選挙は「○○にお灸」なんて感覚でいくものではない | 偕楽園血圧日記

選挙は「○○にお灸」なんて感覚でいくものではない

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 <衆院選宮城>最大被災地から与党議員消える 復興遅れに懸念の声

 22日に投開票が行われた衆院選で、東日本大震災の最大被災地・石巻市を中心とする宮城5区の自民党前議員が議席を失った。2020年度末の復興期間終了まで残り約3年5カ月。政権与党の議員がいなくなった5区の首長や経済関係者からは、復興計画の実現を不安視する声が漏れる。
「与党の議員として力になりたかった。断腸の思いだ」。5区で落選し、比例復活も逃した自民前議員の勝沼栄明氏(42)が23日未明、事務所で頭を下げた。
 選挙期間中、「復興のアクセルを踏めるのは与党だけだ」と声をからした。しかし、無所属前議員の安住淳氏(55)に約3万9000票差で敗れた。
 震災以降、5区には常に与党議員がいた。震災発生時は、当時の与党の旧民主党で国対委員長を務めた安住氏が存在感を発揮した。
 12年衆院選で自民は民主から政権を奪還し、安住氏と争った自民新人が比例東北で復活当選。14年は勝沼氏が安住氏に挑み、比例東北の最後の一枠に滑り込んで与党議席を守った。
「パイプ役になる窓口がなくなるのは要望活動に影響が出る」と気をもむのは石巻市の亀山紘市長。勝沼氏が所属する派閥の領袖(りょうしゅう)の二階俊博党幹事長に、復興補助事業の延期などを7月に要望したばかりだった。
 石巻商工会議所の浅野亨会頭も「困った」と頭を抱える。石巻-酒田間を高規格化道路でつなぐ「みちのくウエストライン」構想の促進など、地域課題の解決には「時の政権につながる議員の方が実現可能性は高い」と言う。
 復興の完遂に向け、地元選出議員は与野党の別なく活躍が求められる。石巻魚市場の須能邦雄社長は「安住氏には今までと同様、地域の代表として被災地の声を国政に届ける役割を担ってほしい」と期待する。
 河北新報 10/26(木) 10:09

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 なにをいっているのだろうなぁ、この人たちは。いや、「ガソリンをプールに備蓄」と言った安住氏の「存在感」のことではなく。
 与党の国会議員が選ばれなかったとしても、それがすなわち被災地の人々の民意。彼らは「それでいい」と思ったということではないか。それで影響が出るというのならば、それはその選挙区の有権者が責任を持たなくては。

そもそも、(2017/10/17の記事、「政治が悪い」といっておけばよかった時代はもう昔の話だ)でも書いたように、復興の主役は国会ではなく自治体であり、その責任者は知事や市長などの首長たち。
 議員立法があまりに少ない今の日本の「政治の形」においては、彼らが総務省なり国交省なりに話を通していった方が、話の進みもよいのではないか?
 ここで国会議員が出てくる仕組みが、小沢氏のような「地方の殿様と組んで金の流れをコントロールする」ものを生み出すことにもなるのだし。


 いやはやそれにしても、こういう話が出て来る背景というのには、投票行為が「比べてこっちのほうがいいと思うものを選ぶ」ではなく、

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 「自民にお灸を据えたいけど…」 受け皿なく戸惑い

 衆院選福井1、2区の戦いは、自民に希望、共産が挑む「3極」の対決構図となったが、最後まで盛り上がりに欠けた。希望が公示前に失速したことや、防衛相辞任騒動と週刊誌報道で耳目を集めた自民前職を逆転する地力が野党候補になかったことが要因だ。「自民にお灸(きゅう)を据えたいけど、選挙互助会のような希望も信頼できない」。選挙戦中、戸惑いの声を連日のように聞いた。有権者は消極的に選択するしかなく、民意が漂流した。
(中略)
 投票先を探して漂流する民意を裏付けるように、共同通信社が序盤に行った世論調査で意中の候補を決めていない県内有権者が6割もいた。2014年前回衆院選の2倍だ。終盤になっても福井新聞社の世論調査で4割がまだ決めていなかった。別の自民関係者は「立憲民主の候補者が県内にいなかったため、リベラル系の有権者が沈黙したのが幸いした」と胸をなで下ろした。
「おごりや緩みが指摘される政治に緊張感を取り戻すには、自民が襟を正さなければならない。さらに有権者のさまざまな声を受け止められる対立軸が必要だ」と県会自民党のベテラン議員。県内野党は真正面から論陣の張れる態勢づくりに腰を据えて取り組むべきだ。このままでは議会制民主主義の土台が揺らぎかねない。
 福井新聞 10月23日 19:26

