「私はタクシーで帰りますので、お二人は先に帰っててください」
ナオミはいつもの笑顔と少し疲れた声で私達に呼びかけた。
「もう明日にしようや。もうすぐ終電やで。なぁ藤沢」
営業所の時計の針は23時をとっくに過ぎている。
私の自宅があるJR吹田駅へ帰りつくには遅くとも23時30分までには
会社を出なければ終電に間に合わない。
それは尼崎に住むナオミにも言えることだ。
「待っててもしょうがないから帰ろうぜ。小池もキリのいいとこで帰れよ。」
「わかってます。もうちょっとなんで終わらせて帰ります」
藤沢はナオミに声をかけさっさと帰り支度すませている。
いつも誰かしらが夜遅くまで仕事をしているのはいつもの事だ。
男も女も関係なく均等に営業数字が任されているこの会社では
女性社員でも関係なく夜遅くまで仕事をしている。
現にワンフロア下の別の事業部では煌々と明かりが灯っているはずだ。
医療機器を扱うこの会社では大きく2つの事業部に分かれている。
我々が所属する営業部隊と医療機器の出荷に対応する業務部隊だ。
ワンフロア下の業務部は24時間の出荷に対応する為、昼夜関係ない
シフトが組まれいつでも臨戦態勢を整えている。