下校時間になったら、

学校近くの

あの大通りの交差点で待ってるね。



朝、登校前の娘と約束をした。



待ち合わせ場所に向かう途中、

私がケーキ屋さんに寄り道をしたせいで

時間を少し過ぎてしまった。


ケーキが倒れないように、大股歩きで急いで向かう。


前方から、娘が一人で歩いてきた。


私の姿が見えると、片手を上げて、



「やぁ」



というポーズ。


まだ表情は見えなかった。


至近距離まで近づくと、


娘は笑顔をパッと咲かせて、

ちょっと小さめの

私だけに聞こえる声で言った。



「結構、いい感じだった!」



学校で、


何がどう


いい感じだったかを、

私が想像できるように話してくれた。



「二日目にしては、

 なかなかだとおもうよ」



と言う言葉に、

心底救われる。


私もドキドキしていた(んだな)。

私もホッとした。



学校で、


何がどう


ということよりも、


彼女が下校時に

いい気分で帰ってこられている


ということ。



娘も、私も


「ほしかった気分」はそれなんだ。




その「ほしかった気分」で

味わいたくて、

寄り道して買ったおやつを

家に帰って三人で食べた。