脱線事故・続報 | 偕楽園血圧日記

脱線事故・続報

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 脱線、時速120キロ程度でも…JR試算を下回る

 兵庫県尼崎市のJR福知山線で25日朝に起きた脱線事故で、現場の右カーブで脱線が起きる恐れが生じる危険速度は、JR西日本が発表した「時速133キロ以上」よりも実際にはかなり低いことが28日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで明らかになった。
 事故調の解析では、同社が危険速度を計算する際、乗客はゼロとし、気象条件を一切無視するという非現実的な想定をしており、同社の試算は「机上の空論」に近い。専門家は、実際には時速120キロ程度で転覆脱線が起きる危険性があり、急ブレーキなどの悪条件が加わればさらに低速でも脱線が起きていたと指摘している。
 JRが危険速度を公表したのは事故当日の会見。制限速度70キロの現場カーブについて「計算上は133キロで脱線する」と発表した。事故を起こした207系車両の最高速度は120キロとし、速度超過が脱線の原因にはならないかのような主張だった。
 しかし事故調が改めて同社の試算を解析した結果、133キロは脱線の危険速度ではなく、脱線よりも重大な転覆の恐れが発生する「限界速度」だった。さらに試算は、空車を想定したうえ、レールや車両への影響が大きい横風や湿度などの気象条件を排除していた。
 実際には、事故当時の車両は満員状態に近かった。電車は乗客が多いほど、重心が高くなって不安定さが増す。また制限速度を超える約100キロでカーブに進入したため、想定より4倍の遠心力がかかっていたうえ、急ブレーキも加わり、事故車両はJRの「理論値」よりはるかに不安定な状態だったと事故調は見ている。
 「交通安全環境研究所」の松本陽・交通システム研究領域長も、「実際の転覆の限界速度は、高くても120~125キロ程度だったのではないか」と指摘。これに急ブレーキなどの悪条件が加われば、限界速度はさらに低くなるという。
 事故調では今後、最初に転覆脱線したとみられる先頭車両の損傷状況の調査を実施。事故発生当時の乗客数や気象条件などを前提として、「机上の空論」ではない実際の限界速度を算出する方針だ。
 JR西日本は事故後、危険速度は時速133キロとするとともに、線路上の置き石が脱線の引き金になったかのように発表していた。これについても事故調は28日、置き石があった可能性を全面的に否定した。
 事故調は、レール上にあった白い粉を鑑定した結果、外部から持ち込まれた物体ではなく、線路内のバラスト(敷石)が車輪に踏みつぶされたものと断定。また、先行電車が通過後の短時間に、石をレール上に並べることはほぼ不可能で、「テロやいたずら目的とは考えにくい」としている。
 (読売新聞) - 4月29日3時3分
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 尼崎の事故で、とんでもないニュースが入ってきた。上記のことが確かならば、とんでもないことである。置石は否定されたようだが、問題はカーブの危険速度のほうである。机上の空論でもなんであれ、この133キロが今までいわれてきていた速度ならば、運転手はそれを信じていたはずである。
「遅れているので急がなければ……カーブだ! だがこのカーブは130キロまで大丈夫だったはず。ならば110キロぐらいまで安全だろう……」こういった思考がなされたことは十分想像できるのだ。
 まさに今回の事故は人災であった
 第一因は運転手のスピードオーバでも、第二因として、それを誘発したJR西日本の体質があるのだ。

 経済原理主義、というのであろうか。バブル以降の日本人が陥っている病である。以前書いた、堀江社長のように何をしてもいいから儲けた者勝ちというものである。そこでは、目先の利益が出ないものは切り捨てられる
 しかしこれでは社会は発展しない。蛸が自分の脚を食うように、社会の中の弱者にしわ寄せをして築いた砂上の楼閣である。
 小泉改革の名の下に国立大学まで独立法人化され、四半期ごとに研究室が利益の上がる研究をしているかチェックされるようになった。どんどん長期スパンに渡って社会を見る目がなくなっている。このまま近視眼的なことを政策ばかりをやっていては、やがて日本は中国の二の轍を踏むことになってしまうだろう。

 ところで、「被害者の横顔」といったものを取り上げて事故報道を必要以上に抒情的にしようとするニュースが多いが、これは事故の本質を曇らせるだけなのでやめるべきだと私は思う。


 追記・ニュースを見ていると、直前の駅でのオーバーランは60メートルの可能性もあるといっていた。140メートル程度の列車で60メートルもオーバーランをするなど、通常の運転操作で起こりえることであろうか? 特急列車の運転をしているつもりだったとかか?(運転台の形が全く違うから考えにくいことだが……)