今日からできる、ファッションをもっとサステナブルにするヒント

日本で毎年100万トンもの衣服が捨てられているという現実に触れながら、近年注目されているサステナブルファッションやエシカルファッションの取り組みについて解説しています。

 

しかし、具体的にどうすれば良いのか分からない人も多いでしょう。

 

そこで、この記事ではサステナブルなファッションの取り入れ方や選び方、国内で購入できるおすすめブランドなどを初級編から上級編まで分かりやすく紹介しています。

初級編では、サステナブルやエシカルを基準にした買い物をすることから始めましょう。

 

日常の買い物を見直すことは、私たち消費者としてできる最初の一歩です。例えば、「デザインや着心地が良いだけでなく、環境にも配慮された製品」と思えるものを選んでみてください。


■エシカルファッションを探すのが難しい場合は、便利なアプリを活用してみるのも良いでしょう。

 

例えば、オーストラリア発の「Good On You」などが有名です。このアプリでは、2,000以上のファッションブランドの「エシカル度」を比較して、自分の好みの服を選んだり、そのままワンストップで購入することができます。

 

なお、現時点ではこのアプリは英語のみですが、日本でもダウンロードが可能です。

■ヴィンテージや古着を購入することもエシカルな選択です。

 

古着を購入することで、よりサステナブルなファッションに貢献することができます。

誰かにとって不要な衣服は、私にとっては価値のある衣服かもしれません。

 

新しい衣服を買いたいと思った場合、最初に中古の服やヴィンテージが購入できるお店を探してみましょう。

 

■衣服を買う代わりにレンタルする

 

アウトドアウェアや結婚式の招待服など、人によってはあまり着用しない服があるかもしれません。そのような場合、購入する代わりにまず借りることを考えてみてはいかがでしょうか。検索エンジンで「ファッションレンタルサービス」と検索すると、様々な日本のレンタルサービスが表示されます。

 

■服や靴を友人と共有する
レンタルサービスが身近でない場合は、家族や友人から一時的に衣服を借りることも一つの手です。もちろん、他人の物を大切に使うのは当然ですが、新しい服を購入する費用を削減し、あまり使用されずに廃棄される衣服の量を間接的に減らすことができます。

 

■不要になったら誰かに譲る
衣服が不要になったら、それを必要としている人に譲る方法もあります。特にベビーウェアや子供服など、一定期間しか使用しないものは、身近な人や近所の広告掲示板「ジモティー」などで欲しい人とマッチングさせることで、無駄になりません。

 

■不要になったら交換する
持っている衣服を必要としない他の人と交換するのも良いアイデアです。現代において、アイテム交換を試してみるのも素敵なことではないでしょうか。スイスのバッグブランドFREITAGは、「S.W.A.P」というプラットフォームを立ち上げ、同ブランド間で安全かつスムーズな商品交換を支援する仕組みを作りました。

 

■不要になったらリサイクルや寄付をする
ただ捨てるよりも、リサイクルや寄付をする方が遥かに倫理的です。近くの古着屋にリサイクルボックスが設置されている場所はあるでしょうか。

また、季節が変わる時には、羽毛の布団や使い古したダウンジャケットがある場合は、全国にある回収場所に持ち込んで「Green Down Project」に参加してみることも考えられます。これにより、リサイクルの一環として貢献することができます。

服が不要になった場合は、近くの古着屋に持って行ったり、メルカリやオークションなどのサービスで出品することも検討してみましょう。捨てるよりも少しでもお金になる方が嬉しいですよね。

もし服が売れない状態である場合や、出品するのが手間な場合は、ハサミで切って布として再利用することも考えてみてはいかがでしょうか。例えば、掃除に使える雑巾にしたり、他の洋服を修繕する際にも役立ちます。
 

■買い物をする際には、できるだけプラスチック袋や紙袋をもらわないようにしましょう。カバンに入る大きさのバッグを持ち歩くことで、環境にもお財布にも優しいです。最近では、ショッピングバッグを有料化しているお店もあるので、それを活用すると良いですね。

■服を選ぶ際には、着回しを意識することも大切です。自分が今持っている服と合わせることができるかどうかを考えるためにも、購入前に一度立ち止まって考えることが重要です。後で無駄になることを防げますよ。

■タンスやクローゼットを整理することもオススメです。自分がどの服を持っているのかを整理することで、着回しを考える際にも役立ちます。掃除の一環としても楽しめるので、ぜひ試してみてください。

