「頭」を冷却するシステムも必要なのか | 偕楽園血圧日記

「頭」を冷却するシステムも必要なのか

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 浜岡原発内に津波跡=6000年前地層で―中部電

 中部電力は2日、浜岡原発(静岡県御前崎市)の敷地内の地層を掘ったところ、約6000年前に津波が到来したと思われる痕跡が見つかったと発表した。海岸線に砂丘堤防ができたと思われる江戸時代末期以降の地層からは、津波の痕跡は発見されなかったという。
 中部電によると、津波によると思われる砂などの堆積物の含まれた地層が、現在の標高で約5~13メートルの位置に確認された。当時は現在より海面が高く、実際の津波はこれより低かったとみられるという。
 時事通信 12月2日(月)13時19分

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 浜岡原子力発電所下の地層に津波の痕跡が発見されたというニュースがあった。
 東日本大震災の後でも「貞観地震の跡がなんたら」というだけで何か科学的な話をしているつもりになっている人間がネットにはあふれていたが、地学でもこの分野はどちらかといえば経済学のようなもの。再現性の追試ができないものである上、海面の位置も当時とは違う(しかも「掘って見つけた」)というのでは「参考記録」にはなっても「だからどう」という話のできるものではないな。

 そういう話なのだが、ヤフージャパンで配信されたこの記事につけられたコメントの中に、「こういうものもテロがどうとかで『特定秘密』で隠されるんだろうな」というものがあったとなると、俄然「ネタ」としての色を帯びてくるから面白い。
 どうやら「特定秘密反対派」の頭の中では、テロリストというのは津波を武器にして襲ってくるような存在になっているようだ。
 シーゴラスでも飼っているのだろうか、彼らは? そんなナックル星人なみの力を持つやつらに、自衛隊はどう対処したらいいのだろうねぇ?(笑)


 そうやって「原発事故の情報が隠される!」と騒ぐ勢力の言葉とは裏腹に、

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 <福島4号機>水素400キロで爆発 規制委試算

 東京電力福島第1原発事故の原因を調べている原子力規制委員会は25日の検討会で、水素爆発した4号機について、少なくとも400キログラムの水素が原子炉建屋内に必要だったとの試算を公表した。4号機で発生した水素は少量とされ、大半は3号機から流入したことを示す試算となる。
 4号機での水素爆発は東日本大震災から4日後の2011年3月15日に発生した。規制委は、4号機の原子炉建屋内の外壁の破壊状況などから水素量を試算した。
 その結果、4、5階で衝撃波が音速を超える爆発現象「爆轟(ばくごう)」が起こるには、約483キログラムの水素が必要なことが分かった。4階だけで起こるとしても、約412キログラムの水素がたまっている必要があるという。
 国会事故調査委員会の報告書では、4号機の使用済み核燃料プールの水が放射線で分解されて発生する水素は2日間で約3キログラムと試算している。
 このため、規制委は水素爆発には4号機での発生分では足りず、燃料溶融した3号機から水素が4号機に流入したとみている。規制委はその過程をさらに精査し、再発防止策に役立てていく。【岡田英】
 毎日新聞 11月25日(月)11時17分

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 めずらしく原子力規制委員会が「きちんとして仕事」をして、こんな情報を公開してくれた。

 これは貴重なデータである。
 忘れている人も多いようだが、事故当時福島第一の四号機は点検中で、炉は分解状態。燃料は入っていなかった。また、毎日新聞の記事ではあたかも水素が核反応の副産物のように書かれているが、あの事故の主役となった水素気体は温度が上がった燃料棒表面のジルコニウムなどが水蒸気と反応し、発生させたものである。だから「大半は3号機から流入」したといっているのだ。
 これを考えれば、このデータはベントシステムの設計を考えるときに考慮すべきデータであることが分かるし、さらにここから三号建屋全体の水素発生量を導き出すことができれば、三号機の中でどういう反応が起き、どういう状態になったのかに迫ることもできるようになる。

