明日から
きっと母は入院になるだろう。
入院準備も
その前に今日の夕飯も、、
この先のことも・・・
立ち上がって動くと
心臓に負担がかかってしまうから
母は目を開けて横になったまま。
(どうか、いのち繋がっててください)
こんな状況なのに、
あー、買い物にも行かなければ、
お母さんのレシピ、適当じゃなくてもっと聞いておけばよかった、
持ち物の場所もどこだ、どこだ、どこだ?
と、
頭も心も不安とタスクで大忙し。
前日、zoomのセッションを終えて
階下に急いで降りると
ソファは空になっていて
寝ているはずの母がいなくなっていた。
家の前には救急車が止まっていて
母はその車内で父と一緒に搬送先の病院が決まるのを待っていた。
搬送後の家の中は、
つめたくなって真っ暗闇に変わっていった。
ヒリヒリしながら
家事をして、
お母さん、死んじゃったらどうしよう、、、
誰も見てないところでボロボロ泣いて、
きもちはヒリヒリする一方で、
不安で不安で胸が押しつぶされそうだった。
搬送先の 病院で一通りの検査をしていただき、
緊急性は高くないということで
夜、
再び母は家に戻ってきた。
もう会えないんじゃないか…?
どこかでそう思っていた私は、
状況は何一つ変わらないのに、
母が家に戻ってきただけで
家族全員に広がる安心感と
灯る明かりと家の中のあったかさを
はっきり自覚し、
母の存在の大きさを
これでもか、これでもか、
と
自覚させられた。
あれもこれもと忙しく回る頭で
入院準備をしながら、
それとは全く別の世界に身を置いているのだろう
母が
穏やかに
話したそうに話しかけてくる。
取り止めもない話
読んでいた本の話
手伝っている小学校のお仕事の話、
私は手を止めて
母の枕元に座り聞く。
部屋には私と母の二人だけだった。
母と過ごしてきた時間の中、
こんなに
「今」
にとどまろうと意識したのは初めてだったと思う。
夕飯の支度をしていると、
ピアノが響き始めた。
「月の光」ドビュッシー
(お母さん、寝てなきゃダメだよ)
思わず口を突いて出そうになった。
あーーー。
ピアノ、弾きたいんだ、、、、
こんなに身体がとっても辛くっても
ピアノ、弾きたいんだね、、、
私は黙って聴いていた。
途中から元気がなくなって音が止まる。
近くにいた娘(孫)に、
「しばらく聴けなくなっちゃうから、
今度は、はなのピアノ聴かせて?」
と。
すぐに
ブルグミュラーの「アラベスク」が聴こえてきた。
弾き終えた後の娘も、
母も、
キッチンにいる私も
誰も話をしなかった。
ヒリヒリも
グズグズも
ぐるぐるも
ぐちゃぐちゃも。
どんなきもちも
生きてるから、感じられる。
「今」は尊い。
「今」が尊い。
その日の夜、
終日安静にしていたおかげか、
いつもの通りの母に限りなく近いように見えた。
寝支度を整えた母の、
血色を感じられない足を見て、
私は自分の手で母の足先を「おてあて」
したくなった。
「お母さんの足、マッサージしたい」
これを声に出して言うことも、
断られるのが、こわい
断られたら、傷つく
断られたら、否定されたと感じる
って、
私の「素直」は何重にも重なる防御服を着ていた。
だけど
私は言った。
躊躇してる場合ではなかったから。
母の反応は、
「ううん、してくれなくていい」
即答だった。笑
(母は、マッサージされたり、
メイクされたり、
人の手でごちゃごちゃ何やらされるのを嫌がる性質の人なのだ。
私と全く違うタイプの人間だ。笑)
戻ってきたのは、
私の欲しかった反応ではなかったけど、
お母さんらしくて、笑えるわー
初めてそう思った。
すると
母は、
「牧子がしたいって思うことと、
私がしたい(してほしい)って思うことがちがうんだよ。
ただ、ちがうだけ。
だけど、ごめんね。
私はセルフがいいの・・・」
もしかしたら、
これまでにも同じようなことを
母は私に言っていたのかもしれない。
受け取れていなかっただけなのかもしれない。
私が、
受け取れたのが初めてだっただけかもしれない。
でも、
カタカタガラガラと
巨大に立ちはだかっているように見えていた
歪な壁が
壊れ始めた。
それは、見た目よりずっと脆かった。
拒絶されてたんじゃない、否定でもない、
認められてなかったんじゃない、
絡めなくていい、
ただそれだけ、ちがうだけ。
いていい。
そのまんま、いていい。
わかったー、
おやすみー。
また明日ね。
そう言って、
私は母との夜を閉じた。
翌朝、
入院する母より先に出かける私は
父と兄に全てを託し、
出かける直前に
「いってきます」
「いってらっしゃい」
を言い合った。
いつもとちがうのは、
お母さんをハグしたこと。
ハグしたら、
ぎゅっと母のハグがかえってきて
駅までの道は
視界がぼやけたまんまだった。
お母さん、だいすき。
そう素直に思えている自分、
そう素直に伝えられた自分、
生きてる自分、
生きてるお母さん、
これまで感じたことない、感謝のきもち。
ここまでギリギリにならないと気づけない。
動けない。
近くにいるほど、できなくなった。
生きているからこそ、
今できることの尊さが
全身を覆い尽くした今回の出来事。
私は一生、忘れたくない。
入院当日に母は手術となり、
胸にペースメーカーを埋め込んでいただき
命がつながりました。
このままいけば、
来週には退院ができるところまで回復しているようです。
生きててくれて、ありがとう。
最終日
おわり
最後の日
見えないけど、線をつくると
今
尊さ
が浮き上がってくるけど
いつだって
今
尊い。
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