転換できるかな? | 偕楽園血圧日記

転換できるかな?

 正月はテレビ番組がつまらないものばかりなので、ようやく「水戸黄門最終回スペシャル」を見ることができた。
 まあ、内容的にはいつもの「スペシャル」のようなものだが、ここで史実にもある「鎌倉の墓参」をもってくるならば、本編最終話の藤井紋太夫の話も史実の通りにすればよかったのになぁ。
「この頃の水戸黄門は悪人を殺さない」といつか苦言を書いたが、こんなところにまでおかしな「人権主義」が顔を出すようだから視聴率が落ちるんだ(ため息)。

 それにしても、飛猿が全然変わっていないのはすごいな。さすがは青汁効果だ(爆笑)。


 気がついてみれば正月三が日ももう終わり。
 この頃は商店でも大手スーパーが一日から営業しているので昔のような静かな正月も遠くなってしまったが(まあ、おかげで年末に無くなっていることに気がつかなかったマヨネーズを買いに行けたのだが(笑))、さて、「ようやく気付いた」この経営者たちの声は、そういう商習慣の変化に追いつく力になるだろうか?

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 経団連「定昇見直し」本気で提言 日本的経営は完全に崩壊する

 長年にわたって日本の企業に定着していた「定期昇給(定昇)制度」がなくなるかもしれない。日本経済団体連合会が2012年の春季労使交渉に向けて経営側の指針としてまとめる「経営労働政策委員会報告」に、定昇の見直しが盛り込まれることになった。
 もちろん、日本労働組合総連合会(連合)の抵抗は必至だ。しかし、日本経団連はグローバル競争の激化や長引くデフレで「(定昇の)実施を当然視できなくなっている」と指摘し、強気の構えだ。
■仕事・役割が変わらない限り、上限で昇給が止まる
 年齢や資格に応じて毎年賃金が上がる「定昇」は、終身雇用や年功序列を重んじる昔ながらの日本企業の「象徴」のような制度で、そもそもは長く勤めるほど給料の上がる仕組みによって人材の流出を防ぐことが目的だった。
 人事コンサルタントの城繁幸氏はブログで、「今時そんなメリットは無いからもう廃止しましょうね、というわけ。時代にそった適正な判断だろう」と、日本経団連がようやく重い腰をあげたとしている。
 日本経団連は定昇の具体的な見直し策として、
(1)仕事・役割に応じて等級を設け、賃金水準の上限と下限を決める
(2)暫定措置を講じながら個々人を再格付けする
(3)仕事・役割が変わらない限り、上限で昇給が止まる
 という仕組みを提示した。
 これまでのように、雇用年数によって自動的に賃金を上げることを「やめる」との意思を明確に示したもので、能力の高い人、会社に利益を与える人を尊重する仕組みへと移行。2012年の春闘交渉で、「中長期的な課題として、労使の話し合いにより、合理的な範囲で抜本的に見直すことが考えられる」としている。
 一方の連合は2010年の目標を踏襲し、「一時金を含めた給与総額の1%引き上げ」を掲げている。これに対して、日本経団連は「要求があっても賃金改善を実施しない企業が大多数を占める」と指摘し、「理解に苦しむ」と痛烈に批判した。
「定昇の見直し」はここ数年、経営側の検討課題になっていた。2011年の春闘に向けた経営労働政策委員会報告でも検討したものの、定昇維持を容認していた。
■「厳しい交渉を行わざるを得ない」
 ところが、日本経団連の2012年に向けた報告案はかなり強い姿勢のようだ。「負担の重い定期昇給を実施している企業は、厳しい交渉を行わざるを得ない」と、交渉の凍結や延期の可能性にも言及している。
 グローバル競争の激化や長引くデフレ、円高や世界的な景気の後退感と、企業も視界不良でさらに厳しい経営環境にさらされている、ということらしい。
 一方、いまの日本の雇用は、給与や待遇の低い派遣社員がいて、給与が高い正社員たちを長期雇用できるような仕組みになっている。
 城繁幸氏は、「95年の『新時代の日本的経営』は、非正規雇用で雇用調整しつつ、付加価値の高いコア業務を正社員が担うことで、従来の日本型長期雇用を維持しようとするものだった」と、ブログで指摘。「定昇」がなくなることで、日本型の長期雇用の仕組みも根本から崩れるのかもしれない。
 J-CASTニュース 12月31日(土)13時12分

