「報道」と名乗って流されるデマほど悪質なものはない | 偕楽園血圧日記

「報道」と名乗って流されるデマほど悪質なものはない

 昨日も名前を出した小泉元総理だが、

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 財務省の文書改ざん問題については「あり得ないことでびっくりしている」とした上で、首相が自身の進退に言及した昨年2月17日の発言が理由だと分析。昭恵夫人の記述がごっそり削除されたことを念頭に「総理答弁に合わせて(役人が)忖度(そんたく)した。関係ある(夫人の)話は全部消さないと、と思ったのだろう」と主張した。
 日刊スポーツ 3/14(水) 9:40配信 「小泉元首相、佐川氏『適材適所』主張に『あきれた』」より

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 テレビでは同時にこんなことも言っていたという。

 いやはや、これにはこちらの方が「あきれた」。
今回「書き換えた」という文書の内容は、(財務省「決裁文書に関する調査について」)で確認できるが、ざっと目を通したところで明恵夫人の名前などまるで見当たらない。
 風邪のせいできちんと見られていないのかと思ったら、PDFで79ページあるこの文書の中で、彼女の名前が出てくるのは41ページ目の「『籠池氏が「明恵氏がいい土地ですから(学校設置を)前に進めてください」と言っていた』と言っていた」という「また聞き」の記述と、42ページ目の産経ニュースからの引用部分しかない。それだけのもので「明恵夫人がどうの」というなど無茶苦茶にもほどがある。これでわかるのはせいぜいが「籠池側が総理夫人の名前を利用した」ということだけである。

 今回の騒動では、新聞はこぞって、

「<森友文書>書き換え数十カ所 昭恵氏の名削除…問題発覚後」(毎日新聞 3/12(月) 10:35配信)
「<森友文書改ざん>にじむ官の配慮 昭恵氏の発言削る」(毎日新聞 3/13(火) 8:00配信)


 こんな記事を書き、テレビまでもが、

 


 こんな「デマ報道」をやっているというのだからひどい話である。

 共産党の議員などは、

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 「夫婦間では証明されない」 森友問題で共産・小池氏

■小池晃・共産党書記局長(発言録)
(森友学園問題をめぐる)改ざんされた文書で、「良い土地ですから前に進めてください」と安倍昭恵さんが言ったと籠池氏が述べた。14日の参院予算委員会で、安倍晋三首相が「妻に聞いたら『そんなことは私は言っていない』と言った」と。「言っていない」と言うに決まっているじゃないですか。「言った」と言ったらそれで終わっちゃいますからね。
 当時、首相は「私や妻がこれに関係していたら、それはもう総理大臣も国会議員も辞める」と言った。それを、夫である安倍首相が妻に聞いて「そうです」と言うわけがない。全く意味のない話で、この問題を解明するには第三者が、特に国会で問いただすことなしに済む話では全くない。
 夫婦間で言ったことで証明されるってあり得ない。一般の家庭だってそうでしょ。いろいろトラブルがあって「いや、妻はそうは言っていません」と僕が言ったって、何の説得力もない。「私の妻が小池晃はとっても立派な人間だと言っている」と私が言っても、そんなこと、誰が信用するんですか。それは私の妻に聞いてもらうしかないわけで、あの答弁で納得しろというのが無理なんですよ。(国会内での記者会見で)
 朝日新聞デジタル 3/14(水) 21:23

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 こんなことを言っているが、その「前に進めてください」発言があったという夫人の訪問時のやり取りは、ご自分が国会で籠池氏を喚問した時に、

 


「いい田んぼができそうですね」というまったく別の話がされたという証言を引き出しているのだから「間抜け」をさらしているだけ。

 小池氏は安倍総理が「土地取引や値下げなどに」という「関与」の場合を言っているのに、そこを切り捨てて「単に関与」というだけで叩いているし。どこまで頭が「都合よく」できているのだろう。
 だいたい、「夫婦間で言っても証拠にならない」という人間は、ならば当人が言っても「証拠にならない」というのではないのか?

 ちなみに、今回「消された」中に安倍総理や麻生大臣の名前があったという報道もあるが、彼らの名前が出てくるのは「籠池氏は日本会議の会員である」という説明文の中に、「日本会議の会員には安倍総理や麻生氏がいる」という記載があるだけ。
 しかも当の日本会議からは、

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 日本会議、森友文書めぐる報道を批判 「籠池氏は退会している」

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の文書で、保守系団体「日本会議」について記述した部分がカットされた問題について同団体が3月13日、声明を出した。

