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↓『マムシのan・an』(リリー・フランキー著、マガジンハウス、2003)より引用(16)
高校の頃。一学年下にやたらと太った男がいた。
無論、高校生というのは思慮が浅いものであるから、そいつは「ブッチャー」とかいったあだ名で呼ばれることからは逃れられない。
しかし、夏休みが終った始業式の日。体育館に集まったその場所で、ひときわ目をひいた人物は、こんがりと日焼けした男でも、夏休みに初体験を済ませたその勢いで、へんなパーマをかけてきてしまった女でもなく、ブッチャー。いや、「かつてブッチャーと呼ばれた男」であった。
誰なのかわからないほどに痩せているのである。学生服のシャツもズボンも昔のサイズのままで、とにかくダブダブの服を着た男がいる。いや、こいつは敢えて旧サイズの服を着て来ている。
眼鏡の奥の眼は明らかに勝ち誇った鋭い光を放ち、口元はニヒルに笑いを携えていた。
かつてブッチャーと呼ばれた男は、ざわつく周囲の視線に対して無言の雄叫びをあげた。
”そうだ!! オレを見ろ!! オレを見るんだ!! わかるか!?”
ダブダブのズボンをベルトで絞ったシワが「怖さ」すら伝えている。
取材によると奴は夏休み40日間をトマト40個で暮らしたのだという。一日トマトひとつ。それが、奴の自分に課したダイエットメニューだった。朝にそれを食べてしまえば、次の朝まで口に入れるモノはない。体力もなくなるので外にも出ない。奴は、この考えただけでも暗くなるスケジュールを敢行し、40kgの体重をオトしたのである。
100kgあった体重は60kgになっていた。そればかりではない。
奴は減量したことでかなりの自身を身につけたらしく、性格まで変わっていたのだ。気が弱かったはずなのに、突然タメ口になった。ムカついたので新しいあだ名「ブカブカズボン」を命名すると、次の日、新しいズボンを買ってきていた。
そのへんのフットワークも以前とはまるで変わった所である。
それ以来「ダイエット」という言葉を聞くたびに、奴を思い出し、奴の鬼のようなダイエットを知っているだけに他のダイエットが「甘く」感じてしまうのである。”太るから、もうこれ以上食べない”と中途半端に皿の上のものを残す奴。その根性と妙な線引きはどうにも救われるところがない。
ダイエットを成功させる手段は明確にある。それは「食わないこと」であり、それしかない。
食いながら痩せようというその人物の思惑が垣間見えた時、その人が太っているとかそれほどでないとかにかかわらず、そのメリハリのない精神が太っていると思わざるをえない。
↑(引用ここまで)
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…『ダイエットを成功させる手段は明確にある。それは「食わないこと」であり、それしかない。』
なるほど!
この飽食の時代に日本に生きる我々が、基礎代謝の高い10代を終えて、ロクな運動もせずにふつうに暮らしていたら、そりゃ肥えます。
だって、毎日「食べて」るんですから。
それは、明らかに「摂取カロリーが消費カロリーを上回っている」ことの積み重ねによるものであり、「肥える」ことによる不健康を避けようと思ったら、日々の「消費カロリーが摂取カロリーを上回る」ようにコントロールしるしかありません。
…私は、数年前、ある実験を試みました。
毎週3回、2時間のトレーニングや水泳に通い、とにかく筋肉をつけ、基礎代謝を上げる。と同時に、日々のトレーニング自体による消費カロリーのアップもねらったのです。
若い頃と同じだけ食べても、あの頃と同じくらいの基礎代謝と運動量があれば、体脂肪量と筋肉量のバランスはとれるだろう、と。
幸い、コツコツと何かを続けることは得意な分野です。
…半年間続けてみました。
ところがどっこい、筋肉量がみるみる増えるのと同時に、体脂肪量の方もガンガンに増えていっているではあ~りませんか!
次の正月を迎える頃には、どえらい体重増になってしまっていたのでありました。
…やはり、若者と同じくらい食べる食生活では、どう足掻いても「摂取カロリーが消費カロリーを上回っている」ということらしい。。
やむを得ません。
「摂取カロリー」を減らすしかない、私はそう確信しました。
…私は、正月あけから、毎週3回のトレーニングの中に、60分10kmのランニング・有酸素トレーニング(脈拍数120~130)を取り入れました。
更に、人と会ったり、仲間うちでゴハンを作って食べたり、飲みに行ったりするとき以外は、たんぱく質キープのためのシーチキン1缶と低カロリー食品(スープはるさめや玄米がゆ等)だけ食べるようにしました(約200kcal)。
朝はカゴメ「朝のフルーツこれ1本」(92kcal)と、カゴメ「野菜1日これ1本」(68kcal)、明治「ダイエットビスケット」(100kcal)。昼はヘルシーキューピーの「玄米雑炊」(約150kcal)。
結果、1週間に3~4日は摂取カロリーを1000kcal程度におさえ、他の日は人と会って、夕飯もがっつり食べる。
計算上、1週間の「摂取カロリーと消費カロリーの差」を5000kcal程度マイナスにできていたと考えられます。
…3日で1キロ。
…1週間で2キロ。
みるみる体重が落ちていきました。
はじめの1ヶ月で8キロ。
その後は1週間にだいたい1キロずつ落ちていき、職場で焼肉をがっつり食べに行ったらすぐ2キロ増えたりもしましたが、結局5月には17キロ減(体脂肪量14キロ減、筋肉量3キロ減)。
…それまでどんだけ脂肪つけてたんでしょう(笑)。
でもこれで証明されました!
「日々の摂取カロリーが消費カロリーを下回れば、体脂肪量は簡単にオトせる」。
…言われてみればあたりまえのことですが、それを実行もせんと「ヤセたい」と言っている奴を見ると、リリー氏の言うように『そのメリハリのない精神が太っていると思わざるをえない』。
しかしながらみなさん、ビタミンと鉄分と食物繊維の不足から、菌にやられちゃったりしないようにしてくださいね(苦笑)。