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 こんなわけのわからない「お灸理論」とか、

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 <衆院選>安倍1強おごり警戒 ブレーキ役期待で比例は野党

◇無党派日記・投票
 自民党の大勝に終わった衆院選。毎日新聞が公示日から取材を続けてきた全国の無党派10人は、どこに1票を託したのか。投票先を尋ねると、小選挙区では自民党が最多。一方、比例では立憲民主党が多かった。「安定した政治基盤を与えてくださった国民に感謝したい」。投開票から一夜明けた23日、安倍晋三首相(自民党総裁)はそう口にしたが、取材した有権者たちからは「安倍1強」を懸念する声が相次いだ。【関谷俊介、内橋寿明、大場弘行】
(中略)
 今回取材した10人のうち半数が自民に投じたが、比例も自民に入れたのは1人だった。東日本大震災被災地の復興の継続を望んで、選挙区では自民前職を選んだ宮城県名取市の男性会社員(49)も「今までのような自民の強行採決は許されない。国会できちんと議論してほしい」と比例では希望に託した。
 選挙区は経済政策などを評価して自民に入れた東京都東久留米市の食料品店経営の男性(75)も「ブレーキ役」として比例は立憲に投じ、こう注文した。「野党の意見を聞きながら政策を進めてほしい」
 毎日新聞 10月23日 23:24

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「一強はだめ。議会は与野党伯仲でなければ」という価値観を刷り込まれた人たちがこういうことをするおかげでもある。

「ブレーキ役」とはいったいなにをいっているのだろうか。自分が意見を託した相手に自分で「ブレーキ役」を置くなど、自己矛盾も甚だしい
 自分たちが政策を認めて代表に選んだ人間ならば、その人間に意見を託すのが間接民主主義の仕組みというもの。それが間違っているとなれば、次には別の人間に意見を託す。それがいわゆる「政権交代」というものである。
そもそも小選挙区制度は「一強」ができる仕組みなのだ。(2016/01/19の記事、妬みで自分たちの代表を無くすなど愚かの極みだ)で取り上げたように、1993年に行われたカナダ議会選挙では、それまで169議席をもっていた与党がたった2議席しか取れず、「一強」が交代したことがある。
「二大政党」「政権交代」というお題目でこういう制度を取り入れた以上、「一強」が出てくるのは当たり前。それが嫌ならば選挙制度を変えるか、「一強」を目指して政党がきちんと争うように仕向けてやらなくてはいけない。
 だが、野党のごたごたを見ればわかるように、もともと「貴族・ブルジョワ」と「労働者」という階級に社会が分かれていないわが国では、「社会の二分化をそれぞれ代表する二大政党」というものが発生する余地がない。

 昭和の時代ロッキード事件だのリクルート事件だのといったものもあって、「政治家は賄賂」というイメージが人々についていた。 そこから「長期政権は必ず腐敗する」という刷り込みが行われ、「それを防ぐには政権交代だ」「政権交代ならば二大政党だ」という話がどんどん進められたが、小選挙区になったら「政治と金」の問題は「選挙と金」にシフトしただけ。賄賂関係のほうは「あっせん利得禁止法」などによる規制のほうがよほど効果を上げることになっている。
 で、その「選挙と金」の話が、初めに挙げた「与党とのパイプがー」という嘆きとなって現れることになる。この意識から変えていかなければ、「政治」も変わるものではない。


 まったく。中途半端な「ブレーキ役がどうの」という意識のおかげで、

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 民進出身者、108人当選…解散時より11人増

 民進党は今回の衆院選前に分裂し、立憲民主党、希望の党、無所属の三つに分かれて選挙戦に臨んだ。
 当選した民進党出身者は計108人で、9月28日の衆院解散時に比べ11人増えた計算になる。
 読売新聞の調べによると、民進党出身で今回の衆院選に立候補した前議員や新人らは224人。このうち当選したのは108人(小選挙区選54人、比例選54人)だった。内訳は立憲民主が枝野代表ら42人、希望が細野豪志氏ら46人、無所属が野田佳彦・前首相ら20人。無所属の逢坂誠二氏(北海道8区)は当選後、立憲民主に追加公認された。
 一方、衆院解散時の民進党の議席は87。希望には解散時、細野氏ら8人の民進党出身者がいた。離党して無所属だった山尾志桜里氏ら2人を加えると、民進党出身者の解散時勢力は97議席だった。
 読売新聞 10/25(水) 10:18