■衣服を長持ちさせるためには、適切な洗濯方法を知ることも重要です。洋服のタグを確認して、適切な洗濯方法を守りましょう。これにより、衣服の寿命を延ばすことができます。

■ 洗濯表示の正しい意味については、パナソニックの情報を参考にしてください。服を干す方法には様々なハンガー干しやつり干しなどがあります。例えば、自分の持っているワンピースの干し方を調べてみると良いですね。服の形が崩れたり伸びたりすると、見栄えが悪くなってしまい、着ることを避けてしまうこともあるかもしれません。

■もし服にほつれや破れが生じた場合は、修繕することをおすすめします。サステナビリティの基本は、少ない数の服を長く大切に着ることです。小さなほつれであれば、縫い直したり、アレンジを加えることでまだ着られるかもしれません。

 

地域によっては、「洋服お直しサービス」というものが提供されていますので、自分で直すのが難しい場合には、そのようなサービスを利用してみるのも良いでしょう。例えば、アウトドアブランドのパタゴニアでは、自社製品の修理方法をオンラインで公開しています。

■子供服に関しては、成長に合わせて調整することができるものを選ぶと良いです。子供はどんどん成長するため、服を頻繁に買い替えることは経済的にも負担になります。そのため、伸縮性のある素材を使用した服を選ぶことがおすすめです。イギリスでは、「Petit Pli」というブランドが、子供の成長に合わせてサイズが伸縮するファッションアイテムを販売しています。

■マスクやナプキン、おむつに関しては、布製のものを利用することが推奨されています。使い捨ての製品は便利ですが、環境に大きな負荷を与えます。廃棄されたマスクが海洋に流れ込み、海洋生物に害を及ぼすという報道もあります。できるだけ洗って繰り返し使用できる布製の製品を選ぶことをお勧めします。

■洋服を頻繁に洗濯することは基本的には避けた方が良いです。洋服は頻繁な洗濯により寿命が短くなる可能性があります。また、多くの量産服ではポリエステルやアクリルなどの合成素材が使用されており、洗濯することによって水質汚染につながる可能性もあります。ただし、新型コロナウイルス感染症が広まっている状況下では、衛生面を考慮する必要もあります。そのため、寒い時期などは洗濯頻度を下げることが理想的です。

■洗濯する際には、環境負荷の少ない洗剤を使用することをおすすめします。せっかく洗うのであれば、洗剤のサステナビリティにも目を向けましょう。

環境にやさしい洗剤を選ぶポイントはいくつかあります。まず、石油ではなく植物由来の成分であることが重要です。また、成分がシンプルであることや生分解可能であることもポイントです。このような洗剤は、検索すればたくさん出てきますので、自宅で使用することができる価格かどうかも含めて検討することがおすすめです。

■お風呂の残り湯を洗濯に使うことも、水道代を節約するために一つの方法です。洗濯機には、お風呂の水を吸い上げるポンプがついているものも多いので、すでに実践している方もいらっしゃるかもしれません。

■洋服を購入する際には、まずデザイン、次に価格を見る方も多いかもしれません。しかし、一度立ち止まって、その背景にある生産者や製造者、そしてこの服を作るための環境への影響に目を向けてみると、新たな視点を持つことができます。本当に環境に貢献するためにこの服を買いたいのか、考えるきっかけになるでしょう。

■エシカルファッションのキャンペーンに参加してみるのもおすすめです。春には「ファッションレボリューションウィーク」というイベントが開催され、ファッション業界の安全性、公平性、透明性に関する取り組みがまとめられます。ここではさまざまな企業の話を聞くことができるため、ぜひ参加してみてください。

エシカル・サステナブルなファッションに関して面白い取り組みを見つけた場合は、SNSでシェアすることもおすすめです。アメリカでは、「#LowestWageChallenge」というキャンペーンが行われており、ファッション業界と消費者がオープンに議論をすることを促しています。簡単にできるアクションとして、フェイスブックでシェアしたり、ツイッターでリツイートしたりすることもあります。あなたの拡散が一つの大きな行動につながるかもしれません。」

■「流行」に左右されない
「インスタで紹介されていた」や「他の人が着ているから」という理由で流行のデザインを選ぶと、後で自分に似合わないことに気づき、後悔することがあるかもしれません。ですから、流行に関係なく、自分に似合う服を選び、長く着られる服を選ぶようにしましょう。

