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↓『下世話の作法』(ビートたけし著、祥伝社、2009)より引用(15)


どっちにしたって、人間は身の丈を考えなきゃいけないと思うよ。
自分の能力ってものを客観的に分析したほうが絶対にいい。


世の中は夢、出世、成功ってうるさいけど、俺に言わせれば「成功」の秘訣は「いちばんなりたいものにならないこと」だよ。
商売でも何でも、いちばんなりたかった職業に就いたとたん、そいつの人生は終わってる。
だって、なりたいと思うものになれたんだから。その先には何もなくなってる。


成功の秘訣はね、いちばんなりたいものじゃなくて、その人にとっては二番目か三番目の、違う仕事に就くこと。
自分にはもっとやりたいことがあるんだけど、今すぐにそれをできる能力はないから違うことをやってます。
それぐらい自分を客観的に見られるやつのほうが、成功する可能性は圧倒的に高い。


↑(引用ここまで)
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島田紳助氏は、漫才の世界に入るため、島田洋之介・今喜多代師匠のもとへ弟子入りしてから、当時売れていた漫才師のネタを片っ端からカセットテープに録音しては文章に起こして分析して、どんな話の組み立て方、どんなシステムが「笑い」を生むのか、自分だけの「漫才の教科書」を作ったといいます。


自分の「好み」という主観性も多少入れつつ、しかし大部分は戦略的・客観的な「分析」をもって仕事に臨むその姿は、「自分が本当にしたいことをしよう」「好きなことを仕事にしよう」という現代日本の「主観」主義、「個人」偏重へのアンチテーゼのようにも見えるのです。


見た目にわかりやすい成功者の「個性」「オリジナリティ」ばかりに注目が集まる昨今、その背後に積み上げられた膨大な「分析」や「客観視」こそが、その道その道における「大成」の大前提であるということを、安易な「成功」希望者に言ってやりたいと、そう思ってやみません。


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