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 こういう考え方がバブルの時に出てきていればなぁ。金が社会を回り、皆が何となく大きな気持ちになっていたあの時代ならば、ずいぶん円滑に賃金体系の見直しができただろうに。
 今の状況ではまず「まともな議論」をしようともしない人間がどんどん出てきて、それに足を取られて結局は「能力給導入」の時のような中途半端な形に終わり、改革によるネガティブな面だけが押し付けられることになるのだろう(現にこれが配信されたヤフーのニュースページにつけられたコメントでも、民主党の「僻み、妬み、嫉み」煽りにとりつかれた人たちが経営陣叩きに走って荒らしをやっている)。

 J-CASTの記事でも「定期昇給のある年功序列が日本式経営。それが日本の企業の象徴」という書き方をしているが、そんな形ができたのは高度成長期になってからのことで、あれはそれ(高度成長)に対応した経営形態であることが理解できていれば、この経団連の提言は何も騒ぐようなことではないのも分かろう。江戸時代の武士などは二百年以上この「職務給」の仕組みでやっていたぐらい、これもまた「日本式経営」の一形態であるのだから。
 そもそも「定期昇給させるから若いうちは安い賃金で働け」というのが人を馬鹿にした制度なのだ。公務員ならばいざ知らず、民間企業が「若いもの」が多くの賃金の得られる未来まで存続するかなどという保証などどこにもないのだから(それが「ある」と皆が思っていたのが高度成長期であった)。
 仕事に応じた報酬を、年齢に関係なく受け取るのは労働者の権利である。日本ではその「格差」を埋めるためのボーナスですら、賃金体系の一環に組み込まれてしまって本来の「利益の応分分配」の役目を果たさなくなっているのだから、今回の提言は遅すぎるぐらいである。

「若いうちに金を渡すと使ってしまうから」という老人の詭弁などに耳を貸す必要もない。そういう老人が貯め込んだ資産が、今世代間格差を生みだして年金や社会保険の不公正を生んでいるのだから、その源から「公平」にしていくのは必然。
 以前取り上げたポストドクターの問題
(2007/07/12の記事、「うちはノンケ(平和国家)でも食っちまう国アルよ」 参照)も、この「仕事に対して報酬を払う」という考えが根付けば解決する。その結果、企業は「専門バカ」の素晴らしい発想力を効果的に使えるようになり、競争力も上がるだろう。
 また、「正社員」「非正規社員」といった区別もなくなり、人は働いた価値に相応しい待遇を受けるようになるだろう。職務給ならば、年齢による差別もなくなり、バブル後問題になっている「リストラ中高年の再就職」も簡単になる。(もちろん、経団連のいうように「職能」の中でも達成度による差は出る)


 ようやく経営者が本気で言い出した「職務給」は、本来は当たり前のものでしかない。
 だが、上で書いた「論点ではないところに引っ掛かって議論を妨害する」人たちの存在など、この提言が素直に社会に受け入れられることは難しいだろう。
 上記の「バブルで気持ちが大きくなっていた時」に加えて、能力給制度がいわれた時にしっかりした評価制度を作っておけば、今こういうことをいっての移行もずいぶん楽にできただろうにと思うと、そういう時代に「年功序列を守れ!」とやった団塊世代の罪がどれほど大きいか。

