彩る。
あれから5年の歳月が流れたんだな…。
過ぎ去った5年間はこれからの1日より短い。
時として、こんな感覚を覚える。
流れる時間感覚の不確かさ。
そして、左手にはめられたオメガの正確さ。
常に過去と未来の境界線に生きる僕ら、全ての是と非をグレーにめかしこんで息をしている。
見上げる空はとても高い。
まっすぐな飛行機雲が軌跡を残して遥か彼方に消えていく。
信号待ちをしていた僕は空を見上げて飛行機の行き先を想像している。
そのうちクラクションに驚いて信号に焦点を合わせる。
青信号になったことに気付いた僕は申し訳なさそうにスロットルを全開に吹かし重低音の排気と共にまた走り出した。
8
天に向けた親指は、まだ少し照れてるようだ。
走る車はなかなか止まってくれない。
というより、車は急に止まれない。
しばらくして、
「ヒッチハイクの練習はもういいだろ。」
ケインはポーズを崩さないままの姿勢で、
「どうだ?ジャック。・・・様になってきたか??」
「様に?・・・うーん・・・まぁそんなもんだろ」
「おいおい、この腕の角度見てみろよ!・・・なかなかだ」
一体なにが(なかなか)なのかわからない僕は適当にハイハイ頷いた。
「わかった、わかった。ケイン、君は充分ヒッチハイクのプロフェッショナルだ。」
「おい、ジャックよ!まだ一台もこの親指で停めてないんだ、だからプロじゃないさ。・・・アマプロだ!」
「・・・ったく。オーケー、じゃあアマプロさんよ。早速、紙とペン出してくれよ。」
なにやら、愉快なヤツだな。
アマでも、プロでも、腕の角度も何でもいいけど、
太陽の角度からするとあと一時間ほどで昼になる。
僕のおなかも、そろそろランチが食べたいと言っている。
僕らは歩道の脇に腰を下ろした。
ケインは地図に書かれた文字をスケッチブックに書き写す。
襟裳岬。
「・・・ノー、ノー・・・こうしよう」
僕は、握っていたペンを奪い取って
えりも岬と書き直した。
「このほうが、なんというか・・・やわらかい」
ケイン「だな、決まり・・・いくか!」
清々しい海が見える道で、気分も足取りも軽かった。
なにか、全てがうまく行くような気がした。
そして、意外にもすぐに一台目が僕らを拾ってくれた。
つづく
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バイクに跨り会社に向かう。二気筒の排気音が心地よく響きわたり辺りにこだましている。
いつになく今日は蒸し暑い。真夏の入道雲はもくもくと高く広がり、傾いた太陽によって濃い蒼と白のコントラストで夏を彩る。
あれから5年の歳月が流れたんだな…。
過ぎ去った5年間はこれからの1日より短い。
時として、こんな感覚を覚える。
流れる時間感覚の不確かさ。
そして、左手にはめられたオメガの正確さ。
常に過去と未来の境界線に生きる僕ら、全ての是と非をグレーにめかしこんで息をしている。
見上げる空はとても高い。
まっすぐな飛行機雲が軌跡を残して遥か彼方に消えていく。
信号待ちをしていた僕は空を見上げて飛行機の行き先を想像している。
そのうちクラクションに驚いて信号に焦点を合わせる。
青信号になったことに気付いた僕は申し訳なさそうにスロットルを全開に吹かし重低音の排気と共にまた走り出した。
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天に向けた親指は、まだ少し照れてるようだ。
走る車はなかなか止まってくれない。
というより、車は急に止まれない。
しばらくして、
「ヒッチハイクの練習はもういいだろ。」
ケインはポーズを崩さないままの姿勢で、
「どうだ?ジャック。・・・様になってきたか??」
「様に?・・・うーん・・・まぁそんなもんだろ」
「おいおい、この腕の角度見てみろよ!・・・なかなかだ」
一体なにが(なかなか)なのかわからない僕は適当にハイハイ頷いた。
「わかった、わかった。ケイン、君は充分ヒッチハイクのプロフェッショナルだ。」
「おい、ジャックよ!まだ一台もこの親指で停めてないんだ、だからプロじゃないさ。・・・アマプロだ!」
「・・・ったく。オーケー、じゃあアマプロさんよ。早速、紙とペン出してくれよ。」
なにやら、愉快なヤツだな。
アマでも、プロでも、腕の角度も何でもいいけど、
太陽の角度からするとあと一時間ほどで昼になる。
僕のおなかも、そろそろランチが食べたいと言っている。
僕らは歩道の脇に腰を下ろした。
ケインは地図に書かれた文字をスケッチブックに書き写す。
襟裳岬。
「・・・ノー、ノー・・・こうしよう」
僕は、握っていたペンを奪い取って
えりも岬と書き直した。
「このほうが、なんというか・・・やわらかい」
ケイン「だな、決まり・・・いくか!」
清々しい海が見える道で、気分も足取りも軽かった。
なにか、全てがうまく行くような気がした。
そして、意外にもすぐに一台目が僕らを拾ってくれた。
つづく