2月から3月にかけて、川崎市議会では来年度予算案に関する議論が行われます。
市の財政運営の見通しについては、物価高による歳出の増加を税収増で賄うことができず、約157億円の収支不足になることが見込まれています。
一方で、来年度は市制100周年を迎えるため、「全国都市緑化フェア」などさまざまな催し物が計画されています。
緑化フェアには約24億円、その他の事業も含めると約32億円が100周年記念事業(以下、記念事業)にあてられます。
今年度もプレイベントなど準備経費が計上されているため、延べ約40億円が記念イベント等に使われることとなります。
これは多摩川花火大会を30回程度は開催できる予算規模です。
この記念事業に対する興味関心や熱量は、市民の間でも相当な温度差があるように感じています。
しかし、予算規模に関わらず記念事業を実施することによって目に見える形で不利益を享受する市民はほとんどいないため、賛成の声だけが行政・議会に多く伝わり、このように事業費が膨れ上がる結果となったのだろうと思います。
先日開催された市議会の予算審査特別委員会でも記念事業の予算規模に対する質疑はほとんどありませんでした。
東京オリンピック開催のときに「レガシー」という言葉がよく聞こえてきました。
記念事業でも同じ言葉が使用され、市長も記念事業の意義について「単なるイベントではなく、レガシーを残すきっかけにする」としています。
そこで私は予算審査特別委員会において、記念事業におけるレガシーは何か、それをどのように実現するのかについて質疑しました。
市長とも直接議論させて頂きましたが、残念ながらレガシーが残る道筋が立っていると感じることはできませんでした。
来年度予算案自体は修正されることなく、賛成多数で議会を通過することが見込まれていますので、
私としては、ここからは市が記念事業のレガシーとしているものを少しでも多く後世に残せるように、市の取り組みに意見・提案することに尽力してまいります。