 まったく、「左巻きの量産」といいこの世代は……。


 本日の公共事業。

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 <人を幸せにする技術>清水建設 月にメガソーラー構想

偕楽園血圧日記-月面ソーラー
(図、毎日新聞より。外周1万1000キロメートルの月を取り巻くように、幅400キロメートルの太陽光パネルを設置。発電した電力は、ソーラーベルトの中央を走る送電ケーブルに集められ、ケーブルに沿って交互に並ぶマイクロ波送電アンテナとレーザー光送光施設から、電波や光に変換され地球に届けられる=清水建設提供)

◇変わる エネルギーの未来
 昨年は、東日本大震災と原子力発電所の事故で、エネルギー問題を考え直す年になった。その一方で、将来にわたってエネルギー問題を一挙解決できるかもしれない夢の技術についても構想や開発が進んでいる。日本発の技術が世界のエネルギー問題の解決に大きく貢献する日が来るかもしれない。
 一般家庭以外に、遊休地に太陽光パネルを敷き詰めるメガソーラーも広がりつつあるなか、巨大な太陽光発電所を月に建設するという構想がある。大手ゼネコンの清水建設が提唱する「ルナリング」構想だ。
 月の中心の赤道上は、どの部分かはほぼ常に太陽からの光が当たっている。これを利用するため、月の外周(約1万1000キロ)に太陽光パネルを敷き詰めて発電し、マイクロ波やレーザー光に変換して約38万キロ離れた地球に届ける構想だ。
◇世界の総量確保も
 発電効率を4%程度と仮定すると、幅400キロの太陽光パネルの帯を月面に敷けば、世界で使う年間の総エネルギーを賄うのに必要な8.8テラワット(1テラワットは10億キロワット)を確保できるという。
 パネルの敷設は、地球から遠隔操作できる無人ロボットを活用し、少人数の建設スタッフと共同で作業する。月の表面にはマイクロ波送電アンテナや、レーザー光送光施設を多数設置し、地球側にも受電アンテナ、受光施設をつくる。
 月で採取できる資源も最大限活用する。地球から水素を持ち込めば、酸化物である月の砂で酸素や水を作ることができるほか、セメントやガラス、セラミックも「現地生産」が可能。「太陽電池に必要な主原料も、月には豊富にある」(同社)とみられ、パネルは自走式ロボットが月面で生産する。同社技術研究所の金森洋史宇宙・ロボットグループリーダーは「発電所に必要な個々の原理はすでに実証されている」と自信をみせる。
 課題は、言うまでもなくコストだ。月に建設資材を運ぶには、重さ1キロあたり1億円かかる。不確定要素が多いため総額は計算できないが、膨大な額になる。実現には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米航空宇宙局(NASA)など世界の英知と資金を集中させる必要がある。
 だが、実現すれば地球での人間の生活は大きく変わる。石油などの化石燃料を発電に使わなければ、空気がきれいになり、地球温暖化も抑制できる。エネルギーコストが高くてリサイクルできなかった素材も再生でき、砂漠の水不足解消や緑化を進めれば、食糧の安定供給にもつながる。
「決して絵に描いたもちではない。電力不足問題に萎縮しないで、大きい夢を描こう」と金森さんはあきらめずに夢を実現するために一歩ずつ前進することを呼びかけている。【寺田剛】
 毎日新聞 1月1日(日)15時26分

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 これをやるなら地球の周りにオービタルリングを作った方が簡単だと思うが、多少でも重力があるということと、原料物質の調達などを考えると、工務店的にはこちらの方が作業がしやすいというのかもしれない。
「建設資材の運搬に莫大な費用がかかる」といっても、ある程度できれば後はずいぶんコストも下がることになるし。
 何より発電量が自然環境に左右されないというのは大きい。

 逆に、盛んにもてはやされている「太陽光発電という自然エネルギー」は、これぐらいの投資をして大規模に、しかも大気という妨害物質のないところに持っていかなくては使いものにならないということを、「自然エネルギー教」に帰依しようとしている人たちは知るべきだ。