良くとらえれば、議会が本来の力を発揮したという喜ばしいニュース。
一方で、普段議会は自らの持つ力の半分くらいしか発揮できていないということを改めて思い知らされたニュースです。
テーマは、もはや社会問題のど真ん中ともいえる教員の多忙化についてです。
今回川崎市議会の文教委員会では、教員の多忙化に関する請願・陳情が審査されました。
その中で、現状説明として報告された3つのことが大きく報道でも取り上げられ、それなりに多くの方から反響があったと感じています。その報告とは、以下の3つです。
①原則として教員の残業は認められていない
②休職者が相当数いること
③残業時間を正確に把握できていないこと
請願・陳情の審査でも、③は議員側から問題視されることとなり、市はようやく正確な時間の把握に向けて動き出すとのことでした。
個人的には正確な時間を把握する前に、給食費の管理など事務負担を減らしたり、部活のスケジュールを見直すべきだと思っていますが、
ひとまず正確な時間を把握するということ自体に反対ではありません。
私が今回の件で最も気になっているのは、①~③はこれまで何回も本会議場で取り上げられてきたということです。
少なくとも議場の議論を聞いていたり、少しでも教員の状況や教育に関心がある議員であれば、①~③は知っているはずの内容なのです。
しかしこれまで行政を動かすことはできなかったわけです。なぜでしょうか。
これは私の想像でしかありませんが、やはり議会は議会として行政と対峙するときに本来の力を発揮するのだと思います。
普段、議会として行政に対峙していないとはどういうことかといえば、
(もちろん私が知らない非公式の会議で何が議論されているかわかりませんが)
少なくとも無所属の私から見える景色の中にあるのは、ほとんどが「会派対行政」「議員対行政」です。
例えば本会議場で行われる議論である、代表質問は「会派対行政」、一般質問は「議員対行政」という形になっています。
さらに本会議場での議論は、それぞれの会派・議員が取り上げたいテーマについて行政とやりとりをするということもあり、
1つのテーマについて議論を深めたり、議会として何かしらのメッセージを送るという機能はほとんどありません。
ということで、これまで何度も本会議場で取り上げられていた先ほどの①~③についても、議会として行政に対してメッセージを送れていなかったのだと思います。
今回メッセージを送れた最大の要因は、請願・陳情があったからです。
請願・陳情が出ると、委員会ではそのテーマについてほぼ全ての議員が意見などを述べます。
そこで述べられた意見に一定のまとまりがあると、その意見は「会派・議員」の意見ではなく、「委員会」の意見になります。
「委員会」というのは「議会」から担当する分野に関する調査・審査を任されているところなので、「委員会」の意見は「議会」の意見として行政に認識されます。
ここで初めて「議会対行政」の形が出来上がり、そのメッセージには強い力が発生します。
そんなわけで今回は行政を動かすこととなったわけですが、
議会が力を発揮するために改めて市民の方からの請願・陳情という機会を頂かなければいけないことに歯がゆさを感じます。
どんなにそれらしいことを言っても1人では何もできないわけですが、
少しずつでも議会を変えていけるようにまずは私自身の力を蓄えたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。