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↓『ニッポンを繁盛させる方法』島田紳助・東国原英夫著、角川書店、2007)より引用(08)


島田:戦後には夢があったよな。何もかもが新しく手に入って。
でもいまの日本人は、戦後とは大きく変わった体質になっていると思う。


だって、賞味期限や消費期限を偽造した企業のことを、あれだけニュースにするんやで。
もちろん、それがいけないことに違いはないのだけど、もっと他に伝えるべきニュースがあるんやないかな。


昔は、腐っていても食べていたよな?
冷蔵庫を開けて、自分で臭(にお)いを嗅いで、「うん、これならまだ大丈夫かな」ってね。


パン屋でパンを買って、カビが生えていることもしょっちゅうだった。
「おっちゃん、カビ生えてるで」と言えば、「あっ、ほんまか。ならこっちにしとき」と。


いまやったらニュースになる。大問題になる。


偽造する会社の姿勢は問題だけど、賞味期限を改竄(かいざん)して販売されていた「白い恋人」にしたって、商品にカビが生えていたわけではない。
実際に食べて腹痛を起こして入院した人がいたわけでもない。
それなのにあれだけ大問題になる。
やっぱり日本はすべてがおかしくなっていると思う。


豊かになったらなったで「不満」が増えていく。


↑(引用ここまで)
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マクドナルドのポテトにビニールが入っていた。
賞味期限を貼り直して出荷していた。


…そんな、はっきりいって「どうでもいい」ニュースばかりが幅を利かせている昨今の流れに、抵抗を感じるのは私だけでしょうか?


わかりますよ。
「マクドナルド」や「賞味期限」という、主婦にもサラリーマンにも子どもや高齢者にも身近なところに「こんな事件があったよ!」なんて「うわさ話」があったら、野次馬根性がくすぐられるというか、「なになに? 何があったの?(笑)」「うわあ、そりゃひどいなあ(笑)」とか言って楽しみたい下世話な感覚が刺激されて、「ついつい見ちゃう」んでしょう?


私だって、そんなネットニュースがヤフーのトップページにあったら、ついついクリックしてしまいそうになります。
テレビのニュース番組からそんな話題が耳に入ってきたら、ついつい見入ってしまいそうになります。


…でも、そんな後ろ姿、なんだか醜くないですか?
「クリックさせられている」「庶民の興味をひくような”作られた”ニュースを、ただ”消費させられている”」ようで、なんだか怖くないですか?


一昔前の日本人は、「家族でテレビを観る」ことに多くの時間を費やしていました。
夜6時以降のテレビ番組の時間帯が「ゴールデンタイム」なんて呼ばれたりして、その合間に流されるCMの宣伝効果も抜群でした。


それが、ここ最近の日本人は、「スマホやパソコンで、ネットニュースやらツイッターやらゲームやらの画面を観る」ことに多くの時間を費やすようになったと言えるのではないでしょうか。それも、相当「膨大な時間」を。
そりゃあ、各企業こぞって、バナー広告に力を入れるわけですよね。なんせ、相当多くの日本人が毎日毎日スマホの画面に見入っているわけですから。
たまに電車なんかに乗ると、どいつもこいつもスマホの画面に見入っている姿がおかしくて、ついつい笑っちゃいます。


私が思うに、「スマホ」は「持ち歩ける広告媒体」のようなもので、先述したような「身近なうわさ話」を用意しては、せっせとバナー広告を見てもらう。クリックしてもらう。アプリをダウンロードしてもらう。
だから、ニュースのタイトルも、どんどん刺激的に、もっと庶民が喰いつくように、誇張に誇張を重ねた表現になっていってしまうのは、当然といえば当然のことだと思うのです。
次々にニュースとも呼べないような下世話な「ニュースもどき」を量産すれば、庶民どもの目をスマホなどの「画面」に長時間向けることができる。「ついつい」クリックさせて、「時間」を奪える。確率論的に、それが「宣伝効果」につながる。


スマホの「ゲーム」も同じカラクリですよね。「無料」でダウンロードさせて、「一日一回はワンプレイ無料」なんて言って、庶民になるべく毎日ログインさせる。「時間」を奪う。確率論的に、「課金」者が増えていく。


紳助氏は『日本はすべてがおかしくなっている』と評していますが、これは「企業戦略に、アホな庶民どもが乗せられまくっている」という面が強いように思います。…そういう意味では、『(アタマが)おかしくなっている』と言えるかもしれませんが(笑)。


各企業は「宣伝効果」を上げるために、直接的に「カネ」を徴収するのでなく、間接的にまず庶民の「時間」を徴収しようとしている。
だから、「見ない」「クリックしない」「ネットに時間を割かない」という選択肢がない人間は、どんどん「時間」が奪われ、次いで「カネ」が奪われていくわけです。…ついでに「品位」までも。


私が「スマホ」に手を出さないのは、そういう理由からです。
電車の座席に「スマホに見入る庶民ども」がズラっと並んでいる姿を見ると、「ああはなりたくないよなあ」「”品”がないよなあ」と思い、笑ってしまうと同時に、「まるでマインドコントロール機器やなあ」と怖くもなるのでした。


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