俳優の自分を振り返る③ 初日、意外なダメだしをくらう 「バルカンのスパイ東京」公演を終えて | 演技の悩み解決ブログ スタニスラフスキーの孫弟子が演技力向上メソッドの真髄を大阪よりお届けします。         

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スタニスラフスキーの孫弟子アクティングコーチ田中てつが演技の悩みを解決するブログです。

【 コバチェビッチ氏からの招待 】

ありがとうございます!

お蔭様で「バルカンのスパイ」は
作家のコバチェビッチ氏からセルビアで
行われる演劇祭に正式に招待されました

演劇祭参加にはあといくつかの高いハードルが
まちうけているそうですが
本場では誰もが知っているというこの芝居。
どのように受け入れられるのか今からとても
楽しみ。

というのも、初日には在日のセルビアの方には
大勢ご来場いただきとても好評だったからです。

気さくに声をかけていただきました。


というより、彼らはとてもノリがよく、反応が繊細で大胆。

なので、自分の演技を非常に感度の良いモニターで
随時フィードバックしてもらっている感覚を味わい、
そのお陰で開眼した部分も沢山あるのです。

まさに、彼らにこの役について
そして、演技について改めて教えて
もらった感じでした。

彼らの前で演じられただけでも
今回の参加は本当に価値のあるものだった。


【 生徒に見限られる悪夢 】


でも、今回の出演を打診されたとき
は幾つもの迷いが生じた。

大阪の仕事はどうする?
家族はどうする?
経済的には・・・

正直、一番こわかったのは
私の客のほとんどは私の生徒や私の元生徒になるであろう
ということ。

客だしのロビーで

「先生、言うほどでもありませんねwww」

で、その生徒は次の日から稽古場に現れない・・・

こんな悪夢を本気で恐れてた

と、同時にうぬぼれの強い私は

「スゴイ演技でした!!とても勉強になりました。
やっぱり先生の教えは間違ってないのですね!」

という場面もこっそり夢見ていた。


私にとってはスゴイ葛藤だったが
いずれにしてもこのリスクにしびれてみよう!
と覚悟できたので出演を決めた。

そして、迎えた初日はというと・・・

【 生まれて初めての出トチリ 】

自分の感覚は前回も述べたように最高だった。

どうやっても綱から落ちる気がしない。
インスピレーションが沸き、身体も心も軽く
つい、逆立ちをしそうになるほどの余裕を感じていた。

日常ではもちろん稽古場でも経験したことの無い感情や感覚、
動きが生まれ演技が楽しくてしょうがない。

その証拠に、生まれて初めての出トチリ・・・・

次の出が待ちきれなかったみたいです。。。


【 演出家から予想外のダメだし 】


観客の感想も非常に良かった。
ところが演出家には・・・


「テンションもエネルギーも十分だが、
ほんの少しだけだが見せていると感じる部分があった。
客の反応に合わせてしまっていて、結果、
イリヤの線からズレそうになっている所があった。
軌道修正はできていたけど、
あくまでも誠実に役の行動のラインを
はずさないで欲しい。」

最初はピンと来なかったが、
よくよく思い返すとなるほど・・・

客席との一体感からいつのまにか
サービス精神旺盛な自分がチラホラ
顔を出していた。

どう演技すればどんな反応が
返ってくるか手に取るように分る感覚が
私の中に一つの余計な欲を生み出していた。

無意識に出た行動だから、
創造的だから全て良いとは言えない。


田中徹の無意識の欲求である
客に喜んでもらいたいが強くなれば
イリヤのラインを逸脱してしまうのは
当然だ。

良い気分で演じられたし、観客も喜んでいる
でも、ただ、それだけのために演じているのではない。

イリヤの人格や人生をそこに出現させなければ
俳優の仕事をしたとは言えない。

田中徹ショーじゃないんだから・・・
もう少しで本末転倒するところだった。

うーん、この演出家はやっぱりスゴイぞ!

こんな些細な点を見逃さないのだから
安心して演じていられるね。


【 観客にはどう見えたのか? 】


どうやら、なんとか良い夢のほうが実現したのでした。

公演に訪れた私の生徒達からの感想の抜粋です!

Mさん 本当にすごかったです。。
Sさん 別人でびっくりしました。
Tさん コミカル&serious&crazyなキャラで面白かったです(笑。
Mさん つい、普通に楽しんでしまいました。素晴らしい舞台でした。
  最後の一声を成立させるのは本当にスゴイと思いますよ。
Aさん あれだけの時間をあきさせずに見せる先生に拍手です。

Nさん
金曜日はすごい物を見せていただき大変勉強させていただきました。
ありがとうございました。

先生の芝居、言葉以上のものをすごく感じました。
セリフを言っているときのパワー存在感もちろん素晴らしかったですが、
話を聞いているときや、在り方とういうか、
特にはじまりの椅子に座っているシーンゾッとしました。

ラストシーンの変わっていく様も素晴らしかったです。

おそらく僕が、日本語がわからなくても素晴らしいと思っていたと思います。
これが役を生きるということであるんだなと深く勉強になりました。

8年間振りにあの素晴らしさだったので、現役時代を考えるとゾッとします。
ますますスタニスラフスキーシステムの凄さを感じる舞台でした。
本当にありがとうございました。


【 一人じゃ生きられない 】

おかげさまで初日は好評でしたが
これも、信頼できる演出家、最高の
観客、素晴らしい装置、照明、衣装
音楽など多くの人たちとのコラボレーションで
成り立っている。

また、私もこの作品の鼓動を
鳴らす一員であれたことに
誇りも感じている。


中日以降の感想は新年に持ち越しますが
よろしければまた覗いてみてください。

そして、来年よりさらにお役にたてる形で
このブログやスタジオ・アクターズアートを
進化させていくつもりですのでどんな
進化をするかどうぞお楽しみに!!


それでは、皆様良いお年を!!

最後までお読みくださいまして誠に
ありがとうございました