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↓『フロン』(岡田斗司夫著、海拓舎、2001)より引用(16)



ここで、はっきりさせておかねばならないことがあります。
夫が役に立たないのは現場のことがわからないからです。決して無能なわけでも無責任なわけでも、またあなたや子どもに愛情がないからでもありません。


あなたが夫をどんなに愛していても、あなたは夫のかわりに彼の会社で代役を務めることはできません。あなたには彼の仕事が何なのか具体的にはわからないし、経験もなければ立場も違う。

それと同じく、夫があなたをどんなに愛していても、夫が家庭のリーダーになれるものではありません。育児の経験というか場数が圧倒的に違うし、知識も少ないし、覚悟も足りません。

女性は愛する男性に頼りがいを求めます。けれども、実際に「頼るに値する」のかは、性格以外に知識や能力、立場といったものが関連します。


高速道路では彼の運転を信じて身を任せるのもいいでしょう。
冠婚葬祭では彼のほうがマナーを熟知しているかもしれません。

しかし、こと育児においては、立場、状況、知識、能力などを総合的に判断すると、あなた自身のほうがリーダーにふさわしいのではないでしょうか?

もしあなた自身が会社に勤めてる場合、なにかトラブルが生じたらあなたの部下はあなたに指示を求めてきます。それに対して、いちいち夫に携帯電話をかけて善後策をうかがう、なんてできるはずもありません。
自分の仕事なんだから、自分の裁量と責任でベストを尽くす。

子育ての現場である家庭においても、まったく同じです。あなたが現場をひとりで支えている限り、あなたが家庭のリーダーなのです。夫を使うのはいいですが、頼るのは論外です。

とはいえ、いままでと同じ生活のままで「気持ちだけ切り替えろ」と言われても、なかなかできるものではありません。人間は環境の動物ですからね。
気持ちを明確に切り替えるためには、まず環境を替えるのが順当でしょう。


今日から受験勉強に集中する、と決めたときにまずやるべきことは、自室の大掃除です。マンガやゲーム機など、余計なものや気が散るものを目につかないところにしまい込む。「大かたづけ」という儀式と「余計なものがない部屋」という環境が、受験勉強に集中するという決意と行動を生むのです。

思い切って、皆さんの家庭から夫を出してしまいましょう。捨てるのではありません。「夫を家庭の必要不可欠な要素としない」、すなわちリストラするのです。


「私はいまの夫を愛している。リストラなんて……」
本当にそうでしょうか?
愛している人としたいこと、するべきことは、一緒に子育てすることですか?
それが本当にあなたの望んでいることなのですか?
愛している男性とすることは、恋愛ではないでしょうか。彼と恋愛を続けたいなら、ひとり暮らしが似合う都会で彼とふたりきりのデートを楽しんでください。


ウンチのついたオムツや、よだれや、食べこぼしと格闘する。育児という現場で、毎日デートでは、あなたの恋愛があんまりみじめすぎます。
あなた自身もそんな育児まっただ中の戦場では、彼の甘い言葉に酔う余裕もないでしょう。彼の疲れをねぎらう言葉も出てきません。何度も言うように、あなたにとって育児とは仕事の現場、責任の所在地だからです。



↑(引用ここまで)
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…『とはいえ、いままでと同じ生活のままで「気持ちだけ切り替えろ」と言われても、なかなかできるものではありません。人間は環境の動物ですからね。気持ちを明確に切り替えるためには、まず環境を替えるのが順当でしょう』。


…『夫を家庭の必要不可欠な要素としない』。


…「育児」という明確な目的に、どういう姿勢で臨むか。



(↓以下、女性バージョン)


彼とはずーっとラブラブでいたいし、「育児」もふたりの愛があれば、きっと乗り越えられるはず!


子どもを愛していれば、夜泣きやひきつけが毎晩毎晩あっても、きっと耐えられるはず! 彼も仕事で疲れてたって、私と子どもを愛してるんだから、きっと助けてくれるはず!


彼もなんとか時間を作ってくれて、たまには彼とデートもできるはず!


今と同じように私の洋服や化粧品も普通に買ったりできるはず! 今より安い化粧品、安いシャンプーを使うなんて考えられない! 欲しい服だってあるし。


「育児」で何か困ったことやわからないことがあったら、どちらかの親がきっと面倒を見てくれるはず!


夫はつねに仕事よりも家庭を優先して考えてくれているはず!


私がつらいときには、「家事」や「育児」も手伝ってくれるはず!


私は仕事してないけど、彼の収入しかないんだから、その中から、専業主婦である自分の洋服や化粧品を買ったって彼がイライラするなんてありえないはず!


