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↓『30独身女、どうよ!?』(岡田斗司夫著、現代書林、2001)より引用(27)
岡:あのね、10代、20代の恋愛というのは、女の子にとって「世界を革命」するものなんだ。生きている世界を全部変えてしまう。
この世の中の意味も、自分がいる世界を全部変えてしまえると思ってる。「どこにでも連れていって」というのも含めてね。だから、王子様とかすごい男の人を望む。
でも、30代の恋愛というのはディズニーランド。「このひととき、現実を忘れさせて」というものなんだ。結局、世界を革命するというファンタジーは同じなんだ。でも恋愛を「自分を変革するためのツール」と割り切っている。自分さえ変われば、世界は変わって見える。それがほんのひとときでも、美しければいい。
あとね、余計な話かもしれないけど、「留学」もファンタジーだよ。30越えてみんなが「留学したい」と言うのは、20代の「恋愛」と同じ。「すべてが変わるんじゃないか」とか「あそこには何かあるんじゃないか」とか。
でも大人の女性になったら、「あそこには何もない。山の向こうはまた山だ」とか、「山の向こうはこっちと同じ風景だ」と知っている。知っているからといって、鬱々と暮らすとかじゃなくて、「だからこそお祭りって楽しいよね。だから、ちょっと非日常って楽しいよね」という余裕が生まれてくるわけ。
イギリスで趣味が盛んというのは、ヨーロッパの動乱と安定を経て、国民がみんな「この世界には何もない」というのを知っているから(笑)。知っているからこそ、夢中になれることを個人個人で見つけようとする。アメリカにはないヨーロッパの「本当の豊かさ」というのは、「この世界には何もない」「人生には意味がないから、楽しまなければ損だ」というメチャクチャ大人っぽい観点から生まれてきてるんだよね。
↑(引用ここまで)
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…大人とガキの違いとは、『山の向こうはまた山だ』という認識があるか、どうかだと思うのです。
あえてネガティブな表現をすれば、ある種の「あきらめ」と言えるのかもしれません。どこか、人生に対して冷めているというか。
岡田氏が、大雑把ながらもヨーロッパとアメリカの根本思想の違いを引き合いに出して説明してくれているように、恋愛や、学問や、旅行や、世の中に数多に用意された娯楽…そのどれに喰らいついたとしても、「ふと我に返れば、残された膨大な『日常』は死ぬまで続いていく」という、認識があるか、どうか。
それは別に、「その認識があるから偉い」だとか、逆に「そんな悟りっぽいことを言う奴なんて、自己陶酔してるだけでしょ?」だとか言って優劣をつけたいわけではなく、ただ、『非日常』に対する「期待感」「あきらめ」の分量によって、その人の「何をして生きていくか」「何を求めて毎日を過ごしていくか」が決まっていくということを、確認しておきたいのです。
…「いい大人になって、まだ『非日常』にそんなに『期待感』を持ってるの?」と言ってやりたい奴も、そりゃごまんといますけど。。
また、私個人としては、岡田氏の言うように『このひととき、現実を忘れさせて』だとか、『楽しまなければ損』だとか、そういうふうには考えていない気がします。
何というか、私にとって、私の身の周りで起こること、そのすべての出来事が『日常』なのです。
では、その『日常』が心躍る、心動かされる、感動できる、満足できるものであるためには、何をしたらいいのか。
私自身が、何に心躍り、何に心動かされ、何に感動するのか、何に満足するのか、それを探し求めること。
それが、そういった「自分との対話」こそが、充実した毎日を過ごしていく「腕前」であり、「自分の存在価値」の追求でもあると思うのです。
私にとって、「恋愛」も、「旅行」も、『非日常』を味わいたいというよりは、そこにきっと自分の『日常』としての「満足」「納得」があるから、行動する。そう思うのです。
…なんだかこう書いていくと、「誰だってそりゃ自分が満足したいからするんじゃないの?」と言われちゃいそうな気もしてきましたが、私がゲームセンターやディズニーランド、「観光」目的の旅行に行きたがらず、「人間関係」と「対話」ばかりを大事にするのは、きっとそういう「『日常』としての満足」の発想からきているんだなあ、と岡田氏の文章を目にして再確認させられました。
海外旅行に行ったって、現地で初対面から心動かされる出会いがゴロゴロあるはずもないし。
英語がしゃべれるようになったって、身近な「できる奴」「おもしろい奴」より素敵な人が、英語圏にならたくさんいる、なんて楽観できるわけないし。
結局は、身近な「できる奴」「おもしろい奴」とデニーズでしゃべってる方が、なんぼか心動かされる、という気づき。
…あなたは、『山の向こうはまた山だ』という「気づき」を、通り過ぎてしまっていますか?
そして、どんな『日常』を、何を求めて、過ごしていますか?