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関して、財務省は14件の決裁文書が改ざんされていたと12日に明かした。そのうち1つでは、森友学園前理事長の籠池泰典氏のプロフィールに関する部分が、まるごと削除されていた。
 カットされた部分では、籠池氏が保守系団体「日本会議」の大阪版にあたる「日本会議大阪」の代表・運営委員と名刺つきで紹介していた。
 日本会議と連携する議員懇談会の副会長として「安倍晋三総理」、特別顧問に「麻生太郎財務大臣」、会長に「平沼赳夫議員」と書かれていた。
 このことをメディアは大きく報じたが、日本会議が13日、「森友問題に関する文書書き換えについての日本会議の立場」という声明を公式サイトに掲載した。
 それによると、籠池氏はかつて日本会議に所属していたものの、2011年1月に「年度会費が切れたことを契機として、自ら事務局に退会を申し出て今日に至っている」と明かした。
「籠池氏は、日本会議を退会している」ため、籠池氏の名刺にあった「日本会議大阪代表・運営委員」は「虚偽の役職」と断言。森友学園の問題に関して「日本会議に疑惑の目を向けられるいわれはない」と訴えている。
(後略)
 ハフポスト日本版 3/14(水) 15:11

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 というのだから、こんなもので「関係している!」というなど、馬鹿の極致としか言えない。


 この小池議員と同じ「頓珍漢な屁理屈」で「とにかく安倍総理と夫人を話の中心に持っていき、疑惑で追い落とそう」とする勢力に、新聞・テレビが協力、いや、率先して行動しているのは、まさに「国民を馬鹿にする、民主主義の危機を招く行為」である。

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 高齢層や女性、無党派層で目立つ「安倍離れ」


(グラフ、読売新聞)

 読売新聞社の全国世論調査で、内閣支持率は先月比6ポイント減の48%となり、昨年10月7~8日の衆院選公示直前の調査(41%)以来、約5か月ぶりに5割を下回った。
 とくに以前から支持が低い傾向にある高齢層や女性、無党派層での“安倍離れ”が目立っている。
 今回の内閣支持率の下落幅は、森友学園問題が表面化した後の昨年3月調査(56%)の10ポイントや、支持率が第2次内閣発足以来最低だった同7月調査(36%)の13ポイントなどと比べると小さい。
 しかし、今回調査の内閣支持率を年代別にみると、高齢層の落ち込みが大きい。18~29歳は6割台、30歳代と50歳代では5割台だったが、60歳以上は37%(前回46%)。
60歳代に限ると30%(同42%)と12ポイント下がり、昨年7月調査時に前月比11ポイント低下したのとほぼ同じ下落幅を記録した
 男女別では、男性が55%(前回60%)となお半数を超えたのに対し、女性は42%(同49%)に低下。無党派層に限った内閣支持率も22%(同29%)に下がった。
(中略)
 一方、森友問題で政府への追及を強める野党への追い風は吹いていない。政党支持率で、自民党は38%(前回42%)とやや下がったが、立憲民主党など野党各党はいずれも1けた台だった。
 読売新聞 3/12(月) 7:17

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 いつ採られたアンケートなのかも記載されていない不完全なものだが、読売新聞の調査ではこんな傾向があるという。
 この、まさに何度も書いている「ワイドショー世代」が「見出し詐欺」に引っかかってふらふらしている傾向が示されている今、こんな「デマ」に等しい扇動報道に惑わされないように国民がしっかりものを見ていく事の重要性が、いや増しているといえよう。


 おまけ。

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 昭恵氏「いいね!」も喚問で=立憲・辻元氏

 安倍晋三首相夫人の昭恵氏のフェイスブックに「野党のバカげた質問」などの投稿があり、同氏のアカウントから「いいね!」ボタンが押されていたことについて、立憲民主党の辻元清美国対委員長は14日、「もう感覚が理解できない。なぜ『いいね!』を押したかも証人喚問に来ていただいて、お聞きしたい」と批判した。
 国会内で記者団の質問に答えた。
 共産党の穀田恵二国対委員長も記者会見で「(国会に)来ていただいて、本当に、くだらない質問かどうか、本人が(質問を)受けたらいい」と述べ、証人喚問を求めた。 
 時事通信 3/14(水) 12:48

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 安倍総理夫人が野党をくさすようなことが書かれているフェイスブック投稿に「いいね」をしたからと新聞・テレビが大騒ぎ。立民や共産党の国対委員長が「国会で喚問だ!」とまで言い出している。
 なんと恐ろしいのだろう。こいつら「共謀罪で監視社会がなんたら」といっていたというのに、その自分たちが人のフェイスブック投稿までいちいち監視し、「自分たちに反すること」があれば国会に呼び出してつるし上げようというのである。

 そもそもこの投稿は初め、明恵夫人へのねぎらいではじまり、時事などがあげつらっている一文を経て、〆の部分では、

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 昭恵夫人が「いいね」した「野党のバカげた質問」投稿、全文読むと印象異なる?ネットで賛否

「森友」決裁文書の改ざん問題で、渦中の安倍昭恵・首相夫人がフェイスブックで「野党のバカげた質問ばかりで、旦那さんは毎日大変ですね」などとする投 稿に「いいね」を押した――。2018年3月13日から14日にかけて、大手メディアが取り上げたニュースを巡りネットでは賛否激論となっている。
 昭恵氏を批判する声が上がる一方で、「印象操作」などとマスコミへの批判も噴出している。実際、昭恵氏が「いいね」を押した投稿は、何について書いているのか。