 それにしても、
(2012/01/11の記事、秘密の話はあべこべねー) で取り上げた名古屋大学グループの「炉内レントゲン透視作戦」の方はどうなっているのかなぁ。

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 東京電力福島第一原子力発電所1~3号機の原子炉内で溶け落ちた核燃料(デブリ)の回収について、官民共同の国際廃炉研究開発機構が、これまで計画してきた格納容器を水で満たす「冠水」とは別の手法を12月中旬から公募することを決めた。フランスの原子力・代替エネルギー庁とアレバ社が、格納容器の側面に穴を開けて回収するなどの新手法を提案する方針だ。
 読売新聞2013年12月1日09時29分配信 「福島第一の溶融燃料回収、新手法を公募へ」より

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 というようなことをやっている団体もあるが、対象の状態が分からなければ話にもならない。
 あの時点で「国も後押ししている」という話だったが、安倍政権には「無用な除染」に回す予算があるならば、こちらの実用化のために金を使ってもらいたいものだが。


 さて、福島第一原子炉はそういう事故処理の道を「遅々」としながら進んでいるのだが、まだ新潟県知事のように「事故の検証」(彼がいう「それ」はあくまで原因の検証であり、上で取り上げたような反応の分析ではない)という人間もいて。
 そういう人間やら山本太郎議員のような「デマ屋」の影響、さらに民主党政権の置き土産である「原子力規制委員会」という名の「反対同盟」のおかげですべての原子力発電所が止まっているわが国は、

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 震災後初「原発ゼロ」の冬…節電スタート 値上げで“疲労感”訴える企業も

偕楽園血圧日記-エレベーター
(写真、産経新聞より。節電のため一部が停止された阪急梅田駅のエスカレーター=2日午前、大阪市北区)

 冬の節電期間が2日、沖縄を除く全国で始まった。東日本大震災後初の「原発ゼロ」の冬となったが、北海道以外は数値目標が設定されず、関西電力管内の鉄道や百貨店は、ほぼ従来通りの節電をスタートさせた。節電意識の定着を示す企業がある一方で、原子力発電所の再稼働時期が不透明な中、関電の電気料金値上げによる収益圧迫が重なり、“疲労感”を訴える企業もある。
◆省エネ意識浸透
 関電によると、電力需要が最も高いと見込む来年2月の管内予想は、供給力2655万キロワットに対し需要が2576万キロワット。供給力の余裕を示す「予備率」は安定供給に最低限必要な水準(3%)を確保したが、火力発電設備のトラブルが発生すれば需給逼迫(ひっぱく)の恐れがある。
 ただ、夏冬シーズンで通算6回目の節電ということもあり、節電体制を築きつつある企業も目立つ。
 関西の私鉄各社は駅構内のエスカレーターや券売機の一部停止などを実施。阪急電鉄は2日朝、阪急梅田駅(大阪市北区)構内のエスカレーター12台のうち4台を止めた。節電期間中(来年3月31日まで)の平日午前10時~午後3時に停止させ、不要な照明も消灯する。
 車両の省エネ化も進める。今年11月28日から神戸線で運行を始めた新型車両「1000系」は消費電力が既存車両の半分という。
 大丸梅田店(大阪市北区)の売り場では今冬、照明の発光ダイオード(LED)化により、一部消灯は実施しない。近鉄百貨店も全店舗で売り場の照明をほぼLEDに切り替え、消灯などを見送る。近鉄百担当者は「度重なる節電で省エネ意識が身についてきた」と自信を見せる。
◆悩みは電気代?
 一方、関電が今年4月に踏み切った電気料金値上げによる収益圧迫で、疲労感がたまる企業もある。
 南海電気鉄道(単体)は、今年4~9月の電気料金が昨年同期比で3億7千万円も増加。近畿日本鉄道は平成25年度の電気料金が前年度比16億円、JR西日本も同80億円、それぞれ負担増となる見通しだ。「値上げだけは、自力ではどうにもできない」(私鉄幹部)と無力感が漂う。
 景気改善で企業の電力需要が高まる中、大手製造業も同じ悩みを抱える。パナソニックは「電気代のコストは利益に直結する」と不安を隠せない。
 産経新聞 12月2日(月)15時15分

