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↓『フロン』(岡田斗司夫著、海拓舎、2001)より引用(05)


「デートは楽しいけれども、家に帰るとほっとする」
「こんなデートをしたと同性の友だちに電話しているときのほうが、ずっと楽しい」
「彼とのデートのあと、女同士の飲み会に出かけて、やっぱり女はいいなあと、深々とため息をつく」
……こんな話がいくらでも出てきます。
要するに、デートがそんなに楽しくない、気の合う友だちと過ごす時間のほうが、ずっと楽しい、というのです。


いまどき珍しい、ずっとひとりの男性と付き合っている女の子が、「私、結婚なんかできないかも」とポツリと教えてくれました。
彼女のマンションに、彼が毎週末、泊まりに来るそうです。土日はずっと一緒にいて、月曜の朝、そのまま出勤するとのこと。けれど楽しいのは最初の24時間くらい。あとは、早く帰ってくれないかなと、そればかり考えてしまうそうです。
彼のことは誰よりも大好きなのに、です。


「だって、あいつってば私の部屋なのをいいことに、お客様ヅラで何もしないの。私はずーっと気を遣ってなくちゃいけない。こんな人となんか、たとえ1週間でも一緒に暮らせない。一生どころか、1年だって結婚生活なんて考えられない。
だいたい、誰とであっても、他人とずっと一緒に暮らすのは、私には無理なんじゃないかな。でもみんな結婚してるし、私も結婚はしたい。こういう自分のわがままな部分を直すしかないのかなあ」
と、悩んでいるのです。


楽しいはずの恋愛すら楽しくない。結婚なんてムリと考えても、当然なのかも知れません。


↑(引用ここまで)
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…幸せな結婚像。
ふたりっきりで、毎日ラブラブ。
夕飯は毎日、妻の手料理。
寝るときはもちろん、ふたりで一緒のお布団。


…私も過去に、同棲みたいなことも何度か経験しましたが、楽しめるのは、せいぜい最初の数ヶ月くらいでした。
まず、食事を好きなときに食べられない、という縛り。
家に彼女がいるから、仕事上がりに職場の人と急に飲みに行くなんて、できません。
逆に、私が夕飯を準備しているときに彼女から電話がかかってきて、「今日友達と夕飯食べて帰るね」と言われたときの、さみしさ。やるせなさ。
その気持ちをふだん経験しているだけに、同じ気持ちを彼女にさせたくない。
そう思えば思うほど、職場や友達との付き合いが、どうしても悪くなってきてしまうのです。


…一緒に寝ているときも、気を遣ってしまうことばかり。。
夜中トイレに起きるとき。
寝返りをうちたいとき。
眠れなくて本でも読みたいとき。
なるべく彼女を起こさないように、気遣う。
もし自分が仕事で疲れて寝ているとき、隣でいろいろとゴソゴソやられてたら、やっぱり「勘弁してくれ」って思うし。
笑って許せる余裕がないときは、そりゃお互いにあるわけで。。


…同棲する前なら、自分の自由にできていたことが、(大好きな彼女とはいえ)他人と四六時中一緒にいることで、できなくなってしまうのです。
そんな自分は、ただのワガママなんだろうか?
そんなことを思ってしまうのは、彼女を「本当に」好きじゃないからなんだろうか?
それとも気を遣いすぎなんだろうか?
でも、最低限の礼儀を忘れちゃいけない、とも思うし。。


…そういった経験の積み重ねから、「他人と一緒に暮らす」ことが、「そんなに簡単なことじゃない」と気づいてしまったのです。


テレビドラマで流される、幸せな結婚像。
大好きな恋人と、幸せな食事。幸せな睡眠。
そんな場面を見るたびに、「最初の頃の、お互いの心に余裕のある場面だけ流して、『結婚って幸せ!』とか洗脳すんなよ」って思ってしまうのです。
確かに、芸能ニュースなんかでも、まれに、お互いの距離のバランスが絶妙にとれた「幸せな夫婦」が報道されることも、あります。
でもそれは、「家事の分担」「子どもの教育方針・分担」「お互いがストレスを感じるポイントの理解・調節」「十分な収入」がお互いの努力や偶然の一致によって、「たまたま」バランスがとれているだけの話だと、思うのです。
そんな万に一つの事例を持ち出して、「ほら、結婚って、こんなに幸せになれるんだよ」と言われても、未経験の若者たちに安易なイメージをさせてしまうだけだと思うのです。


…あなたは、どう思いましたか?
「わかる、わかる。いくらお互いが好きでも、毎日の生活となると、うまくいかないもんだよなあ」と思いましたか?
「なんて寂しい考え方なんだ! 自分は恋人のことをそんなふうに思ったことなんて全くないよ」と思いましたか?


何が正解なのか私にはわかりませんが、どちらにしても、映画やマンガ、テレビドラマで流される「幸せな結婚像」が、「未経験の若者たちを安易な方向に洗脳してしまう」可能性があることは、事実だと思うのです。
なんだか、甘~いうたい文句ばかり見せておいて、お金や全体のシステムを見せない「宗教」みたいだなあ、と思ってしまうのは、私だけでしょうか?


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