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↓『30独身女、どうよ!?』(岡田斗司夫著、現代書林、2001)より引用(20)
岡田氏:さっきの「心の母親」という話に戻るけど、母親に対する怯えみたいなものかな。心の中でママが見張って、「産まないの?」「結婚できないの? あなた」とか言ってくるわけ。
うさぎ:「いいのかしら? あなた」みたいな。「あなた、その辺で手を打っておかないと」とか言ってくるわけですよ、心の中のママが。
岡:「うさぎも、そろそろ賢い女の身の振り方を考えた方がいいわよ」とか言うでしょ(笑)。
う:そう、そう。うちの母は実際言っているけどね(笑)。
岡:実際にも言っているか(笑)。
う:口に出して言ってる。
岡:知り合いの女性ライターも、母親の言葉に縛られてて、「もう呪いですよ、呪い!」って言ってた。女の30代は母親の元から脱却する期間です(笑)。
う:確かに一種、呪いですね。
岡:でもね、それって男では普通のことだったんだよ。昔よく言った「男は父親を乗り越えて一人前」ってそれと似たようなもんなんだけど。
女の人って、かつてはそんな問題に苦しまなかった。というのも、母親が言った通りの社会だったから。でも、今や、母親の言う通りの社会じゃない。ところが、自分の中の倫理観とか価値観は、母親のものがそのまま擦り込まれてしまっている。私が母親の言う通りにしたら、母親はきっと幸せだろう。私も自分を幸せだと錯覚できるかもしれない。
だけど、私の目はすでに5年先まで見通せてしまう。母親の目は3日先までしか見えないような目だ。「じゃあ、どうすれば?」っていうのが、葛藤の正体。昔は女の人は、3日先の目しか持っていなかった。でも長期的に見ても、この社会全体が変化しなかったからそれでよかったわけね。
今は、そんな男みたいなことを考えなきゃいけなくなっちゃった。
↑(引用ここまで)
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…『でも、今や、母親の言う通りの社会じゃない』。
…『私が母親の言う通りにしたら、母親はきっと幸せだろう。私も自分を幸せだと錯覚できるかもしれない』。
…『昔は女の人は、3日先の目しか持っていなかった。でも長期的に見ても、この社会全体が変化しなかったからそれでよかったわけね』。
これが、私が前回お話しした、「結婚・出産」を安易に勧める世代と私たちの「状況の違い」です。
つまり、ずっと「女」という役割に徹していればそれでよかったはずの「女の子」「お嫁さん」が、いつの間にか個々の人生設計を持った「大人」「ひとりの人間」になってしまった、ということなんです。
これが、人類史上どれだけ特殊な状況なのか、いったいどれほどの人が理解しているでしょうか?
こんなこと、今まであり得なかったんです。
「男も女もみんな平等に、個々の人生設計を持てる」という状況は、「子孫を産み育てる」「男は狩りに出、女は家を守る」という人類史上の常識を覆す、めちゃくちゃ大きな変化なんです。
「家を守る女は、狩りに出る男のように、自分の人生に『責任』と『自由』を持たなくて良い、というか持てない」という大前提があったからこそ、女性は家事・出産・育児に従事することができたのです。
しかし、今やその大前提が崩れている。
人生における「選択の自由(と責任)」の発生は、女性から「家事・出産・育児への従事」を強制される理由を根こそぎ奪ってしまっているのです。
べつに、やりたければ「家事・出産・育児に従事」してもかまわない。
でも、やらなくてもいい。
これが、現代に生きる我々に与えられた事実なのです。
…そんな人類史上あり得なかった状況に置かれた現代女性たち。
個々にどんな生き方をしてもいいこのわけのわからない状況に、「いったいどうすりゃいいんだ?」と右往左往するのも当然です。
…今まであり得なかったんですから、もちろんモデルとなるような先人もいない。
…雑誌やテレビでも教えてくれない。
…ましてや、親の世代の忠告なんか参考になるわけがない。
…「仕方ない。とりあえず今まで定説とされてた『恋愛→結婚→出産』モデルをマネしとくのが無難か」となってしまうのも、無理もない話です。
ポンと与えられた「自由」は、当然のことながら「責任」を伴って、女性たちを苦しめています。
クルマや家を買うより大きな、「自由」と「責任」。
何を選択するにせよ、あなたに「結婚・出産」を勧めてくる人たちが、あなたの人生に「責任」をとってくれないことはまず間違いありません。
ひとつだけ言えることは、何が「正解」なのかは、誰にもわからない、ということです。
それなのに、あたかも「これが正解だよ」と物知り顔で「結婚・出産」を勧めてくる無神経な人たちには、軽蔑の念を禁じ得ません。
「結婚なんて、してもしなくてもいいと思う。育児は育児でキツくておもろいし、独身は独身で育児してたらできないことがたくさんできる。とにかく、自分らしいおもろい生き方を見せてくれ!」…くらい言える大人でありたいものです。