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 とうとう原子力発電なしでの冬越しをすることになった。

「反原発派」の中にはいまだに「停電になっていないんだから電気は足りてる」というものもいる。
 が、停電になってからでは遅いということがわからないこういう人間が大声を出すからといって、それに迎合するような「政治」はもうやめるべきだ。
 こういう人間たちの頭の中には、産経が付けてくれたような「エレベーターが停まる程度の不便」ですべてが解決していることになっているのだろうが、現実の「電力確保のための犠牲」はそんなもではない。
 燃料費として国外に金を払い、その請求書が産経の記事にもあるように産業界につけまわされているのだ。
「東電が払えばいい」といってすました顔をするやつもいるが、東電は「国立印刷局」ではないので、「金を刷る」ことなどできないのだ。会社の存続にかかる費用を電気代で得ることまで否定する空気もあるが、「馬鹿のたわごと」以外になんと言おう。

 以前にも書いたが、自分が経済的に困らない人間ほど「命より金が~」とか「経済と命とどっちが大切か」といったすり替え提起でごまかそうとする。
 が、世界を見れば分かるように、経済発展がなければ命も守ることはできないのだ。
 政治の分野で「権力者」という特別な「案山子」を仕立てあげて叩く人間たちの思想・思考方法がエネルギー議論にまで持ちこまれ、「その確保」という本当の議論点がただの「俺がなくしたいもの叩き」にされてしまうのは「社会的害悪」であろう。

 今日は東日本大震災から千日ということで震災関連の配信記事が増えているが、、原子炉事故から999日もあったのだから、少しは原子力技術について冷静な話ができるようになっていなければ。


 おまけ。

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 福島県沖浮体式洋上風力発電、コスト4分の1を目指す-丸紅

 11月29日(ブルームバーグ):福島県沖で浮体式風力発電の運転が始まったが、丸紅などの事業者は1キロワット当たりのコスト半減を目指している。今回の発電設備装置設置コストは200万円超だったが、次回には100万円、最終的には50万円と徐々に削減を目指す
 丸紅の福田知史・国内プロジェクト部長は11日に福島県で行われた運転開始式後の記者会見で、「今回はお金より浮かべて(風車を)回すのが一番の大きなポイントだったが、来年の第2期からは実用化・事業化に向けてコストをどう下げるかが非常に大きなポイントとなる」と述べた。
 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの風力発電アナリスト、ジャスティン・ウー氏は、コストが70万-80万円に下がればモノパイル式の基礎を使った着床式洋上風力発電に対抗できると指摘した。
 今回のプロジェクトは丸紅など10社と東京大学が実証実験を実施するもので、日立製作所製の浮体式洋上風力発電機1基(出力2000キロワット)が発電を開始した。2015年度にかけて7000キロワットの浮体式発電設備2基を整備する予定。
 Bloomberg 11月29日(金)6時0分

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 少し前には政府も関わるこの手の話があり、石原環境大臣が得意そうに演説する姿がニュースで流されていたが……「コスト削減を目指す」という彼らは、

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 【英国】英南西部の風力発電計画を棚上げ:独RWE、採算見通し悪化で

 独電力大手RWEは26日、イングランド南西部ブリストル海峡の大型洋上風力発電プロジェクト「アトランティック・アレイ」を棚上げすると発表した。再生可能エネルギー子会社のRWEイノジーが40億ポンドを投じて240基の風力タービンを設置する計画だったが、技術的困難により採算見通しが悪化したという。
 RWEイノジーは2008年、ウェールズとイングランド南西部デボン州の間に位置する約200平方キロメートルの海底を建設地として確保。設置容量は最大120万キロワットを予定し、既に意見公募や開発許可の申請も済ませていた。フィナンシャルタイムズによると、同社は水深や海底の状態など技術的な難問が大きかったとしている。
 RWEイノジーの洋上風力発電事業を率いるポール・カウリング取締役は、「洋上風力発電がRWEの戦略的目標であることに変わりはない」とした上で、「今後は技術的問題の少ない他の洋上風力発電プロジェクトに注力する」としている。アトランティック・アレイをめぐっては、環境保護派から海洋生態系への影響を懸念する声も上がっていたが、同取締役は「決定は純粋に経済的な理由による」と強調している。
 英政府は2020年までに、再生可能エネルギーがエネルギー消費全体に占める割合を現在の4%弱から15%に引き上げることを目指し、洋上風力発電に力を入れている。エネルギー・気候変動省は「今回の決定はRWEの問題」と述べ、今後も洋上風力発電開発を積極的に進める意向を示した。ただ、政府が先に再生可能エネルギー支援に向けた「グリーン税」を引き下げる方針を示したことが、再生可能エネルギー事業への投資意欲に影響を及ぼしているとの見方もある。[環境ニュース]
 NNA 11月27日(水)9時0分

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 先達者が失敗しているこの現状をどう打破するか、アイデアはあるのだろうか?