■シーズンごとに服を変えなければならない、という考え方も捨てましょう
一般的な服は「春服、夏服、秋服、冬服」とデザインや厚みが異なりますが、同じ季節でも気温の差が激しいことがありますので、季節が変わるたびに新しい服を買う必要はありません。夏でも寒ければ、例えば「冬用」の服を着ることもできるのです。

■買い物をするときは、販売員に質問してみましょう
エシカルファッションのショップの店員さんは、環境配慮やアニマルライツ、フェアトレードに関する知識も持っていることがあります。服を買う際に「このブランドはサステナブルなのでしょうか?」と思ったら、思い切って質問してみるのもいいかもしれません。

■「ゴミから作られた服」に価値を見出しましょう
「ゴミから作る」というと不潔なイメージがあるかもしれませんが、実際にH&Mは廃棄予定だったフルーツからワンピースを作り、アディダスは海洋プラスチックでユニフォームやシューズを作って世界的に高い評価を受けています。不要になったものをより価値の高いものにリサイクルする「アップサイクル」の取り組みは、ユニークなものが多いので、見つけたらSNSで共有したり、実際に店舗を訪れてみると良いでしょう。


■雨水で洗濯してみましょう
かなり上級者向けですが、雨水をタンクに貯めて洗濯の水として使用することも可能です。洗剤は通常通り使用するので、服はきれいになりますし、水の節約にもなります。

■靴を履かないことも試してみましょう
私たちにとって、毎日靴を履くことが当たり前になっていますが、熊本でオルタナティブな(持続可能な)文化を模索するエコヴィレッジ「サイハテ」では、実際にこれを実践している人もいます。

「靴を履かずに過ごすことは、健康的な生活を送るうえで血流を良くする効果があります。また、同時にいらない靴の数を減らすことにもつながります。」


■「サイハテ」では、服を着ずに過ごすことも実践されています。もちろん、自宅の中での限定的な活動になりますが、慣れるとファッションにあまり気を使わなくても良くなるかもしれません!


■ファッションに関するサステナブルな認証について知っておくこともおすすめです。認証はたくさんありますが、代表的なものには「世界フェアトレード連盟(WFTO)」のマークや、「GOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)」の認証があります。これらの知識は、服を選ぶ際に役立てることができるでしょう。


■自分で洋服を作ってみることも挑戦してみましょう。普段は洋服を購入することがほとんどですが、Tシャツをデザインすることや藍染めをしてみることなど、製造や生産の一部に関わることで、洋服がどれだけの工程を経て作られるかを知ると同時に、自分で作った洋服を大切にする気持ちになります。


■自分が着ている服がどこで作られたのかを知るために、生産者や製造者に会いに行ってみましょう。コンタクトを取ったり、直接会ったりすることができれば、素晴らしい経験になります。野菜農家がスーパーマーケットのパッケージで「私が作りました」と顔を出すように、将来的には「顔の見えるファッション」が主流になるかもしれません。


■普段意識していることをブログやSNSで共有することもおすすめです。他の人と良い取り組みを共有するだけでも素晴らしいですが、自分自身が実践し、発信することにはさらに価値があります。自分の考え方や洋服の選び方、おすすめのエシカルファッションなど、まだ知られていない情報を発信することで、サステナビリティの推進に貢献することができます。しかし、環境や動物、自分の肌、そして財布にとって100%サステナブルで完璧なブランドは存在しないことを覚えておいてください。

ただ、小さなブランドから有名なブランドまで、これから目指しているものが増えてきているのですが、サステナブルな服を選ぶ基準としては、天然素材や有機素材であることや、リサイクルが可能なこと、公正な取引をしていることや、生産者や製造者などの働く人の権利を確保していることなどが挙げられます。ただし、ここでは、洋服を買う際に注意すべきポイントを紹介していきます。

■安いけれど品質の低い服は基本的に避けましょう。「素材や見た目は微妙だけど、値段が安いからいいや」といった経験はありませんか?サステナブルな消費の第一歩は、長く使える質の高いものを選ぶことです。
 

■アクリル、ナイロン、ポリウレタンなど、プラスチック由来の服は避けましょう。これらの化学繊維の服を洗濯すると、細かな繊維が抜け落ち、マイクロファイバーとして海に流出します。ダブリン大学の研究者らは、これが海洋生物の体内に蓄積して健康に害を及ぼす危険性があると指摘しています。日常の洗濯によって環境を汚染する可能性があるものは、できるだけ避ける方がベストです。

