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↓『江川達也のニッポンを鍛えろ!』(江川達也著、ぶんか社、2004)より引用(10)


江川流教育国家のもとでは、文部科学省が全ての官庁を管轄下に置き、全ての役人に再教育を施して適性のない者はどんどんクビにしてしまう。
だからたとえ外務省に入れたからといって、いつまでも外務省の役人でいられるかどうかはわからない。定年を迎えたら天下りできるなんていう恩恵も一切なし。給料も安くする。
なぜなら、オレの経験上、給料をたくさんもらう人間ほどモチベーションは低落していくからである。


例えばアニメーターなど、役人の何分の一かの給料でその何倍も働いているが、それは彼らが本当にアニメを作る仕事が好きだからである。
給料が安ければ、金につられた志望者が減り、本当にその仕事が好きな人間だけが、その仕事を志望するようになる。
本来は誰もが本当にやりたい仕事に就くべきであって、見返りなどなくてもその仕事をしていれば楽しい、というのが理想なのである。
そういうスタンスだからこそ、仕事の質も能率も上がっていくし、組織の腐敗や癒着も起こらなくなる。
公務員になってもこれまでのように保身を図ることができなくなれば、安定しているからとか、天下りが出来るからとか、そういう不純な動機で公務員を志望する人間はいなくなる。


官庁にしても、これまでの終身雇用で守られた大企業にしても、出世しているヤツほど無能である。
ベンチャー企業を興した人間などは、ビジネスがうまくいかなかったらそのとたんに全て失う緊張みなぎる勝負を行い、日々能力を磨いているのだ。
国家を運営するという重責を担う立場の公務員とて、同様の責任を負うのは当然である。出来ないものはクビ。
意欲があり、かつ出来る者だけが残る、もっともし烈な生き残り競争が、公務員社会にこそあるべきなのだ。


↑(引用ここまで)
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…『給料が安ければ、金につられた志望者が減り、本当にその仕事が好きな人間だけが、その仕事を志望するようになる』。
まさに、社会主義経済・公務員社会の「怠慢」を撃ち抜いてくれている表現だと思います。
社会主義経済における適材適所・仕事へのモチベーションを上げるには、給料を安くするしかない。
当然といえば、当然の考え方です。


最近では、中学生や小学生までもが「将来は公務員になりたい」「安定した仕事に就きたい」と口にするようになり、「自分の適性は一体何なのか」「どう『社会』と関わって生きていきたいのか」「自分は世の中のどんな『役割』を担って生きていきたいのか」が度外視されてしまっているような気がします。
そんなガキどもに、是非この話を聞かせてやりたい、と思ってやみません。


「自分が何をしたいかなんて、わからないよ!」「この不況で仕事が無いんだから、せめて『安定』を求めて何が悪いんだ!」と逆ギレするのは簡単ですが、自分で自分を追い込んでがんばってみたり、自分自身の『適性』についてあれこれと試行錯誤することを怠ってきた者に、そんな開き直りが許されるとは、私は思いません。
オマエは10年やら20年の間、一体何をしていたんだ、と。
そんな彼らに「経済成長が頭打ちになって、夢を持ちにくい時代になったよね」と同情の言葉をかけてやるよりも、「緊張感をもって生きないと、『現代の日本』というぬるま湯に浸かったまま流されていってしまうよ」「食う物に毎日そこまで困っていないくせに、『大変だ』『疲れた』とばかり口にする大人になってしまうよ」と言ってケツをたたいてやることが、現代日本に生きる若者に必要なのかもしれないと、思うのです。


…まあ、「若者をはじめとする、社会全体のモチベーションの低下」の原因は、我々「オトナ」にも十分あると思います。
我々「オトナ」が、毎日もっと楽しそうに、それでいて真剣に、「暑い」「寒い」「疲れた」ばかり口にせずに、おもしろおかしく日々を過ごしている姿を若者に見せて生きていれば、「自分もああいうふうに生きたい」「オリジナリティをもって生きたい」「自分の言動にプライドをもって生きたい」と口にする若者が多くなると、私は思うのです。


私の好きなアメリカSFドラマに、『スタートレック』という作品があります。
その作品の中では、24世紀の地球には無機物から食糧を生み出す「フード・レプリケーター」という機械が行き渡り、「飢餓」や「貧困」がなくなっている、とされています。
では、24世紀の人々は何のために働くのか。
宇宙船エンタープライズの艦長は、はっきりこう言います。
「24世紀の人類は、金銭や食糧のためでなく、各個人の『生きがい』や『名誉』のために働いているのだ。人類は『進歩』したんだ」と。


…マルクスも、人類が社会主義を経て共産主義社会に到達するとき、人々が「賃金」を得るためでなく、『生きがい』や『自己実現』を得るために働く世の中が来る、と言っていました。


どちらも、理想論なのかもしれません。
でも、残り少ない資源を再分配して人類全体でコントロールする社会は、必ず来ると思います。
もし、火星に住めるようになったって、限られた資源を分け合う社会システムを作れなければ、同じことの繰り返しです。
果たして、人類は『進歩』するのでしょうか?
少なくとも、将来ある若者が「夢は公務員になることです」なあ~んて言っている世の中では、望みは薄いでしょうけど。。


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