■「物の本質を見た政策、制度をどんどん実現すべき」
 問題の書き込みがあったのは、2018年3月11日。この日、昭恵氏はフェイスブックで、東日本大震災の大津波で児童の7割が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校の慰霊祭を訪問したことを明かし、こう記した。
「今後どんな自然災害が起ころうとも、学校で多くの子どもたちが亡くなるようなことがありませんように」
 これに反応して、一般のユーザーが以下のコメントを寄せたのだ。
「お疲れ様です。明日のよりよい世界を構築していくためには、日本ではやらなきゃならない問題があり過ぎますね、総理夫人としてお立場上、非常に難し いこともあると思いますが、今後とも大いにご活躍お願い申し上げます。野党のバカげた質問ばかりで、旦那さんは毎日大変ですね。世界が毎日かなりのスピー ドで変わっているというのに、ホント国会には、世間には先を読めない、読むこともその匂いさえ嗅ぐことも出来ない人間が多過ぎますね。与党とか野党とかそ んなケチなことを言わず、これからは皆のために、物の本質を見た政策、制度をどんどん実現すべ>きなんですがね。理想論になりますが、いずれは日本でも大学まで学費無料、医療費(入院代・治療費)無料等々無限にあります、しなきゃいけないことは。大震災が起きれば、国が率先して社会住宅を全面的に支援しなきゃいけませんよね」
 ユーザーのコメントはまず、安倍夫妻をねぎらうところから始まっている。次に国会批判がきて、その中に「野党のバカげた質問ばかり」の表現が出てくる。 後段は「これからは皆のために、物の本質を見た政策、制度をどんどん実現すべき」と持論を展開、学費の無料化など政策面にも言及して終わっている。
(後略)
 J-CASTニュース 3/14(水) 19:08

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 というものなのだから、最後の段に注目すれば「いいね」をしたところで問題にもならない。

 いや、それ以前に明恵氏の「いいね」は、

 


 に見るように「見たよ」程度のものでしかない可能性が高いのだから、いちいち監視してあげつらう方が下らないし、恐ろしい。

 自分たちが「敵だ!」と認定した相手にはここまでする。そういう人間たちが今国を引っ掻き回し、そのおかげで、

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 麻生財務相、G20欠席=文書改ざん問題で

 麻生太郎財務相は19日からアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に欠席することが、15日決まった。
 学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる財務省文書の改ざんに関する国会審議への対応を優先させるため。
 政府は木原稔財務副大臣を代理出席させる方針だ。 
 時事通信 3/15(木) 11:55

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 こんなことにもなっているのだから、排除しなくてはならないのはどういう者たちか、とてもよくわかる話だろう。


 本日の訃報。

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 「車いすの天才科学者」ホーキング博士、76歳で死去

[13日 ロイター] - 「車いすの天才科学者」として知られる英宇宙物理学者のスティーブン・ホーキング博士が76歳で死去した。英通信社プレス・アソシエーションが家族の代理人の発表として伝えた。
 ホーキング博士は、広大な宇宙のなぞや、時間の始まりと終わりの解明につながる量子重力理論を研究。その研究は宇宙創成からタイムトラベルの可能性、ブラックホールのなぞに至るまで多岐にわたる。
 このずば抜けた知性の持ち主は21歳のとき、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症。人生の大半を車いすで過ごした。体調が悪化すると、音声合成装置を使ったり、眉を動かしたりしてコミュニケーションをとっていた。
 病気により、さらに研究に没頭し、2度の結婚も失敗に終わったと、ホーキング博士は、2013年に出版された自伝「My Brief History」で語っている。
 同自伝では、最初にALSと診断されたときの様子を次のように振り返っている。「とても不公平に感じた。なぜ自分にこのようなことが起きるのかと」
「当時、私は人生が終わったと思った。現在感じているような可能性を実現することはないだろうと。だが50年後の今、自分の人生が満たされていることをかみしめている」
 ホーキング博士は1988年に出版した「ホーキング、宇宙を語る」が大ベストセラーになり、世界的に有名となった。
 同書を執筆した理由について、博士は、宇宙に関する最近の発見について自身の感動を伝えたかったからだと語っていた。
「私の当初の狙いは、空港の本屋で売られるような本を書くことだった」と当時、博士はこのように取材陣に説明。「この本を分かりやすくするために、私の看護師たちにこの本を読ませてみた。大半を理解していたと思う」
 ロイター 3/14(水) 13:36

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 また一人、世界の頭脳が失われてしまった。

 後年博士が提唱していた「人間原理」には私は反対する立場だが、彼のブラックホール研究から生まれた考えは、大学時代に考えた「場の空間論」に非常に影響を与えてくれた。
 まるで面識もない人ではあるが、「遥か彼方の恩師」ともいえる人でもある。

 病気と闘う苦しい人生でもあったでしょうに、くじけなかった意志の強さもまた見習うべきところである。ついでに「スタートレック」のファンだったところも(笑)。
 どうぞ安らかに。合掌。