冷蔵庫を開けると、


小さなお醤油のシミが広がっていた。


たまたま、目に留まったのだ。



ふと、手を止めて


私はレンジまわりを掃除するウェットシートを取り出した。



年明けに、


東京から福岡への移住を決めた私は、


三月、パートナーと一緒に家電量販店を巡り


限られた福岡滞在時間の中、


その売り場のなかで最もしっくりくる(大きさ・デザイン・色・性能)の家電を


移住のタイミングに間に合うように


選出していた。



その家電のうちのひとつに、冷蔵庫がある。



お店で見た時も、


もちろん気に入って買ったのだけど、


実際、


冷蔵庫置き場にそれが配置されたのを見た時、


ピッタリはまっていて、


冷蔵庫をこんな形容をするのは人生初だけど、


「かわいいーー」


って思った。



移住をスタートしたその日から、


既に稼働してくれていて、


休むことなく


私たちの生活をサポートしてくれている冷蔵庫。


当初は、


冷蔵庫を開けるたび、


冷えている飲み物を取り出すたび、


買ってきた食材をしまうたび、


「ありがたいなー」があふれてきて、


動きを止めて


そのきもちを感じていたりした。




時が流れ、


そんな瞬間も少しずつ薄まって、


「ありがたいなー」


って動きを止めたりはしなくなっていた。





ウェットシートを取り出した私は、


お醤油のシミから始まって、


目に付く汚れを拭き取り始めた。



使ってまだ半年しか経っていないけど、


拭き取ってみると、


なかなかな汚れがこびりついている箇所もあり、


ここぞとばかりに私はそれらを拭き取っていった。



顔を出したのは、


春先に感じていた


「かわいい」


懐かしいあの感じだった。


私は手を止めて眺めた。


再び、思い出す


「ありがたいなー」。




掃除をするのは、


「家事」だから。


そう思ってきたところがある。


きれいになるのは、きもちいいいから、する。


それもある。



だけど、


昨日はなんかちがったな。


新品の時みたいに


綺麗になった本来の冷蔵庫の姿を見て、


あの冷蔵庫にしかない「ストーリー」を辿っていたし、


ここにいてくれてありがとう、


って思ったし、


掃除させてくれてありがとう、


とも思った。




掃除するって、


人間の心でいったら、


本音の周りを固めている


「雑音」を取り除いていく作業に


似ているのかもしれない。






ただ、家事だから。


ただ、汚いから。



ではなくて、


本来の姿に立ち返るため、


本来の姿で居続けるための、


大切なプロセスなんだなって。





お醤油のシミが発端になって、


気づかせてもらえた出来事。





ハナヒラク「おはなし会」10月枠の募集についてのご案内は、今月末にお知らせします。




🌿こころの片付けも、定期的にしていこう。

ブログとは少しちがう日常を、週に2回を目安に書き始めました。

個別メッセージも、すべて読ませていただいています♡