「あなたの飼い主で本当にしあわせだ」
何日か前に、
実験的にそう意識してから
私は犬（コウ）の散歩に出かけた。
実際、そうなんだ。
コウが居てくれることで、
私が感じられる日々のしあわせは
深く広がっている。
けれど、
日常の忙しなさに追われ始めると
本来、抱いている「純粋な思い」は、
あっけなく、片隅に避けられて、
そっけなく、
味気もない「態度」に形を変えて、
単なる「タスク」として
「こなし」始める私が浮上してくる。
「あなたの飼い主で本当にしあわせだ」
「純粋な思い」を思い出し、
そう思いながら、振る舞ったあの日。
散歩の途中で、
信号待ちをしている時には
「かわいい犬ですね」
と、声をかけられ
すれちがう人とはいつも以上に
「こんにちは」
と私からも、
相手からも挨拶の数は増えた。
何より、変化を感じた瞬間は、
歩きながらコウが何度も
私とアイコンタクトを取ってきた時。
コウとの時間を、慈しみながら
日常を積み重ねていきたい
という、私の望み。
どんな望みの中にも、
「自分で自分のことをしあわせにしたい」
という純粋な「求め」が入っている。
そして、
その「求め」は、
主体的にしか「応じる」ことができない。
その散歩から帰って
家族に「ただいま〜」を言う時、
「あなたたちと暮らすことができて、
私は本当にしあわせだ」
私は、自分の望みを思い出しながら
声にした。
おかえり。
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