■動物の皮製品(レザー)も避けましょう。多くのレザーブランドは、食肉などの副産物として動物の皮を利用していますが、下請けの工場や地域によっては、生きたまま動物の皮を剥ぐ行為が行われている場合もあります。最近ではキノコや果物の皮などで作られたエシカルな代替品も増えているので、そういったものを探してみると良いでしょう。

■グリーンウォッシュなブランドからは買わないようにしましょう。「エコ」や「天然成分」といった文章に根拠のない表現がある場合、実際は環境に良くないこともあります。製品を見たら、自分自身で調べる習慣をつけることで、グリーンウォッシュに加担しないようにしましょう。

■売れ残った衣服を廃棄するブランドからは購入しないことが大切です。NHKの報道によれば、市場に出回る約28億点の衣服のうち、約半数が余剰在庫として売れ残っており、一部は新品のまま焼却処分されているそうです。ブランドのイメージ保護のために、これらの売れ残った衣服を埋め立てたり廃棄処分したりしているのか、あるいは再利用しているのかを調査することが推奨されます。

■地元産の製品を購入しましょう。グローバル企業ではなく、地域の小規模事業者にお金を使うことで、地域経済の発展に寄与することができます。

■フェアトレード製品を選びましょう。フェアトレードとは、開発途上地域などの生産者や労働者の生活改善・自立を支援するための公正な取引のことを指します。商品を選ぶときは、「世界フェアトレード連盟(WFTO)」のマークがあるかどうかを確認することが重要です。

■オーガニックコットンの製品を購入しましょう。オーガニック綿花は農薬や化学肥料を使用せずに作られており、柔軟剤や漂白剤も使われていません。さらに、製品の生産過程で労働者の搾取も行われていません。オーガニックコットン製品を購入することは、肌に優しいだけでなく、社会全体の倫理的な消費の需要を高めることにもつながります。

■草木染めや藍染めの服を選びましょう。合成インディゴ染料などの化学染料ではなく、日本に伝統的に伝わる草木染めや藍染めの服を選ぶと、水を汚さずに済むだけでなく、職人さんの伝統技術の継承にもつながります。

■土に還る素材で作られた製品を選択しましょう。土に還ると聞くとイメージが難しいかもしれませんが、これは使い終わったときに土を汚さずに自然に分解される服のことを指します。日本でも増えているので、インターネット検索エンジンなどで「土に還る服」を検索してみると良いでしょう。

■包装を最小限にするブランドから購入しましょう。最近はレジ袋が有料になる店舗も増えてきていますが、包装を最小限にするブランドを選ぶことも重要です。

ビーニールで包んだ衣類を更におしゃれな紙袋に入れることによって、お店のサービス精神を表現するのではなく、環境に配慮したパッケージレスの取り組みを実施している店舗から洋服を購入しましょう。例えば、パタゴニアは全国で修繕のワークショップを開催しています。壊れたり色あせたりした衣類でも、長期間にわたって利用できるような工夫を提供してくれるブランドは、真の意味でサステナブルな目標を追求していると言えます。

 

■労働環境に関して情報を公開している企業の製品を購入しましょう。最近、欧米ではファッション業界でもサプライヤーを公開する動きが広がっています。労働者の人権と環境への配慮はますます重要視されるようになっている今、情報を公開し、ウェブサイトやサイトで公開している企業の信頼性が高いです。

 

■サステナビリティに関連するストーリーを発信している企業の製品を購入しましょう。この場合、「エシカル」や「サステナブル」といった言葉の使用頻度とは無関係です。ブランドの公式ウェブサイト、SNS、ブログなどで、生産者への還元や地域への貢献、環境負荷の軽減などを伝えるストーリーを提供している場合、私たち選ぶ側にもわかりやすいです。

 

■発展途上国や社会的に弱い立場の人々の雇用創出を実現している事業者から製品を購入しましょう。フェアトレードのような性質を持ちますが、障がい者の雇用、母国語が外国語である人々の雇用、貧困に苦しむ人々の雇用なども社会的に非常に重要なことです。洋服を選ぶ際には、こういった基準も念頭に置いておくことが重要です。

 

■気に入った着心地やデザインの服だけを購入しましょう。究極のサステナビリティとは、「購入しない」ことです。しかしこれでも、購入を選ぶ場合は本当に気に入ったものに絞り、長期間使用することが重要です。これが、将来にわたって変わらないサステナブルな基準でしょう。