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「民進党」が大躍進というほど当選者を出すことにもなってしまっているのだからばかばかしい。
「与野党伯仲」は、きちんと議論のできる野党がいるからこそ「いい」といえるのであって、審議妨害や拒否をしたあげくに議場内でプラカードを掲げて騒ぎまくるような人間など、いくらいても意味がない

 その代表勢力に至っては、

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 立憲国対委員長に辻元清美氏 政権への対決姿勢、鮮明に

 立憲民主党は24日の両院議員総会で、辻元清美政調会長を国会対策委員長に起用する人事を了承した。来月1日に召集予定の特別国会に合わせ、政調会長の兼務を解く。政権への対決姿勢を鮮明にする人事で、安倍晋三首相がめざす憲法改正の論議にも影響を及ぼしそうだ。
 辻元氏は、衆院大阪10区選出の当選7回。国会審議で「ソーリ、ソーリ」と小泉純一郎首相(当時)に食い下がり、注目された。安全保障関連法の審議では安倍首相と対峙(たいじ)した論客。巨大与党に衆院55議席で挑む野党第1党を率いる状況下、「持ち前の交渉力も含めて適任」(福山哲郎幹事長)と白羽の矢が立った。
 辻元氏は9条改憲反対の急先鋒(きゅうせんぽう)でもある。野党との協調を重視した中山太郎・元憲法調査会長時代の憲法論議への回帰を主張しており、立憲抜きの発議を示唆した首相の方針と対立しそうだ。
 自民、民進両党では、民進の前身・民主党時代も含めて女性の国対委員長はいない。(南彰)
 朝日新聞デジタル 10/24(火) 20:48

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 こんな人事をやるわけだが、それをまた「政権への対決」と書いてしまうマスコミもまた。意識のずれがはなはだしい。

 国会対策委員長は、他党との間で国会の審議がスムースに運ぶよう調整する役であり、行政府である「政権」に対して攻撃を仕掛ける役目ではない。
「与党との対決姿勢」ならまだわからなくはないが、ここに「政権」という単語を入れてしまう朝日新聞の記者というのは、政治の仕組みを知らない政治オンチか、「安倍憎し」でものが見えなくなっているかのどちらかだろう。そういう人間が書く記事に乗せられて、「自民にお灸」とかいってしまうのは、ただ恥ずかしい。

「自民にお灸」というのは、まず「絶対与党としての自民」というものを認めた上で話をしているだけだということに、人々はいつになったら気が付くのか。結局は「いつもの人」はそのままで何とかしたいという「甘え」の気持ちの表れでしかないのではないか、これは。
「政治は誰がやっても変わらない」のではなく「変わってほしくはないけど(自分に利益をもたらしてくれるようにと)文句は言いたい」というのが、多くの有権者の意識なのではないのか。

 もう一度いうと、選挙では「こっちのほうがまだましだと思った候補」に入れていくのが間接民主主義の基本というものだ。


 本日の悪党。

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 ロケット団員、ゲットするニャ ニャース気球、佐賀へ


(写真、朝日新聞デジタルより。ロケット団の団旗を広げるニャースと、団員に扮した佐賀県職員=佐賀市の県庁、黒田健朗氏撮影)

 アニメ「ポケットモンスター」に登場する「ニャース」の気球が、11月1~5日に佐賀市であるインターナショナルバルーンフェスタの会場に係留される。
 ニャースは悪役組織のロケット団に所属するポケモン。熱気球の競技が盛んな佐賀県で、県の協力を得て団員募集をPRする、という設定で企画された。
 ニャースは25日、県庁で記者会見を開き、「1千万人くらい集めてほしいニャ」と期待を寄せた。思惑通り「団員、ゲットだぜ!」となるか。
 朝日新聞デジタル 10/25(水) 19:03

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 いやいや。ロケット団の「ニャース気球」は必ず破裂して「やなかんじー」といいながら吹っ飛んでいくじゃないか。
 そんなものをフェスタの会場に置くなど危険極まりないぞ(笑)。