私はずーっと家の中にいるんだから、仕事で疲れて帰ってきても、私の愚痴くらい聞いてくれるはず!


彼は私を愛してるんだから、たまには私も友達と飲みに行ったりさせてくれるはず!


休みは家族をどこかへ連れて行ってくれたり、毎日家事や育児に追われている私に代わって、家事や育児をしてくれたりもするはず!


私と子どもがいるんだから、職場の人と飲みに行ったりしないで、毎日まっすぐ家族のもとに帰って来てくれるはず!


父兄参観や運動会は、仕事を休んできてくれるはず!


彼は私を愛してるんだから、結婚記念日や誕生日、クリスマスなどのいろんな記念日は必ず覚えていて、プレゼントを用意してくれて、必ず早く帰って来てくれるはず!



(↓以下、男性バージョン)


彼女はオレを愛してるんだから、「育児」も(ひとりで)がんばってくれるはず!


彼女は仕事をしてないんだから、毎晩の夜泣きやひきつけにも、(ひとりで)がんばってくれるはず! 

オレは仕事で疲れてるんだから、そこらへんは気を遣ってくれるはず!


なんとか時間を作って、綺麗な格好をしてくれて、たまにはデートもできるはず!


オレの収入だけで家族が生活していくんだから、彼女が当然節約してくれるはず! 結婚する前と同じくらい高い化粧品、高いシャンプーを使うなんて考えられない!


「育児」で何か困ったことやわからないことがあったら、どちらかの親がきっと面倒を見てくれるはず!


彼女はつねに何よりも「家事」と「育児」を優先して考えてくれているはず!


オレは仕事で疲れて帰ってくることが多いんだから、しょっちゅう家事や育児を手伝えなんて言わないはず!


オレが稼いできた金なんだから、今までよりちょこっと節約すれば、買いたいものがあってもそこそこ買えるはず!


オレは家族のために毎日仕事をして疲れて帰って来てるんだから、当然夕飯もできていて、おフロもわいているはず!


彼女には家事と育児があるんだから、そりゃたまにならいいけど、友達と飲みに行ったりなんてしないはず!


週に1・2回しかない休みなんだから、疲れがとれるように、ゴロゴロしててもいいはず! だって稼いで来てるのはオレなんだから。


付き合いも仕事のうちなんだから、職場の人と飲みに行くのも、結婚前と変わらずできるはず!



…なんだかイヤになっちゃいますね。
全部が全部あてはまるとは言わないまでも、誰しもちょっとは思い当たるフシがあると思います。

男性だったら、「自分が稼いできたお金だけど、彼女は働かずに育児に専念してくれているわけだから、稼いだ給料のうち、このくらいは自由に使う資格がある」と割り切って、本当に彼女が好きにそのお金を使っても、腹が立たないでいられるか、どうか。


たとえば、月給25万円。家賃、食費、光熱費、保険料、子どもの将来のための貯金等も含めて20万円。残り5万円を2万5千円ずつ折半して、腹が立たないか。

…それにしても、2万5千円ですよ、2万5千円!
職場でちょっと飲みにいって5千円。ガソリンも1回入れれば5千円。たまに気に入った服やCDをちょっと買ったら1万円なんてすぐ出て行ってしまいます。…こりゃタバコや缶ジュースも気軽になんて買えそうにないですね。

女性の立場からしたら、もっと大変なはずです。
「女」を保とうと思ったら、美容院、基礎化粧品、最低限の洋服、友達付き合いのためのお茶代。。2万5千円でやりくりするなんて、とてもムリです。

…どうやら、そこらへんのイライラを解消して、できうる限り快適な「育児」を実現しようと思ったら、相当な貯金が必要なようです。。…何といっても、離婚の理由の第一位は「お金」ですから。


女性の立場だったら、彼が仕事から帰って来ても、「家事や育児の手伝いは基本的に何も期待しない。自分ひとりでやるのが当たり前」と思うことができるか、どうか。

私は朝から晩までずっと子どもの世話に追われてるけど、彼は彼で、一日ずっと仕事で疲れている。
そんな彼がたまに手伝ってくれるときはラッキーくらいに思っておいて、基本、自分ひとりでやる。そういうもんだとしておく。

そうすれば、たまの手伝いはものすごく嬉しく思えるし、基本期待してないから、してくれないことにストレスがたまることもない。…まあ、頭ではわかっていても、自分が育児に必死こいてる横でゴロゴロされてたらさすがに腹が立ってしまいそうですが…。


「お互い、恒常的にできないことは、できない」としておく。
この取り決めがないまま、「するべきことをしてない」感で相手にイライラしてしまうのは、もうやめにしませんか?


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