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↓『フロン』(岡田斗司夫著、海拓舎、2001)より引用(21)



結婚についても規制緩和の波が押し寄せました。
かつて「あなたにお似合いの人は仲人さんが見つけてくれるわ。少し不満があっても我慢なさい、ねっ。そうすれば将来、決して悪いようにはならないから」というシステムがありました。
これが「安定だけど不自由」ということです。

でもいまは、自分の好きな人は自分でみつけたがります。適齢期を気にせず、結婚したくなった結婚します。もし愛情がなくなってしまえば、離婚も仕方がないと考えます。
どっちにしても自分の気持ちに正直がいちばん大事。これが「自由だけど自己責任」です。


いまの私たちには当然のように聞こえますよね。
けれどこういう自由な結婚というのは、家父長制のシステムから見ると、非常に不安定で危なっかしいものなのです。
自分が選んだ相手というのは、自分の直感や好みで選んだということです。それでは、相手の状況がよくわかりません。
家柄や経済状態、ご両親の人柄や家風、親戚との関係。何ひとつ、わからないまま、「結婚」を考えることになってしまいます。
ひどいときは、夫の収入や勤め先すら考慮に入れないのが真の愛だ、と結婚してしまうこともありえます。
たとえ職場結婚でも油断はできません。いざ結婚してみたら、相手は大きな旧家の跡取り。嫁いだ家は、本家だの分家だのしきたりだらけ。親戚も山盛り。大勢の姑、小姑に囲まれて、針のむしろの生活が待っていた、ということもあるかもしれません。


家父長制の社会では、お見合いを紹介してくれる仲人さんが、こういうリスクに関してすべて保障してくれました。それが「あなたにぴったりのお相手よ」という言葉の意味なのです。
だから、夫婦ゲンカしても、仲人さんが仲裁に入ってくれたりもしました。
恋愛結婚には、こういうリスク保障システムがありません。
危険は承知のうえ。それでも、自分の選択を大切にする、というのが、恋愛結婚なわけです。ただし、選択は1回きり。自分で選んだんだから、不平不満を言わずしっかり子育てしなさい。
これが、いままでの産業社会における、恋愛&結婚観でした。


その「1回きり」が、現在崩れてきています。
「たしかに、自分で納得して選んだ。けれど、選んだ自分の気持ちは、いまはもう変わってしまった。だからやりなおし」というわけです。
自分の気持ちにとことん忠実だと、そうならざるをえません。
ところが、人間とは哀しいもので、なかなか潔く思い切れません。
自分で好きな相手を選び、結婚し、子どもを作る。

そこまではいいのですが、当然、自分も夫も子どもも、それぞれ自分の自由を求め、各自の自由を認めて行動することになります。そうすると、家族のつながりが希薄になり、気がつくと家庭が崩れていってしまうのです。
最初に夢見ていた幸せな家庭、テレビで宣伝している幸せな家族というイメージと現実が、どんどん遠ざかっていきます。当然の結果なのに、不満は爆発します。


何とかしてくれ! 誰か新しい規制を考えてくれ!
この矛盾した叫びの中から生まれてきた、新しい規制案が「父権の復活」だったり、もう一度強い家族のつながりを求める運動だったりするわけです。

しかし、ひとたび自由を味わってしまった私たちは、もう後戻りはできません。
私たちが本当に求めているもの、必要なものは、じつは新しい規制ではありません。本当に欲しいのは安定なのです。
しかも、こういうのが幸せに違いないと洗脳されているイメージの幸せではありません。かつて有効であった「パパとママと子ども、みんなそろって幸せ」というイメージではなく、新時代に即した新しい幸福感による「家族の安定」なのです。



↑(引用ここまで)
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…『恋愛結婚には、こういうリスク保障システムがありません』。


…『私たちが本当に求めているもの、必要なものは、じつは新しい規制ではありません。本当に欲しいのは安定なのです』。


「安定だけど不自由」か、「自由だけど自己責任」か。
安定と自由は相反する概念であると以前の日記でも書きましたが、この視点で「結婚」というシステムを見ていくと、現在スタンダードとされている「恋愛結婚」が、いかにリスクの高いものであるかがわかってきます。
毎日の経済的・精神的安定を考えると、「お見合い結婚」もいいかも、と思えてきます。


それどころか私などは、子どもを作っても同居しない方がお互いにとって良いとすら考えているので、「結婚」という制度自体にあまり必要性を感じていませんが…。
お互いの親のメンツや、育児をするうえでの経済的メリットがなければ、「結婚」自体に意味はないんじゃないかなあ、と考えています。


ちなみに5年前に結婚した私の妹は、「彼に何かあったとき、『彼女』というだけでは連絡してもらえないから。だから『家族』になる必要があった」と結婚に踏み切った理由を話していました。
なるほどなあ、と思いつつも、私も同じように考えられるかは、まだ分かりません。


…あなたの「結婚」のとらえ方は、いかがでしょうか?
できれば、安易な「結婚願望」はぬきで、是非お考えください。


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