 イギリス沖はいままで「風力発電に向いている」といわれ、記事にあるように英政府も力を入れてきたというのにこのありさま。
 このイギリスの例が抱えるコストを「浮体式」ならばクリアできるという、そういう技術が、台風が来るというより条件の悪い日本の沖で確保できるのだろうか。
 ブルームバーグの記事では「コストが下がれば」という言い方(決して「コストを下げる」ではない)といっているのがとても気にかかる。

 昨年には我が茨城県の神栖沖でこの浮体式海上風力発電の実験を始めるという話があり、NHKも力を入れて取り上げていたが、実験開始して早々に台風が来てからというもの同局が「その後」を伝えてくれることはなくなった。
「自然エネルギー」とか「再生可能エネルギー」といって粉飾ネームに惑わされず、「本当に使えるのか」というところでこの手の話はするべきだろうな。


 本日の配達。

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 米アマゾン、無人機での商品配達サービス計画を発表

偕楽園血圧日記-オクトコプター
(写真、AFP=時事より。インターネット小売大手米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)が公開した、商品を配達する小型無人機「オクトコプター」の画像(撮影日不明、2013年12月1日公開))

【AFP=時事】(写真追加)インターネット小売大手米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)創業者のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)最高経営責任者(CEO)は1日、同社ウェブサイトで購入された商品を小型無人機「オクトコプター」を使ってわずか30分で配達するサービス「アマゾン・プライム・エア(Amazon Prime Air)」を立ち上げる計画を発表した。
 追加的な安全性試験の実施や連邦当局の認可取得が必要となるが、4~5年以内の実現を見込んでいるという。アマゾンのウェブサイトで公開された実演動画には、小型の無人機が小さな黄色いケースに入った商品を抱え、同社物流センターから空へ舞い上がり、30分後に購入者の元に届ける様子が紹介されている。
 この小型無人機は電動モーターで自律飛行し、物流センターから半径16キロメートル以内ならどこでも配達が可能。GPS(衛星利用測位システム)を搭載しており、目的地に到達すると商品を投下するシステムだという。ベゾス氏によると、重さ2.3キログラムまでの荷物を運べるため、アマゾンが取り扱う商品の86%は配達できる。
 米CBSテレビのニュース番組「60ミニッツ(60 Minutes)」に出演したベゾス氏は「まるでSFのように聞こえるだろうが、そうではない」と語り、「非常に環境に優しく、トラックで配達して回るよりも優れている」と説明した。
 アマゾンによれば米連邦航空局(Federal Aviation Administration、FAA)は現在、無人機の商用利用規定を策定中。早ければ2015年にも法制化される可能性があり、制度が整い次第、無人機配達サービスを開始したいとしている。【翻訳編集】 AFPBB News
 AFP=時事 12月2日(月)12時37分

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 以前アメリカアマゾンで商品を買ったら、同じ州内の移動だけで五日もかかったことがある。そこから日本に向けて移動した時間の方が短いぐらいで。
 それはUSPSの仕事が遅いせいでもあったのだが、そういうことに業を煮やしているのだろうか、アマゾンがこういうものを開発するというのは?(笑)

 しかし「物流センターから半径16キロ以内」というのでは、そういう倉庫が郊外の荒野の中にあるのだろうアメリカで、どれほど意味があるのかなぁ。
 しかも「目的地に到達すると商品を投下するシステム」って。
 動画のニュースでは一応下に伸びている脚が着いてから「ゴトンッ」といった感じでリリースしていたが、ここはサンダーバード2号のようなシステムにしなければ、「壊れた」という返品クレームの嵐になるのではないだろうか。
 なにしろ「返品自由」にかこつけて、結構着用した服を突き返すような国、アメリカなのだし(笑)。